ヘルス店での盗撮で条例違反?

ヘルス店での盗撮で条例違反?

Aさんは、性的サービスを受けようと思い、福岡県宗像市にある店舗型風俗ヘルスX店に入りました。
AさんはX店に所属するVさん(20歳)を指名し、Vさんがいる個室に入りました。
Aさんは、Vさんのことが気に入り、Vさんの裸の動画を撮って後で自分で楽しみたいと思いました。
そこで、Aさんは、Vさんに知られないように、部屋の片隅に予め動画撮影機の機能を起動させた小型カメラを設置しました。
そして、AさんはVさんから性的サービスを受けた後、一人でシャワーを浴びていたところ、Vさんから部屋の片隅に設置されてある小型カメラを見つけられてしまいました。
AさんはVさんから問い詰められたあげく、内容を確認すると、動画にはVさんの裸などが映っていたので、Aさんは盗撮したことを認めました。
Aさんは、その後、Vさんの上司であるXさんから「店に罰金100万円払わなければ福岡県宗像警察署に被害届を出す」と言われました。
そこで、Aさんは盗撮風俗トラブルの対応に慣れた弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ヘルス店で盗撮…どんな罪?~

まず、Aさんが行った盗撮行為(小型カメラを部屋の片隅に設置し、Vさんの裸などを動画撮影する行為)はどんな法令に違反するのでしょうか?
可能性のあるものを順にみていきましょう。

=各都道府県が自治体が定める条例=
たとえば、福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)6条3項には次の規定が設けられています。

条例6条3項
何人も、正当な理由がないのに、第1項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。

1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

住居、便所、浴場、更衣室は「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」の例示に過ぎません。
そして、本件風俗店個室は「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たりますから、Aさんは、条例違反に問われる可能性があります。

なお、自治体によっては、上記のような規定を設けていない自治体もあります。
こうした規定を設けている自治体の例としては、秋田県、東京都、神奈川県、群馬県、静岡県、愛知県、奈良県、福岡県などがあり、設けていない自治体としては、青森県、岩手県、茨城県、埼玉県、千葉県、長野県、広島県、山口県などがあります。
このような規定を設けていない自治体内の風俗店の個室でAさんと同様の行為を行っても条例違反として処罰される可能性は非常に低いと考えられます。

=軽犯罪法=
ただし、罰則は格段に落ちますが、軽犯罪法23号の窃視の罪に当たる可能性はあります。

同号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を「拘留又は科料」に処する旨定めています。

まず、「正当な理由がなく」と規定されていますが、ひそかにのぞき見る行為自体違法性を帯びる行為ですから、よほど例外的な場合でないかぎり「正当な理由あり」とされることはないでしょう。
「人の住居、浴場、更衣室、便所」は「人が通常衣服をつけないでいるような場所」の例示であり、風俗店の個室が「人が通常衣服をつけないでいるような場所」であることは上記条例の場合と同様です。
最後に、「のぞき見る」とは、肉眼で物陰や隙間からこっそり見ることを意味しますが、ビデオカメラを設置し録画した行為自体を「のぞき見る」に当たる旨判示した裁判例があります(福岡高裁平成27年4月15日判決)。

以上から、盗撮行為が条例に違反しない場合でも軽犯罪法に違反する可能性があります。

~ヘルス店での盗撮と弁護活動~

本件のようなヘルス店での盗撮事件の弁護活動は、示談交渉が中心になってくるかと思います。
しかし、こうしたケースでは、示談交渉を行うにあたって、いったい誰と示談交渉を行う必要があるのかという問題に当たることがあります。
本件では、示談交渉の相手はVさんでしょうか?
それともXさんでしょうか?

この点、Xさんからの「店に罰金100万円払わなければ警察に被害届を出す。」という主張は要は、「お店に100万円払え」という(Aさんの契約違反あるいは不法行為に基づく)請求ですから、まずはXさんと交渉する必要があるでしょう。
なお、Vさんが固有の損害を請求してきた場合は、それについても改めて対応しなければなりません。
また、風俗トラブルに絡んだ刑事事件では、示談金額をいくらにするかということもしばしば問題となります。
一概に、この事案だからいくら、この罪名だからいくらとは申し上げることはできません。
示談金額は事案の内容や交渉しだいで変動が生じるものなのです。

以上、示談交渉には様々な問題点がつきものです。
刑事事件になってしまった、もしくは刑事事件となりそうな風俗トラブルで示談交渉の必要が出てきたら、決して一人で解決しようとせず、示談交渉を得意としている弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件風俗トラブルなどの刑事事件を専門の法律事務所です。
風俗トラブルに絡んだ盗撮事件などの刑事事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお問い合わせを24時間受け付けております。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー