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店舗型性風俗特殊営業と規制
店舗型性風俗特殊営業と規制
東京都武蔵村山市に住むAさんは、東京都武蔵村山市内で、風俗(いわゆるソープ)を無届で営んだとして、警視庁東大和警察署に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反(風営法違反)で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんを早期に釈放してもらうべく、風俗関係に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
先日の「風営法の「風俗」とは」では「風俗」の意義や風営法で規制される営業の区分、内容についてご説明いたしました。
風営法では第1章の「総則」に続き、
第2章 風俗営業の許可等
第3章 風俗営業者の遵守事項問う
第4章 性風俗関連特殊営業等の規制
第5章 監督
第6章 雑則
第7章 罰則
という構成となっています。
本日は、第4章「性風俗関連特殊営業等の規制」のうち、店舗型性風俗特殊営業の規制について一部ご紹介したいと思います。
~ 営業等の届出(風営法27条関係) ~
店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別(ソープ、ヘルス、ストリップ劇場など)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、届出書を提出しなければなりません。
届出書の提出先は公安委員会ですが、実際の窓口となっているのは所轄の警察署です。
警察のホームページには、届出書の様式も掲載されてありますから、興味のある方は一度確認してみてください。
また、営業を廃止したとき、届出書に記載した事項に変更があった場合も同様です。
~ 禁止区域での営業禁止(風営法28条1項、2項関係) ~
店舗型性風俗特殊営業は、学校、図書館、児童福祉施設、都道府県の条例で定めるものの敷地(※1)の周囲200メートルの区域内で営んではいけません(風営法28条1項)。
また、各都道府県の条例で定める地域(※2)についても同様です(風営法28条2項)。
※1、2について
福岡県を例にとると、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(以下、条例)」に規定されています。
※1については、条例10条で、家庭裁判所、児童相談所、少年院、少年鑑別所などの施設が規定されています。
※2については、条例11条で、店舗型性風俗特殊営業の種別ごとに禁止される地域が規定されています。
ちなみに、ソープに関しては、「福岡県の全地域(北九州市小倉北区船頭町三番並びに福岡市博多区中洲一丁目及び二丁目を除く。)」とされています。
~ 客引き行為等の禁止(風営法28条12項関係) ~
店舗型性風俗特殊営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならないとされています。
1号 当該営業に関し客引きをすること
2号 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
3号 営業所で18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
4号 18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること
5号 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること
~ 違反したらどうなる? ~
行政責任と刑事責任の2つを負う場合があります。
= 行政責任 =
・8月以内での営業の全部又は一部の停止
・営業の廃止(禁止区域で営業した場合)
※これらの処分をするか否かは管轄する公安委員会の裁量によります。
= 刑事責任 =
・無届(風営法27条違反)
→6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科(風営法52条4号)
・禁止区域での営業(風営法28条1項、2項違反)
→2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は併科(風営法49条5号、6号)
・客引き行為等(風営法28条12項1号、2号)
→6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科(風営法52条1号)
・18歳未満の者を客に接する業務に従事させることなど(風営法28条12項3号から5号)
→1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科(風営法50条1項5号)
~ おわりに ~
これから風俗関係の営業をはじめようとしている方、すでにしている方でご心配な方は、今一度風営法の規定を確認されることをお勧めいたします。
もしも風営法違反に該当してしまっており、逮捕や刑事事件化が不安だという方は、一度、弁護士へご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
(警視庁東大和警察署までの初回接見費用:37,400円)
「風俗」を規制する風営法
「風俗」を規制する風営法
東京都板橋区に住むAさんは、東京都板橋区内で、風俗(いわゆるソープ)を無届出で営んだとして、警視庁志村警察署に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反(風営法違反)で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんを早期に釈放してもらうべく、風俗関係に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 混合される「風俗」の意義 ~
風俗を取り締まる法律が風営法です。
しかし、皆さんがイメージされる「風俗」と風営法で規制される「風俗」とはその意味が異なると思いますから、まずはそのあたりから説明させていただければと思います。
= 皆さんがイメージされる「風俗」 =
皆さんがイメージされる「風俗」とは
・ソープランド(いわゆるソープ)
・ファッションヘルス
・デリバリーヘルス(いわゆるデリヘル)
などではないでしょうか?
