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【報道解説】執拗に風俗店の客引きをして風営法違反等の疑いで逮捕
【報道解説】執拗に風俗店の客引きをして風営法違反等の疑いで逮捕
執拗に風俗店の客引きをしたことにより、風営法違反や迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「風俗店などへの客引き行為を行ったとして、埼玉県警国際捜査課、組織犯罪対策課、保安課、大宮署は13日、風営法違反と埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで、中国籍の女5人を逮捕した。
逮捕容疑は、いずれもさいたま市大宮区内の路上で警戒中の捜査員に対して、風俗店に勧誘する目的で客引き行為をしたり、腕をつかむなどの執拗(しつよう)な方法で客引きをした疑い。
国際捜査課によると、逮捕されたのは、いずれも同市大宮区仲町1丁目のX1とX2の従業員ら。
両店舗を含むJR大宮駅周辺の歓楽街の複数店舗で料金トラブルの相談や110番があり、その捜査過程で今回の逮捕につながったという。
(令和4年6月14日に埼玉新聞より配信された報道より一部匿名表記にして引用)
【風適法違反になる客引き行為とは?】
報道に記載されている「風営法」とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」と言います。
風営法22条1項1号では風俗営業を営む者は、風俗営業に関して客引きをしてはならないとしており、同項2号では、風俗営業を営む者は、風俗営業に関して客引きをするめ、道路などの公共の場所で、人の身辺に立ちふさがったり、つきまとうことをしてはならないと規定しています。
この、客引き行為や、客引きのために道路などで人の身辺に立ちふさがったり、つきまとう行為が禁止される「風俗営業」とは、風営法2条1項各号に掲げる業種のうち、いずれかに該当する業種のことを言います。
①キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(風営法2条1項1号)
②喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)(同項2号)
③喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの(同項3号)
④まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業(同項4号)
⑤スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)(同項5号)
報道では、どのような業種に関する客引き行為が行われたのかが定かではありませんが、
上記いずれかの業種に関する客引き行為が行われた疑いで逮捕されたのだと考えられます。
そして、風営法22条1項1号、同項2号に違反すると、6ヶ月以下の懲役刑か、100万円以下の罰金刑、又はこの懲役刑と罰金刑が併科されることになります(風営法52条1号)。
【迷惑行為防止条例違反になる客引き行為とは】
埼玉県迷惑行為防止条例7条1項1号では、公共の場所における客引き行為を禁止しています。
客引き行為が禁止されるものとしては、
①人の性的好奇心をそそる見せ物、物品若しくは行為又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供(同条例7条1項1号イ)
②歓楽的雰囲気を醸し出す方法により異性の客をもてなして飲食させる行為又はこれを仮装したものの提供(同号ロ)
③人の性的好奇心をそそる行為を提供する営業又は歓楽的雰囲気を醸し出す方法により異性の客をもてなして飲食させる営業に関する情報の提供(同号ハ)
④売春類似行為(同条例7条1項3号)
といったものがあります。
このような規制に加えて、埼玉県迷惑行為防止条例では、客引きの業種を問わずに、「人の身体、衣服若しくは所持品をとらえ、立ちふさがり、つきまとう等執ような方法」で行う客引きについても禁止しています(同条例7条1項6号)。
報道では、腕をつかむなどの執ような方法で客引きをした疑いがあるとのことですので、この埼玉県迷惑行為防止条例7条1項6号に当たるとして逮捕された可能性があります。
なお、こうした埼玉県迷惑行為防止条例7条1項の規定に違反して客引きをした場合の法定刑は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています(同条例13条2項3号)。
【客引きをした疑いで逮捕された方が身近にいる方は】
身近な方が、客引きをしたことにより警察に逮捕されてしまい、どうすればよいのか分からず不安に思っていらっしゃる方は、弁護士に初回接見に向かってもらうように依頼されることをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が逮捕されたご本人から直接事件についてお話を伺うことで、事件の見通しや今後どのような流れで捜査が進んでいくのかということについて知ることができるでしょう。
また、今回取り上げた報道のように逮捕された方が外国籍の方であって、仮に日本語に不慣れな方であるという場合には、必要に応じて初回接見の段階から通訳人を付けて接見を行うことも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
