デリヘル嬢にレイプドラックで準強制性交等罪

デリヘル嬢にレイプドラックで準強制性交等罪

京都府城陽市に住む会社員のAさんは、無店舗型デリヘル店に電話をかけ、風俗嬢Vさんを指名しました。
そして、Aさんは、指定した時間にVさんが自宅マンションへやって来たことからVさんを部屋の中に入れ、サービスを受けました。
実は、Aさんは以前からこのVさんを指名し続けており、Vさんとは顔なじみとなっていました。
そこで、AさんはVさんがAさんに気を許していることに付け込んで、Vさんに性交してやろうと考えていました。
Aさんは、予めコップの中に睡眠薬を入れ、シャワーから上がったVさんにそれを飲ませました。
するとVさんが段々とうとうとし始めたことから、Aさんはその隙に乗じてVさんに性交しました。
数時間後、Vさんが目を覚ましました。
Aさんは、Vさんから何か変なことはしていないか追及されましたが、その場は何とか言い逃れました。
ところが後日、Aさんは京都府城陽警察署準強制性交等罪で逮捕されてしまいました。
Vさんが専門機関に相談し、毛髪鑑定を行ったところ、Vさんの髪から睡眠薬の成分が検出されたことが逮捕のきかっけとなったようでした。
(フィクションです)

~ レイプドラックとは ~

レイプドラッグとは、薬を使用した性的暴行のことをいいます。
このレイプドラッグによる犯行が増えているそうです。
最近では、女性に薬物を飲ませて抵抗できない状態にした上で、性的暴行を加えたとして準強制性交等罪の疑いで逮捕されるというケースの事件も報道されています。
使用される薬としては、誰でも比較的入手することが容易な「睡眠薬」が多いそうです。

~ 準強制性交等罪 ~ 

ところが、薬を使用した性的暴行は「準強制性交等罪」という非常に重い罪に問われる可能性があることから注意が必要です。
準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されていますから、まず、その規定の内容を確認しましょう。

刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

前条とは刑法177条のことを指します。

刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「前条の例よる」とは、法定刑を177条と同様、5年以上の有期懲役とするという意味です。
執行猶予付き判決は、「3年以下の懲役又は禁錮」の判決を受けることが条件ですから、「5年以上の有期懲役」とはつまり、起訴され、有罪の判決を受ければ、基本的に「実刑となる」ことを意味しています。
このことから準強制性交等罪は非常に重い罪であることがお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいい、例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「心神喪失にさせる」手段には制限はありません。
麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

~ 毛髪鑑定の技術向上で立件・逮捕の可能性も? ~

通常、レイプドラックは密室で行われ、睡眠薬はわずか一日で体外へ排出されるために証拠に残りにくく、「レイプドラッグを行っても見つからない」などと思われている方もおられるかもしれません。
しかしながら、数か月たっても体内の微量な薬物を検出できる「毛髪鑑定」の技術が確立され、立件されるケースも増えてきている、と言われています。
「自分は大丈夫だ」などと過信せず、示談交渉などはやめはやめの対策を取っておくことも大切です。

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