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札幌市内のラブホテルでデリヘル嬢を盗撮

2019-09-29

札幌市内のラブホテルでデリヘル嬢を盗撮

Aさんは、札幌市中央区内のラブホテルにデリヘル嬢を呼び、サービスを受けました。
Aさんはあらかじめ客室に隠しカメラを仕掛け、サービスを受けている様子を盗撮していました。
デリヘル嬢が途中でサービスを中止し、帰っていったのでAさんが不満に思っていると、客室にデリヘル嬢の勤務先の店員が現れ、「女の子を盗撮しただろう。示談金として200万円支払え。支払えなければ札幌中央警察署に行くし、職場にも知らせるからな」と告げられました。
Aさんは運転免許証を取り上げられた上、社員証と顔写真を撮影されてしまい、困っています。
(フィクションです)

~風俗トラブルと盗撮~

風俗サービスを受けている際に、その様子を盗撮風俗トラブルになるケースがよくあります。
盗撮行為が露見すれば、当然風俗嬢や風俗店から何かしらの話をされることになるでしょう。
こうした形で風俗トラブルとなってしまったというご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にもよく寄せられています。

ところで、ケースの店員は「警察に行く」と言っていますが、Aさんの行為は何らかの罪にあたるのでしょうか。

~デリヘル嬢を盗撮すると何罪?~

今回のAさんの盗撮行為は、北海道迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

北海道迷惑行為防止条例第2条の2第3号は、正当な理由がないのに、「住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること」を禁止しています。

これに違反し、有罪判決が確定すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

ラブホテルの客室は「その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当する可能性が高いと思われます。
このような場所でデリヘル嬢のサービスの様子を撮影してしまったことから、Aさんに北海道迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性は高いと思われます。

~デリヘル嬢盗撮事件…どうするべき?~

以上見たとおり、Aさんの盗撮行為が犯罪を構成する以上、警察に被害を申告されれば、刑事事件化する可能性があります。
警察に捜査されることによってかかる負担や、前科前歴をつけることを避けたいと考えている場合、まずは刑事事件化を防ぎたいと考える方が多いでしょう。
そして、免許証を取り上げられ、顔写真や社員証まで撮影された上、示談金を要求されている状況についても対応しなければならないとも考えられる方が多いでしょう。

こうした場合、示談を円滑にまとめることによって、刑事事件化を防ぎ、風俗トラブルを解決することが1つの手段として考えられます。

~デリヘル嬢と示談交渉を行う~

示談とは、加害者と被害者との間で行われる、事件解決に向けた合意をいいます。
通常、加害者から被害者に対して相当な金銭を支払うことによって行われます。
示談交渉はAさん自信でも行うことができますが、おすすめできません。

というのも、まず第一に、風俗トラブルにおける示談金の要求はしばしば苛烈な態様で行われます。
Aさんが畏怖し、示談金の額として妥当でない条件を受諾してしまうなどの不利益を被るおそれがあります。
ケースの盗撮事件において、200万円の示談金は妥当ではないかもしれません。
しかし、事件解決を急ぐあまりに支払ってしまえばAさんにとって不利益といえるでしょう。

第二に、法律的に有効でない示談を行ってしまうリスクが考えられます。
風俗トラブルにおいては、被害者であるデリヘル嬢本人ではなく、そのデリヘル嬢の所属する店の店員が示談金を要求してくることがあります。
しかし、あくまで店員は被害者本人ではなく、また、被害者を代理する権能もありませんから、店員と示談を成立させても、その示談に納得していない被害者本人によって被害届を出されて刑事事件化してしまう、といった事態も考えられます。

このような事態を防ぐために、示談交渉をする際には、弁護士を交渉の窓口として被害者との示談交渉を行っていくことをおすすめします。
弁護士は、妥当な条件による示談の成立を目指し、Aさんの利益のために活動します。
まずは、弁護士と相談し、示談交渉についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、風俗トラブルについてもご相談いただけます。
風俗トラブルを起こしてしまい、刑事事件化しそうだとお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

サービス料金に不服で暴行罪、不退去罪

2019-09-25

サービス料金に不服で暴行罪、不退去罪

会社員のAさん(28歳)は、神戸市須磨区にあるの店舗型風俗店でサービスを受けるため同店舗に入りました。
Aさんは、受付で、その店の人気風俗嬢を指名したため、前払い料金として5万円を支払いました。
そして、30分後、Aさんは呼び出しを受け、風俗嬢のサービスを受けました。
その後、2時間のサービスを受け終わったAさんは受付から店外へ出ようとしたところ、店長Vさんに呼び止められました。
Aさんは、Vさんから「お客様、支払いがお済みでないものがございます。」と言われました。
Aさんは受付で前払いとして5万円を支払っていたことから、Vさんに「ちゃんと払ったよ。」と言いました。
しかし、AさんはVさんから「当初、1時間のサービスとしてお支払いいただいていましたが、1時間延長されております。」「当店では30分延長につき5000円の追加料金が発生します。」「受付でご説明させていただいております。」と言われました。
Aさんは説明を受けたことは薄々記憶にありましたが、高額な料金に腹が立ち、両手でVさんの胸ぐらをつかみながら、「こんなサービスで払ってられるか!」と怒号しました。
AさんはさらにVさんに暴行を振るおうとしましたが、他の店員や客に制止されました。
Aさんは、Vさんから「警察呼びますよ。」「他のお客様のご迷惑なのでとりあえず店から出て行ってください。」と言われました。
しかし、納得のいかなかったAさんは、Vさんからの再三の忠告にも関わらず店から出ていかず、とうとう通報を受け駆け付けた兵庫県須磨警察署の警察官により任意同行を求められてしまいました。
そして、Aさんは暴行罪不退去罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 暴行罪 ~

暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
もっとも典型なのが殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど直接人の身体に触れる行為が挙げられますし、AさんのVさんの胸ぐらをつかむ行為ももちろん「暴行」に当たります。
なお、この暴行により人に怪我を負わせた場合に成立する可能性があるのが傷害罪です。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 不退去罪 ~

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

この130条後段が不退去罪の規定です。

不退去罪は、要求を受けたにもかかわらずこれらの場所(住居、建造物など)から退去しなかった場合に成立する罪です。
ただ、当初は適法に住居、建造物などに立ち入ったこと、が前提となります。

不法に立ち入った場合は、不退去罪ではなく住居侵入罪、建造物侵入罪が成立するからです。
「要求」とは退去の要求のことですが、要求を受けるやいなや不退去罪が成立するわけではなく、要求を受けてから退去するまでにかかる合理的時間が経過してからはじめて不退去罪が成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

個室マッサージ店で強制わいせつ事件になったら

2019-09-21

個室マッサージ店で強制わいせつ事件になったら

Aさんは,大阪市旭区にある個室マッサージ店において,従業員であるVさんに追加料金を払うから胸などを触らせてほしいと頼んだ。
Vさんは店の規約でそのような行為が禁止されていることを理由にAさんの頼みを断った。
しかしAさんは「追加料金を払うのだからいいだろう」とVさんの胸などを触り,Vさんにお店の料金とは別に1万円を手渡した。
後日Vさんから大阪府旭警察署に被害届が出され,Aさんは大阪府旭警察署強制わいせつ事件の被疑者として事情を聞かれることになった。
Aさんは特に違法な行為ではないと考えており,取調べに先立って弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談を利用した。
(フィクションです)

~身体を触る行為で成立しうる犯罪~

他人の身体に触れる行為はどのような犯罪を構成するのでしょうか。
電車内などで他人の身体に触れた場合は各都道府県迷惑行為防止条例違反,いわゆる「痴漢」となることが多いです。
ただし,条例違反の痴漢は「公共の場所・乗物で」というのが要件となっていますが,個室マッサージ店の室内などは公共の場所とはいえないでしょう。
そのため,Aさんの行為は一般にいう条例違反の痴漢とはならないといえます。

一方で,Aさんは事件の内容としては,半ば無理矢理Vさんの胸などを触ったと考えられます。
確かに,お店によっては従業員の身体に触れることを暗黙の了解としている場合もあるかもしれませんが,そういった行為は従業員の同意があることが前提といえ,従業員の同意がない場合には強制わいせつ罪が成立する可能性が考えられます。
今回のケースでは,VさんはAさんから胸などを触られることについて同意があったとはいえず,Aさんには強制わいせつ罪(刑法176条)が成立することが考えられます。

刑法176条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。

暴行とは殴る・蹴るといった行為だけでなく,押さえつける行為など有形力の行使全般をいい,脅迫とは害悪の告知をいいます。
わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが,反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要です。
一般に,わいせつな行為をされる場合,激しい抵抗があるのが普通ですので,わいせつな行為が行われた際には,反抗を著しく困難にする程度の暴行・脅迫があったと考えられます。
また,強制わいせつ罪の「暴行」と「わいせつな行為」が同じ行為でも強制わいせつ罪は成立するとされており,例えば被害者に抱き着いたような場合には,抱き着くという行為が「暴行」であり「わいせつな行為」であるととらえられることがあります。

もっとも,犯罪事実を立証する責任は検察官が負い,立証できなかった場合,すなわち,犯罪事実の存在が積極的に証明できなかった場合には,無罪の判断が下されることになります(「疑わしきは被告人の利益に」という考えです)。
ただし,個室でマッサージするような店舗であれば監視カメラなどがある場合も多く,犯罪事実が容易に証明できてしまうことも考えられます。

~個室マッサージ店の強制わいせつ事件の弁護活動~

強制わいせつ罪で起訴され有罪となった場合,強制わいせつ罪に罰金刑はありませんので,少なくとも執行猶予付きの判決となります。
今回のようなケースではいきなり実刑判決となることはほとんどないと思われますが,執行猶予であっても大きな不利益となります。
例えば,執行猶予期間中に交通事故を起こしてしまった場合などに,法的に執行猶予が付けられず実刑判決を受けざるを得ないという場合も考えられます。

また,前科が付くことになってしまうので,会社での評価・昇進や資格取得に影響を与える可能性も高いでしょう。
そのため,可能であれば事件を不起訴処分とすることが大切であるといえます。

今回のようなケースでは,被害者の方と示談が成立すれば検察官は事件を起訴猶予の不起訴処分とする可能性も十分に存在すると思われます。
しかし,今回のようなお店でのトラブルの場合,ご自身で示談をしようとしても店舗が法外な示談金を要求してくる場合もあります。
そういった場合でも,弁護士が間に入ると,適正な示談金となるケースも少なくありません。
有効な示談を成立させるためにも弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
個室マッサージ店などでトラブルを起こしてしまい刑事事件となってしまった場合には0120-631-881までお問い合わせください。
事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

風俗店で強制性交等未遂事件を起こしてしまった

2019-09-17

風俗店で強制性交等未遂事件を起こしてしまった

~ケース~
Aさんは、さいたま市浦和区内のビジネスホテルにデリヘル嬢Vさんを呼び、一般的なサービスを受けていましたが、本番行為はなされませんでした。
本番行為をしたいと思ったAさんはVさんに本番行為の交渉を行いましたが、拒絶されてしまったので、強制的に性交することを思い立ち、Vさんを羽交い絞めにするなどしましたが、Vさんが激しく抵抗したため、性交を遂げませんでした。
ホテルにデリヘル嬢Vさんの勤務する店舗の店員が現れ、示談金として300万円を要求されています。
そして300万円を支払えなければ、埼玉県浦和警察署に被害届を出し、勤務先にも連絡すると告げられました。
(フィクションです)

~強制性交等罪について~

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます)をする犯罪です(刑法第177条)。
強制性交等罪を犯し、有罪判決を受ける場合は、5年以上の有期懲役に処せられます。
13歳未満の者に対し性交等をした場合も、強制性交等罪が成立します。

刑法第180条によれば、未遂犯も処罰されるので、刑法第177条の暴行・脅迫を行ったが、性交等を遂げなかったという場合であっても、強制性交等未遂罪が成立します(13歳未満の者に対し、暴行・脅迫によらずに性交等を行った場合は、性交等を開始した時点から未遂犯が成立します)。

(暴行・脅迫の意義、程度)
強制性交等罪にいう暴行とは、身体に向けられた不法な有形力の行使をいい、脅迫とは、害悪の告知をいいます。
強制性交等罪が成立するのに必要な暴行・脅迫の程度は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り、反抗を抑圧する程度に達する必要はありません(最高裁昭和24年5月10日判決)。
刑法第177条の暴行・脅迫の有無は、暴行・脅迫の態様のほか、時間的・場所的状況、被害者の年齢・精神状態等の諸般の事情を考慮して客観的に判断されます。

~ケースの場合はどうか?~

風俗トラブルにおいては、特に犯罪にならない場合であっても、犯罪になると告げられ、示談金を要求されることがあります。
ケースの場合はどうでしょうか。
まず、AさんはVさんと強制的に性交することを企図し、Vを羽交い絞めにしています。
この行為は、Vさんの反抗を著しく困難にする程度の暴行と判断される可能性が高いと思われます。
Aさんは、Vさんの抵抗を受けたため、Vさんとの性交等を遂げませんでしたが、Vさんと性交することを企図し刑法第177条の暴行を行った以上、強制性交等未遂罪が成立する可能性は高いと思われます。
性犯罪に対する厳罰化が進んでいる現在、Vさんに被害届を出されてしまった場合、刑事事件化する可能性があります。
逮捕されるリスクについても否定することができません。

~示談を行い刑事事件化を防ぐ~

今回のようなケースでは、Vさんと示談をするなど、まずは刑事事件化を防ぐ活動が考えられます。
Vさんと示談が成立すれば、Vさんに被害届を出されずに済む可能性が高まります。
刑事事件化してしまった場合においても、「不起訴処分」がなされるなど、Aさんにとって有利な事件解決を実現できる可能性が高まります。