身近に風俗店の客引きをした疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】風俗嬢を盗撮して懲戒処分
【報道解説】風俗嬢を盗撮して懲戒処分
風俗店で働く女性とのわいせつな行為を盗撮したことにより、職場より停職3か月の懲戒処分を受けた刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)は25日、女性とのわいせつな行為を盗撮したとして、同基地第3補給処の40代の1等空曹男性を同日付で停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
同基地によると、男性1曹は昨年8月11日正午ごろ、東京都豊島区の宿泊施設で、自分の携帯電話のカメラをベッドの棚付近に置き、風俗店員女性とのわいせつな行為を盗撮したという。
同日、警視庁池袋署から男性1曹の上司に身元確認の連絡があり、同基地で調査したところ、盗撮を認めたという。
男性1曹は『自分で観賞する目的だった』と話しているという。
(令和4年5月26日に埼玉新聞より配信された報道より引用)
【宿泊施設での盗撮行為はやってはいけないのか?】
盗撮行為は、各自治体が定める条例(「迷惑行為防止条例」という名前である事が多いです)によって禁止されています。
各自治体が定める迷惑行為防止条例が、どのような場所における盗撮行為を禁止しているかによって、盗撮行為が処罰の対象になるのかどうかが異なってきます。
東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロでは、「不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所」における、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」の盗撮行為を禁止しています。
報道では、宿泊施設における盗撮行為が問題となっていますが、宿泊施設は不特定又は多数の者が利用又は出入りする場所に当たると考えられます。
そして、そのような宿泊施設において、風俗店員女性とのわいせつな行為の様子を盗撮することは、通常衣服で隠されている人の身体を盗撮することになります。
従って、東京都豊島区にある宿泊施設において風俗店の女性とのわいせつな行為の様子を盗撮する行為は、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号ロに違反する行為になり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります(同条例8条2項1号)。
【風俗トラブルの早期解決を目指すためには】
報道でとり上げられている特別職の国家公務員である自衛隊員や、一般職の国家公務員、地方公務員の職にある方が、盗撮事件を起こし、それが勤務先に発覚した場合、懲戒処分の対象になる可能性が高いです。
そのため、風俗店で働く女性を盗撮してしまい、女性や店とトラブルになってしまった方で、刑事処分に加えて懲戒処分についても回避したいとお考えの方は、いち早く弁護士に相談して、盗撮での風俗トラブルについて刑事事件化を阻止することが重要になります。
警察に盗撮について通報されたり、被害届を出されたりする前に、弁護士を通して、被害者の方と示談を締結することが出来れば、警察や職場に知られることなく、盗撮での風俗トラブルを解決する可能性が高まることになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務には、盗撮での風俗トラブルについて、刑事事件となる前に被害者の方と示談を締結したことで、風俗トラブルが刑事事件になることを回避した経験のある弁護士が在籍しております。
盗撮での風俗トラブルでお困りの方、職場に風俗トラブルが発覚するのを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務まで一度ご相談ください。
【報道解説】職業安定法違反の疑いで逮捕されたケース
【報道解説】風俗店の紹介で職業安定法違反で逮捕
女性に対して風俗店で働くことを紹介したとして、職業安定法違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「風俗店で働くようSNS上でスカウトしたとして、警視庁は、不動産仲介会社役員の男(37)を職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで逮捕し、17日発表した。
25個のツイッターアカウントを使いこなし、昨年だけで50人の女性を風俗店につないでいたという。
容疑を認め、『ツイッターなら警察に捕まらないと思った』と供述しているという。
生活安全特別捜査隊によると、男は2020年10月、ツイッターで勧誘した20代女性に東京都台東区の吉原地区にあるソープランドを紹介して働かせた疑いがある。
男はツイッターで、『今よりもっと稼ぎたい』『スカウトに話を聞いて欲しい』『お金持ちのパパと知り合いたい』などの項目を挙げ、『当てはまった方はご連絡ください』と呼びかけて女性を募っていた。
男は約15年前からスカウト業をしており、以前は新宿・歌舞伎町などの路上でスカウト行為をしていたが、警察に摘発されるリスクが高いと考え、約5年前からツイッターを使うようになったという。
紹介した女性の売り上げに応じて風俗店から報酬を受け取り、正業の不動産仲介会社の収入とは別に月60万円程度を得ていたとみられるという。
同隊幹部は『近年、路上スカウトの摘発逃れの目的で、ネット上での勧誘が目に付く。積極的に取り締まっていく』と話している。」
(5月17日朝日新聞DIGITALで配信された報道より引用)
【職業安定法違反とは】
報道では、SNSで勧誘した女性に風俗店(ソープランド)を紹介したことにより、職業安定法違反の疑いで逮捕されたとあります。
ここで適用されている職業安定法とは、職業の紹介、労働者の募集、労働者の供給に関するルールを定めている法律です。
この職業安定法の中には、違反すると刑事罰が科されることになる規定があります。
そのひとつが、今回、報道において男性が逮捕される理由となった有害業務の紹介を禁止する職業安定法63条2号です。
職業安定法63条2号では、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者に、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金を科すとしています。
少し複雑ですので整理しますと、職業安定法63条2号の処罰の対象になるのは、
①ー1公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った者かこれに従事した者
①ー2公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った者かこれに従事した者
①ー3公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で労働者の供給を行った者かこれに従事した者
②ー1公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った者かこれに従事した者
②ー2公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った者かこれに従事した者
②ー3公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の供給を行った者かこれに従事した者
となります。
性風俗店などの性的なサービスを提供する職業を紹介した場合には、上記②ー1の「公衆道徳上有害な業務」に就かせる目的で「職業紹介」を行った者として、職業安定法63条2号違反となる可能性が高いです。
ここで、「公衆道徳上有害な業務」とは、「社会共同生活において守らなければならない道徳に著しく反し、社会の善良な風俗を害するおそれのある業務」のことを意味します。
「公衆道徳上有害な業務」に当たるかの判断については具体的な事案に応じて判断されることになりますが、金銭を受け取って性行為を提供する売春行為は「公衆道徳上有害な業務」にあたる典型的なものと考えられています。
そのため、金銭を支払って、いわゆる本番行為の提供を行うソープランドでの業務は売春行為に準じるものとして「公衆道徳上有害な業務」に当たることになるでしょう。
「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることを言います(職業安定法4条1項)。
今回逮捕された男性が具体的にどのような紹介を行ったかについては報道から明らかではありませんが、男性は、ソープランドから求人の申し込みを受けるとともに、SNS上で応募してきた女性から求職の申し込みを受け、この両者の間を取りもつことで、ソープランドと女性との間に雇用関係を成立を円滑にさせたことを理由に、「職業紹介」を行った者と判断されたのでしょう。
【ご家族の中に職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいる場合は】
ご家族の中で有害な業務を紹介したことを理由に職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいる場合は、いちはやく弁護士に相談して、弁護士に初回接見に向かってもらうことをお勧めします。
初回接見とは、弁護士が逮捕されている方が留置されている警察署などを訪れて、逮捕されている方と面会する、その1回目の面会のことをいいます。
原則として逮捕後72時間は、ご家族の方であっても面会することはできませんが、弁護士であれば、逮捕後72時間以内であっても、逮捕された方と立会人なしに自由に面会することができます。
この初回接見により、事件の見通しや手続きの流れについて知ることができるというメリットや、今後の取調べに対するアドバイスを受けることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、職業安定法違反に関する刑事弁護活動の経験がある弁護士が在籍しております。
ご家族の中で、有害な業務を紹介した職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。
【報道解説】児童福祉法違反で逮捕
【報道解説】児童福祉法違反で逮捕
女子中学生を風俗店で働かせたことにより児童福祉法違反で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「採用面接の際に年齢確認をせずに女子中学生を風俗店で働かせたとして、東京都内を中心に営業する無店舗型デリヘル店「ラストJK」の経営者の男(44)と従業員の男(29)を、児童福祉法違反(淫行させる行為など)の疑いで逮捕し、31日発表した。
2人とも『自分が面接をしたかは覚えていない』と話しているという。
2人は昨年12月17日、当時中学3年生の女子生徒(15)=東京都=が18歳未満なのに年齢を確認せずにホテルに派遣し、40代の会社員男性とわいせつな行為をさせた疑いがある。
女子生徒は8カ月前の採用面接時に19歳と自称していたが、男らはそれを厳格に確認せず、週3回のペースで働かせ続けていたという。
(5月31日に朝日新聞DIGITALより配信されたニュースより引用)
【淫行させる行為とは】
報道で取り上げられている「淫行させる行為」とは、児童福祉法34条1項6号に規定されている行為です。
児童福祉法34条1項6号では、18歳に満たない児童に淫行をさせる行為を禁止しています。
「淫行をさせる行為」のうち、「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為のことを意味します。
児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為については、「淫行」に含まれます。
そして、「淫行をさせる行為」のうち、「させる行為」とは、直接・間接的に児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行を行うことを助長し促進する行為を意味します。
デリヘルで女性を性的なサービスを提供させる目的で働かせるにあたっては、業務委託契約等の契約を結んでいることが多いです。
そして、そのような契約に基づいて児童にデリヘルで働かせるという行為は、児童を性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準じるような性交類似行為を児童が行うことを促進、助長させる行為に当たると考えられますから、「淫行をさせる行為」に当たることになるでしょう。
【児童に淫行をさせる行為させるとどのような刑罰が科されるのか】
児童福祉法34条1項6号に違反して、児童に淫行をさせる行為をしてしまうと、児童福祉法60条1項によって、10年以下の懲役刑、若しくは300万円以下の罰金刑、又はこの懲役刑と罰金刑が併わせて科されることになります。
【18歳未満であることを知らなかった場合はどうなるのか】
児童福祉法60条4項では、児童を使用する者は、児童の年齢を知らないという理由では、同法60条1項の処罰を免れることができないとしています。
ただし、児童の年齢を知らないことについて過失がない場合は、処罰を免れることができます。
デリヘルでこれから人を働かせようとする場合は、当然年齢確認を行うことが求められます。
そのため、年齢確認を行わなかった場合や、年齢確認をいいかげんに行った場合によって、18歳未満であると知らなかった場合は、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないとはいえないと判断されることになるでしょうから、この場合、仮にデリヘルで働かせた人が18歳未満であることについて知らなかったとしても、児童福祉法60条1項による処罰の対象になる可能性が高いと言えます。
【児童福祉法違反の疑いで逮捕されたら】
児童福祉法34条1項6号違反に科される刑罰は、児童福祉法の中で最も重いものとなっています。
そのため、「児童に淫行をさせる行為」をしたとして、警察に逮捕された場合、いち早く弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、取調べのアドバイスを受けることができますし、また、事件の見通しや今後の手続きの流れを知ることもできるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の中で、児童福祉法違反の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務まで一度ご相談下さい。
【報道解説】公然わいせつ罪(幇助含む)で逮捕
【報道解説】公然わいせつ罪(幇助含む)で逮捕
公然わいせつ罪および公然わいせつ罪の幇助の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「客の男女に公然とわいせつな行為をする場所を提供したとして、警視庁は、東京都渋谷区道玄坂2丁目のハプニングバー『Sleeping Beauty~眠れる森の美女~』の経営者の男(40)と、同店のスタッフで21~42歳の男女9人の計10人を公然わいせつ幇助(ほうじょ)の疑いで現行犯逮捕し、9日発表した。
保安課によると、10人は共謀し、5月7日深夜、同店の利用客の男(34)と女(27)=いずれも公然わいせつ容疑で現行犯逮捕=に個室を提供し、他の客の前でわいせつな行為をするのを手助けした疑いがある。
個室は『プレールーム』と呼ばれ、マジックミラー越しに外から様子が見える状態だった。
経営者の男を含む4人が容疑を否認し、残りの6人は容疑を認めているという。」