示談交渉はAさん自身でも行うことができますが、事件解決を急ぐあまりに不当な示談の条件を受諾してしまうなどの不利益を被る可能性があります。
また、風俗トラブルに関連した刑事事件では、風俗嬢の勤務先の店員がしばしば示談金を要求してくることもありますが、そもそもVさんを代理できる権能がない場合もありますですし、肝心のVさんが納得していない場合、法律的に無意味な示談を成立させることになってしまいます。
このような事態を回避するために、AさんとVさんの間に法律の専門家である弁護士を立たせ、妥当な金額による、法律的に意味のある示談を成立させることを目指すべきです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、風俗トラブルに関する刑事事件についても、初回無料相談を実施しています。
相談予約は24時間、フリーダイヤルで随時受け付けております(0120-631-881)。
強制性交等事件を起こしてしまった、風俗トラブルに関連した刑事事件でデリヘル嬢の勤務先から高額の示談金を要求されている、などお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

店長が風俗嬢に客の財布を盗ませたら?

2019-09-13

店長が風俗嬢に客の財布を盗ませたら?

横浜市保土ヶ谷区で無店舗型風俗店(デリヘル)を営む店長であるAさん(28歳)は、従業員の風俗嬢Bさん(20歳)から「お金で困っている」との相談を受けました。
Aさんは少年時代に他人の財布を万引きした前歴を有していたことから、Bさんに「お金に困ってるならお客の財布を盗んだら?」「シャワー中が一番盗りやすいよ」と言いました。
そこで、BさんはVさん宅でVさんにサービスを提供した後、Vさんが一人でシャワーを浴びている最中にVさんのバッグの中から財布を抜き取りました。
BさんはVさん宅を退出した後財布の中身を確認したところ、財布の中には1万円札5枚が入っていたためこれを抜き取り財布はその場に捨てました。
ところが、後日、Bさんは神奈川県保土ヶ谷警察署窃盗罪で、Aさんは窃盗罪の教唆犯で逮捕されました。
VさんがBさんが退出直後に財布がなくなっていることに気づき、神奈川県保土ヶ谷警察署に被害届を提出したことが逮捕のきっかけとなったようです。
(フィクションです)

~財布を盗んだBさんの罪は?~

Bさんが窃盗罪に問われることは明らかでしょう。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~財布を盗むよう提案したAさんの罪は?~

Aさんは直接にはVさんの財布を盗んだわけではありません。
しかし、直接犯行に関与していなくても罪に問われることがあります。
それが共犯の場合です。

共犯は①他人と意思疎通して協力しあって犯罪を実現する「共同正犯」、②人を唆して他人に犯罪を実現させる「教唆犯」、③他人の犯罪の実現を容易にするため手助けする「幇助犯」の3つに区分されます。
今回、Aさんは②の教唆犯に問われているようです。

~教唆犯とは~

教唆とは、まだ犯罪に対する実行の決意をしていない他人(今回の場合、Bさん)を唆して、犯罪実行の決意を生じさせることをいいます。

教唆犯は刑法61条1項に規定されています。

刑法61条
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

教唆が成立するには、

・人を教唆すること
・それに基づいて被教唆者が犯罪を実行すること

の2つの要件がそろうことが必要です。

教唆犯は、自ら犯罪を実行した者(正犯者(今回の場合、Bさん)といいます)と同様の地位にあることから、教唆犯にも正犯者と同様の刑を科すとされています。
教唆は、特定の犯罪の実行を決意させるに足りるもでなければなりませんから、単に「やってこい」とか「殺人をせよ」などと漠然と言っても教唆には当たりません。

~幇助犯、間接正犯とは~

幇助とは実行行為以外の行為をもって正犯を援助し、その実行行為を容易にすることをいいます。
幇助は、すでに犯罪実行の決意のある者の犯行を容易にする点が教唆と異なるところです。
そのため、正犯者より責任が軽いと考えられており、幇助犯の刑は正犯の刑を減軽する(必要的減軽)とされています(刑法63条)。

幇助犯が成立するには、

・人を幇助すること
・被幇助者が犯罪を実行すること

の2つの要件がそろうことが必要です。
AさんがBさんが財布を盗むことをしりつつ、被害者宅まで車で送り迎えした、などという場合は幇助犯となる可能性もあります。

他方、間接正犯とは、間接的に正犯を実行する、つまり人を道具として使って犯罪を実行することをいいます。
たとえば、Aさんに暴力を振るうなどしてBさんを抵抗できない状態にし、Bさんを使って財布を盗ませた、という場合は、間接正犯となる可能性もないわけではありません。
間接正犯も正犯と刑責は同じですから、減軽事由などはありません。
窃盗罪の正犯と同じく、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

複数の人が犯罪に絡んだ共犯事件では、そもそもどういった種類の共犯にあたるのか、その共犯がどういった刑罰を受けるのかといった部分が複雑で分かりづらいところです。
共犯の窃盗事件の当事者となってしまったら、まずは刑事事件のプロである弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
共犯の窃盗事件にお困りの際は、お気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

盗撮目的で風俗店に立ち入り逮捕が不安

2019-09-09

盗撮目的で風俗店に立ち入り逮捕が不安

東京都小金井市の個室ヘルスX店で勤務する風俗嬢Vさんを気に入り、足繁くX店に通っていた会社員のAさんは、Vさんの様子を盗撮したいと思い、盗撮用の小型カメラを持って営業中のX店の無施錠の裏口からX店へ入りました。
そのとき、Aさんは清掃中だったWさんと鉢合わせになり、行動を不審に思われ、X店店長に通報されてしまいました。
Aさんはその場で入ってきた裏口から外に出て立ち去りました。
ところが、後日、Aさんは、警視庁小金井警察署から建造物侵入罪の疑いで出頭するよう呼び出しを受けてしまいました。
事件当日のX店の防犯ビデオ映像から犯人としてAさんが浮上し、過去のX店の利用履歴、防犯ビデオ映像などからAさんが犯人だと特定されたようです。
逮捕されるのではないかと今後のことが不安になったAさんは、刑事事件の知識、経験が豊富な弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~建造物侵入罪とは~

Aさんが疑われている建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されています。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

ちなみに、住居に侵入した場合は住居侵入罪、邸宅に侵入した場合は邸宅侵入罪、130条後段の要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった場合は不退去罪に問われます。

建造物侵入罪は「正当な理由がなく」、「人の看守する建造物」に「侵入」した場合に成立する罪です。
建造物侵入罪の条文にある「人の看守する」とは、他人が事実上管理・支配していることをいいます。
そして、建造物侵入罪の「建造物」とは、一般に屋根を有し、障壁又は支柱によって支えられた土地の定着物であって、その内部に出入りできる構造を有するもの、とされています。
さらに、「侵入」とは、看守者の意思又は推定的意思に反して立ち入ることをいい、「正当な理由がなく」とは、行為に違法性があること、をいいます。

~Aさんに建造物侵入罪を問えるか?~

まず、個室ヘルス店Xは「人(店長)が看守する建造物」に当たるでしょう。

では、Aさんの立ち入りは「侵入」に当たるでしょうか?
この点、「侵入」に当たるかどうかは、行為の目的のみならず、行為の態様及び看守者等の意思・推定的意思を総合して検討すべきでしょう。

Aさんは、盗撮目的でX店内に立ち入っていますが、Aさんが立ち入った時点では盗撮目的での立ち入りかどうか客観的には判断しがたいでしょう。
ところが、AさんはX店の裏口から店内へ立ち入っています。
風俗店に客として立ち入る場合はお店の受付がある表口から立ち入るのが通常で、それ以外からの立ち入りは認められていないと考えられます。
よって、Aさんの立ち入りは「侵入」に当たるでしょう。

また、事例からでは、Aさんの行為を正当化する事由は認められませんから、Aさんの行為は「正当な理由がない」とされるでしょう。

以上から、Aさんは建造物侵入罪に問われる可能性が高いといえます。

~建造物侵入行為の上盗撮した場合は?~

今回、Aさんは建造物侵入行為をしたのみで実際に盗撮するまでには至っていないようですが、盗撮した場合はどんな罪に問われる可能性があるのでしょうか?
この点、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる東京都迷惑行為防止条例)には次の規定が設けられています。

条例5条1項
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。
1号 (略)
2号 次にいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ (略)

これからすると、風俗店の個室は「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たりそうです。
なお、実際に撮影した場合のみならず、撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置した場合(つまりカメラに映像等が移っていない場合)のみでも処罰の対象となることが分かります。

罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」又は、常習として行ったと認められた場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

かつては、公共の場所、公共の乗物以外の場所での盗撮は軽犯罪法(拘留又は科料)が適用されるのみでした。
しかしながら、よりプライベートな空間での盗撮が増えたことを受けて、東京都のような規定を設ける自治体が増えてきています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
風俗店での盗撮事件やそれにかかわる建造物侵入事件などの刑事事件・少年事件で逮捕される、警察に呼び出されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