(令和4年5月9日に配信された朝日新聞DIGITALより引用)
【ハプニングバーとは】
ハプニングバーとは、会員制のバーの形態でお酒の提供を受けながら、様々な嗜好をもった会員同士がバーの中で交流し、場合によっては「ハプニング」と称して会員同士で性的接触を行うことができるバーのことを意味するようです。
各社報道によると、本件のハプニングバーの中には80人ほどの会員がおり、その多くが、ローション入りの水鉄砲を打ち合うイベントが開催に参加していたとのことです。
【公然わいせつ罪とは】
公然わいせつ罪は、刑法174条に規定されている犯罪で、「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」とされています。
公然わいせつ罪が成立するためには、①「公然と」②「わいせつな行為をした」という2つの要件を満たす必要があります。
簡単にそれぞれの要件について説明します。
公然わいせつ罪の1つ目の要件である「公然と」とは、不特定又は多数の人が認識することができる状態をいい、実際に不特定又は多数の人が認識する必要はありません。
この公然性の要件については、会員制の形を取って会員以外の外部の人が出入りできないような場所であっても、不特定又は多数の人が認識することができる状態であると考えられています。
報道によると、性行為を行った場所は、バーの中にあるプレールームと呼ばれる個室で、取り付けられたマジックミラーによって個室の様子を外から伺うことができる状態であった様です。
そのような状態の個室で性行為を行うことは、バーの中にいた多数の会員が認識できる状態で性行為を行ったといえますので、「公然と」との要件は満たされることになるでしょう。
公然わいせつ罪の2つ目の要件である「わいせつな行為」の「わいせつ」の意味については、性欲を刺激、興奮又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為のことをいいますが、その判断については、その時代の社会通念を踏まえた価値判断となりますので、「わいせつな行為」に当たるかについては難しい判断が必要になる場合があります。
もっとも、性交渉を見せる行為や、性器を露出する行為は「わいせつな行為」の典型例といえますので、プレールームで性行為を行っていた会員は、「わいせつな行為」をしたといえるでしょう。
【公然わいせつ罪の幇助とは】
報道では、実際に性交渉を行っていた2人が公然わいせつ罪の疑いで、その他の従業員が、公然わいせつ罪の幇助の疑いで現行犯逮捕されたとあります。
幇助とは、刑法62条1項に規定されている犯罪類型で、犯罪を行うことを容易にするために手助けする行為のことをいいます。
本件では、外から部屋の内部を伺うことができるマジックミラーを付けた個室を会員に提供することで、不特定又は多数の会員が性行為を認識できるような状態にしたことが、公然わいせつを容易にしたといえますので、そのような個室を提供した従業員が公然わいせつ罪の幇助犯として逮捕されたのでしょう。
【公然わいせつ罪、公然わいせつ罪の幇助の疑いで摘発された場合の弁護活動】
今回とりあげた事件の場合、バーの中にいた会員は、ハプニングバーがどのようなコンセプトのバーであるかを理解しており、バー内部で性行為が行われていることについても想定していたと考えられますので、そのような会員を公然わいせつ罪の被害に遭われてしまった方ということは出来ないでしょう。
従って、被害者の方がいない公然わいせつ事件の場合、被害者の方と示談をするという刑事弁護活動は行うことができません。
このような場合、罪を犯したことについて真摯な反省を示すことが非常に重要になります。
反省を示すひとつの方法として、日弁連や弁護士会、犯罪被害者の支援団体、更生保護施設などに贖罪寄付という寄付を行うことがありますが、贖罪寄付を行うにあたっては、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
贖罪寄付を行う前に、そもそも、贖罪寄付を行うことが有効な事件であるのか法律のプロである弁護士が判断する必要がありますし、また、贖罪寄付は、ただ単に寄付をすれば良いという訳ではないので、どのような寄付先を選べばよいのか、どの程度の額を寄付すれば反省の意思を有効に示すことができるのかといったことについて、弁護士からアドバイスを得る必要があるでしょう。
それに加えて、贖罪寄付はあくまで反省を示すひとつの要素でしかありませんので、真摯に反省しているということを、起訴前であれば検察官に、起訴された後であれば裁判官に理解してもらうためには、贖罪寄付をしたという事実だけでなく、さまざまな方法で伝える必要があります。
そうした検察官や裁判官とのやりとりには、弁護士を付けることが大変効果的です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、被害者の方がいない公然わいせつ事件において贖罪寄付などの刑事弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
公然わいせつ事件の摘発を受けてお困りの方、贖罪寄付をお考えになっている方は、まずは一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで御相談ください。