強制性交等罪の検挙率

2019-09-05

強制性交等罪の検挙率

東京都大田区に住むAさんは、自宅で、デリヘル嬢Vさん(20歳)からサービスを受け終わった後、終了時間まで時間に余裕があり、Vさんに「本番できる?」と言ったところ断られたことから、両手でVさんを床に押し倒し、Vさんの両腕を押さえつけるなどしてVと本番行為に及びました。
その後、Vさんは自宅を退出し、数か月がたった今でも店やその地域を管轄する警視庁蒲田警察署から連絡はありません。
ところが、Aさんは「いつ逮捕されるのか?」と不安なまま毎日を暮らしています。
そこで、Aさんは刑事事件に精通している弁護士に今後の対応などについて相談することにしました。
(フィクションです)

~本番行為は強制性交等罪で当たり得る~

まず、ほとんどの風俗店で本番行為を禁止しています。
風俗嬢の承諾を得た本番行為が犯罪となる可能性は低いですが、風俗嬢やお店側とのトラブルを避けるためには本番行為はしない方が賢明です。
また、風俗嬢の承諾がない場合は犯罪となる可能性が出てきます。
本番行為の犯罪の代表は強制性交等罪(刑法177条)です。

刑法177条
13歳以上の者に対し暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有機懲役に処する。

13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。
そして、強制性交等罪の暴行・脅迫の程度は「相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度」であることが必要とされています。
具体的には、相手方を殴る、蹴る、叩く、武器を使用して殴る、叩く、馬乗りになる、羽交い絞めにする、縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょうし、言う通りにしなければ「殺すぞ」、「裸の写真をばらまくぞ、ネットに流すぞ」、「家に火をつけるぞ」などという行為が「脅迫」に当たるでしょう。

「性交等」とは、性交の他に、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。
性交とは膣内に陰茎を入れる行為、肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為、口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。

~強制性交等罪の高い検挙率~

警察の認知件数は、被害者が警察に被害届を出すなどして事件として認められた件数、検挙件数は、警察が認知した件数の中から実際に犯人を特定するに至り、捜査を始めた件数(身柄、在宅事件両方を含む)、検挙率とは検挙件数を認知件数で割った数値です。

平成30年度版犯罪白書によれば、強制性交等罪の認知件数は「1109件」、検挙件数は「1027件」でした。
したがって、強制性交等罪の検挙率は「92.6%」です。
このことは、「警察に認知されてしまえば、高い確率で検挙されてしまう」ということを意味しています。

~警察への認知を回避するためには?~

そこで、逮捕や処罰が不安な場合は、警察に事件を認知されないための手段を考える必要があります。
ここで、被害者を脅すなどの違法な行為に出てはいけません。
これを行うと、脅迫罪(刑法222条)や強要罪(刑法223条)などの罪に問われるおそれがあるからです。

適法な手段としては、被害者との示談交渉ではないでしょうか?
示談交渉を行って示談が成立し、被害者に「警察に被害届を提出しない」ことを確約していただければ、事件が警察に認知されることはないでしょう。

ただし、示談交渉は弁護士に任せましょう。
自ら行うと、それをきっかけとして逮捕されてしまうおそれが出てきますし、事案が事案なだけによほどのことがない限り、円満に示談交渉を進めることはできません。

また、立場上、被害者側から不当な要求を突き付けられても的確に反論することができないかもしれません。
この点、弁護士であれば円滑に示談交渉できる、そして、適切な内容・形式で示談を成立させることができる知識と経験を有しております。
お困りの際は弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
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風俗店の禁止区域での営業禁止~千葉県

2019-09-01

風俗店の禁止区域での営業禁止~千葉県

Aさんは、千葉県千葉市中央区で、店外には「マッサージ店」との看板を掲げていながら、実際には店内を個室で仕切り、その個室で女性従業員に客に対する性的なサービスを提供させていました。
ところが、ある日、Aさんは千葉県千葉中央警察署の突然のガサを受け、風営法違反で逮捕されてしまいました。
千葉県千葉中央警察署がある客から「マッサージ店で性的サービスを提供しているらしい」などとうタレコミを受けたことをきっかけに、本件が発覚したようです。
Aさんの妻は、Aさんに接見禁止が付いて面会できなかったことから、風俗事件の知識が豊富な弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~性的サービスを提供する風俗店の正式名称~

Aさんが逮捕された容疑である風営法は、正式名称を風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律といいます。
風営法では、「風俗営業」と「性風俗特殊関連営業」に対する規制などを規定しています。

このうち、性的サービスを提供する風俗店の営業は「性風俗特殊関連営業」に当たります。
さらに「性風俗特殊関連営業」は、店舗を設けて営業する「店舗型性風俗特殊営業」、店舗を設けないで営業する「無店舗型性風俗特殊営業」などに分かれます。
前者の例としては、ソープランド、ファッションヘルス、後者の例としては、デリヘルなどがあります。

~店舗型性風俗特殊営業に対する主な規制と罰則~

まず、店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、公安委員会(警察)への届出書を提出しなければなりません(風営法27条1項)。
この届出書を提出しないで性風俗特殊関連営業を営んだ方は、「6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金」を科されるか、あるいはその両方の刑を科される(併科)こともあります(風営法52条4号)。

次に、店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設、学校、図書館、児童福祉施設、都道府県の条例で定めるものの敷地の周囲200メートルの区域内で営んではいけません(風営法28条1項)。
また、各都道府県の条例で定める地域についても同様です(風営法28条2項)。

この点、千葉県では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例で、「千葉市中央区栄町のうち、栄町三十五番十四号先の富栄橋から栄町三十一番六号先交差点までの道路、栄町三十一番六号先交差点から栄町二十四番五号先交差点までの道路及 び栄町二十四番五号先から栄町二十七番二号先を経由し、栄町七番一号先交差点までの道路以北の区域」を除く、全ての市区町村で、ソープランド、ファッションヘルスを営むことが禁止されています。

風営法28条1項、風営法28条2項に違反した方いずれも「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金」を科されるか、又は両方の刑を科されることもあります(風営法49条5号、6号)。

~接見禁止が付いたら~

勾留後、「弁護人または弁護人となろうとする者以外の者」、つまりご家族らの方との面会が制限されることがあります。
それが、「被疑者・被告人に接見禁止決定が出た場合」です。
接見禁止決定とは、通常検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者・被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者・被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じる決定のことをいいます。
風営法で逮捕、勾留された場合、従業員らとの通謀を防止するため、接見禁止決定が出されることがあります。

接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。
これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。

他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。
全部解除となれば、制限なく接見できます。

また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

面会できなくお困りの際は、弁護士に接見を依頼するか、接見禁止の解除手続をしてもらいましょう。

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ヘルス店での盗撮で条例違反?

2019-08-28

ヘルス店での盗撮で条例違反?

Aさんは、性的サービスを受けようと思い、福岡県宗像市にある店舗型風俗ヘルスX店に入りました。
AさんはX店に所属するVさん(20歳)を指名し、Vさんがいる個室に入りました。
Aさんは、Vさんのことが気に入り、Vさんの裸の動画を撮って後で自分で楽しみたいと思いました。
そこで、Aさんは、Vさんに知られないように、部屋の片隅に予め動画撮影機の機能を起動させた小型カメラを設置しました。
そして、AさんはVさんから性的サービスを受けた後、一人でシャワーを浴びていたところ、Vさんから部屋の片隅に設置されてある小型カメラを見つけられてしまいました。
AさんはVさんから問い詰められたあげく、内容を確認すると、動画にはVさんの裸などが映っていたので、Aさんは盗撮したことを認めました。
Aさんは、その後、Vさんの上司であるXさんから「店に罰金100万円払わなければ福岡県宗像警察署に被害届を出す」と言われました。
そこで、Aさんは盗撮風俗トラブルの対応に慣れた弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ヘルス店で盗撮…どんな罪?~

まず、Aさんが行った盗撮行為(小型カメラを部屋の片隅に設置し、Vさんの裸などを動画撮影する行為)はどんな法令に違反するのでしょうか?
可能性のあるものを順にみていきましょう。

=各都道府県が自治体が定める条例=
たとえば、福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)6条3項には次の規定が設けられています。

条例6条3項
何人も、正当な理由がないのに、第1項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。

1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

住居、便所、浴場、更衣室は「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」の例示に過ぎません。
そして、本件風俗店個室は「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たりますから、Aさんは、条例違反に問われる可能性があります。

なお、自治体によっては、上記のような規定を設けていない自治体もあります。
こうした規定を設けている自治体の例としては、秋田県、東京都、神奈川県、群馬県、静岡県、愛知県、奈良県、福岡県などがあり、設けていない自治体としては、青森県、岩手県、茨城県、埼玉県、千葉県、長野県、広島県、山口県などがあります。
このような規定を設けていない自治体内の風俗店の個室でAさんと同様の行為を行っても条例違反として処罰される可能性は非常に低いと考えられます。

=軽犯罪法=
ただし、罰則は格段に落ちますが、軽犯罪法23号の窃視の罪に当たる可能性はあります。

同号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を「拘留又は科料」に処する旨定めています。

まず、「正当な理由がなく」と規定されていますが、ひそかにのぞき見る行為自体違法性を帯びる行為ですから、よほど例外的な場合でないかぎり「正当な理由あり」とされることはないでしょう。
「人の住居、浴場、更衣室、便所」は「人が通常衣服をつけないでいるような場所」の例示であり、風俗店の個室が「人が通常衣服をつけないでいるような場所」であることは上記条例の場合と同様です。
最後に、「のぞき見る」とは、肉眼で物陰や隙間からこっそり見ることを意味しますが、ビデオカメラを設置し録画した行為自体を「のぞき見る」に当たる旨判示した裁判例があります(福岡高裁平成27年4月15日判決)。

以上から、盗撮行為が条例に違反しない場合でも軽犯罪法に違反する可能性があります。

~ヘルス店での盗撮と弁護活動~

本件のようなヘルス店での盗撮事件の弁護活動は、示談交渉が中心になってくるかと思います。
しかし、こうしたケースでは、示談交渉を行うにあたって、いったい誰と示談交渉を行う必要があるのかという問題に当たることがあります。
本件では、示談交渉の相手はVさんでしょうか?
それともXさんでしょうか?

この点、Xさんからの「店に罰金100万円払わなければ警察に被害届を出す。」という主張は要は、「お店に100万円払え」という(Aさんの契約違反あるいは不法行為に基づく)請求ですから、まずはXさんと交渉する必要があるでしょう。
なお、Vさんが固有の損害を請求してきた場合は、それについても改めて対応しなければなりません。
また、風俗トラブルに絡んだ刑事事件では、示談金額をいくらにするかということもしばしば問題となります。
一概に、この事案だからいくら、この罪名だからいくらとは申し上げることはできません。
示談金額は事案の内容や交渉しだいで変動が生じるものなのです。

以上、示談交渉には様々な問題点がつきものです。
刑事事件になってしまった、もしくは刑事事件となりそうな風俗トラブルで示談交渉の必要が出てきたら、決して一人で解決しようとせず、示談交渉を得意としている弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件風俗トラブルなどの刑事事件を専門の法律事務所です。
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デリヘル嬢にレイプドラックで準強制性交等罪

2019-08-24

デリヘル嬢にレイプドラックで準強制性交等罪

京都府城陽市に住む会社員のAさんは、無店舗型デリヘル店に電話をかけ、風俗嬢Vさんを指名しました。
そして、Aさんは、指定した時間にVさんが自宅マンションへやって来たことからVさんを部屋の中に入れ、サービスを受けました。
実は、Aさんは以前からこのVさんを指名し続けており、Vさんとは顔なじみとなっていました。
そこで、AさんはVさんがAさんに気を許していることに付け込んで、Vさんに性交してやろうと考えていました。
Aさんは、予めコップの中に睡眠薬を入れ、シャワーから上がったVさんにそれを飲ませました。
するとVさんが段々とうとうとし始めたことから、Aさんはその隙に乗じてVさんに性交しました。
数時間後、Vさんが目を覚ましました。
Aさんは、Vさんから何か変なことはしていないか追及されましたが、その場は何とか言い逃れました。
ところが後日、Aさんは京都府城陽警察署準強制性交等罪で逮捕されてしまいました。
Vさんが専門機関に相談し、毛髪鑑定を行ったところ、Vさんの髪から睡眠薬の成分が検出されたことが逮捕のきかっけとなったようでした。
(フィクションです)

~ レイプドラックとは ~

レイプドラッグとは、薬を使用した性的暴行のことをいいます。
このレイプドラッグによる犯行が増えているそうです。
最近では、女性に薬物を飲ませて抵抗できない状態にした上で、性的暴行を加えたとして準強制性交等罪の疑いで逮捕されるというケースの事件も報道されています。
使用される薬としては、誰でも比較的入手することが容易な「睡眠薬」が多いそうです。

~ 準強制性交等罪 ~ 

ところが、薬を使用した性的暴行は「準強制性交等罪」という非常に重い罪に問われる可能性があることから注意が必要です。
準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されていますから、まず、その規定の内容を確認しましょう。

刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

前条とは刑法177条のことを指します。

刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「前条の例よる」とは、法定刑を177条と同様、5年以上の有期懲役とするという意味です。
執行猶予付き判決は、「3年以下の懲役又は禁錮」の判決を受けることが条件ですから、「5年以上の有期懲役」とはつまり、起訴され、有罪の判決を受ければ、基本的に「実刑となる」ことを意味しています。
このことから準強制性交等罪は非常に重い罪であることがお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいい、例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「心神喪失にさせる」手段には制限はありません。
麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

~ 毛髪鑑定の技術向上で立件・逮捕の可能性も? ~

通常、レイプドラックは密室で行われ、睡眠薬はわずか一日で体外へ排出されるために証拠に残りにくく、「レイプドラッグを行っても見つからない」などと思われている方もおられるかもしれません。
しかしながら、数か月たっても体内の微量な薬物を検出できる「毛髪鑑定」の技術が確立され、立件されるケースも増えてきている、と言われています。
「自分は大丈夫だ」などと過信せず、示談交渉などはやめはやめの対策を取っておくことも大切です。

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