しかし、風営法上、これらの営業は「風俗」や「風俗営業」とは規定されておらず、「性風俗関連特殊営業」と規定されています。
そして、風営法の言う「性風俗関連特殊営業」は、さらに
・店舗型性風俗特殊営業
・無店舗型性風俗特殊営業
・映像型風俗特殊営業
・店舗型電話異性紹介営業
・無店舗型電話異性紹介営業
に区分されています(風営法2条5項)。
そのうち「店舗型性風俗特殊営業」は、さらに、1号から6号に区分され、ソープランドは1号に、ファッションヘルスは2号に当たります。
また、デリバリーヘルスは無店舗型性風俗特殊営業に当たります。
= 「性風俗関連特殊営業」≠「風俗営業」 =
では、風営法で規定されている「風俗営業」とは何かというと、風営法2条1項各号に規定されており、具体例を挙げると、
1号 キャバレー、スナック、パブ、キャバクラ、ラウンジ
2号 カップル喫茶など
3号 ネットカフェなど
4号 マージャン店、パチンコ店など
5号 ゲームセンター、ダーツバー
です。
風営法では、パチンコ店やゲームセンターも規制の対象としており、皆さんが一般的にイメージされる「風俗」=「風俗」ではないことがお分かりいただけるのではないかと思います。
~ 店舗型性風俗特殊営業の内容 ~
先ほど「店舗型性風俗特殊営業」は1号から6号に区分されているとご説明いたしました。
ここでは、その具体的内容についてご紹介いたします。
まず、「店舗型性風俗特殊営業」については風営法2条6項各号に規定されています。
1号 浴場業(略)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業
3号 専ら、性的好奇心をそそるため衣服の脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業
4号 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する政令で定める施設を設け、当該施設を当該施設に宿泊に利用させる営業
5号 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
6号 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良な風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの
1号の例はソープランド、2号はファッションヘルス、3号はストリップ劇場、個室ビデオ、4号はラブホテル、5号はアダルトショップなどがあります。
~ おわりに ~
以上、風営法で規制される「風俗」の内容をご説明いたしました。
次回以降は、店舗型性風俗特殊営業に対する規制の内容や罰則などについてご説明していきたいと思います。
・これからソープ、デリヘルなどの経営を検討中の方
・今、現在経営されているが、逮捕されそうか心配
などという方は、ぜひ、ご一読ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
弊所では、突然の逮捕でお困りの方のために、土日・祝日を問わず24時間、弊所の初回接見サービスを受け付けております。
依頼を受けた弁護士は速やかに逮捕された方と接見し、今後の弁護方針や事件の見通しなどをご説明させていただきます。
(警視庁志村警察署までの初回接見費用:37,100円)
福岡県豊前市で売春防止法違反事件
福岡県豊前市で売春防止法違反事件
福岡県豊前市で風俗店を経営するAさんはマッサージ店を装い本番行為,いわゆる売春をさせる店を経営していた。
表向きは通常のマッサージ店であるが,常連客や紹介された客に対して隠し部屋で本番行為をさせていた。
情報を得た福岡県豊前警察署は常連客から紹介された客を装い店舗に赴いたところ,本番行為が行われていることが確認された。
Aさんは福岡県豊前警察署に売春防止法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
~売春防止法~
売春防止法は法令名の通り売春の防止を目的とした法律です。
売春防止法では,売春行為の禁止規定はありますが,売春そのものは処罰されません。
一方,売春を防止する観点から売春を助長する行為等は処罰されます。
売春を助長する行為として,売春防止法第11条は売春の場所を提供することを禁止しています。
売春防止法第11条
1項 情を知つて,売春を行う場所を提供した者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2項 売春を行う場所を提供することを業とした者は,7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。
売春防止法にいう「売春」とは対償(現金等)を受け,又は受ける約束で,不特定の相手方と性交をすることと定義されています(売春防止法第2条)。
そして,Aさんが従業員に売春行為をさせていた場合には,売春をさせる契約をであるとして売春防止法第10条で禁止されている事項に該当します。
売春防止法第10条
1項 人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
Aさんが積極的に従業員に本番行為をさせていたのか,従業員が勝手に本番行為をしておりAさんは場所を提供したに過ぎないのかによって第10条違反となるか,第11条違反となるか異なります。
ただし,法定刑は同じですし,場合によって両罪が成立してしまう可能性もあります。
さらに,従業員を特定の住居などに居住させていたような場合には売春防止法第12条に違反する可能性もあります。
売春防止法第12条
人を自己の占有し,若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ,これに売春をさせることを業とした者は,10年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。
~風俗適正営業法違反~
また,Aさんのマッサージ店でない営業に関して店舗型性風俗特殊営業(風適法2条6項2号)であるとみなされる場合もあります。
風適法2条6項2号
個室を設け,当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業
風俗営業を営む場合には都道府県公安委員会の許可を受けなければなりませんが,Aさんは表向きはマッサージ店の経営をしていることになっていますので,風俗営業の許可を取っていないと考えられます。
風俗営業の無許可営業は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金となり,併科される場合もあります(風適法49条1項)。
~弁護活動~
売春防止法違反や風適法で摘発された場合,基本的には刑事裁判を受けて刑事処罰が科せられます。
事実無根による摘発の場合には無罪を主張することになりますが,警察なども違反事実を確認してから逮捕等をする形になりますのでそのようなケースは稀でしょう。
今回のケースのような場合,成立しうる罪はいくかのパターンが考えられます。
弁護士は様々な事実を確認し,成立しない罪で刑事罰を科せられるような場合には裁判で罪が成立しない(=無罪である)事を主張していきます。
具体的にどういった事情で,どのような罪が成立するかの判断は難しいため,風俗トラブル関係の刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
風俗トラブル関係の刑事事件の取扱い実績も多数ございます。
風俗トラブル関係で刑事責任を問われてしまうのではとお困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署等での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(福岡県豊前警察署での初回接見費用:46,040円)
風俗店から身に覚えのない示談金を要求
風俗店から身に覚えのない示談金を要求
~ケース~
Aさんは、京都市北区内のラブホテルにデリヘル嬢を呼び、サービスを受けました。
Aさんが見た風俗店のホームページには明確に「本番禁止」の旨が記載されていましたが、Aさんはホテルにやってきたデリヘル嬢に本番行為ができないか、と持ちかけました。
デリヘル嬢はAさんの求めを拒否したので、Aさんはこれに従い性交をせずにプレイを終えました。
その後、Aさんの携帯に風俗店から電話があり、「女の子が無理矢理されそうになったと言っている。示談金として300万円を払え。払えないなら京都府北警察署に行くぞ」と言われ、大変困惑しています。
(フィクションです)
~Aさんが仮に「無理矢理」していたとしたら…~
今回の事例で、仮にAさんがデリヘル嬢の拒否に従わず、無理矢理性交をしていれば、強制性交等罪あるいはその未遂罪が成立する可能性が高いと思われます。
強制性交等罪に関する刑法の条文は次の通りです。
刑法第177条「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする」(強制性交等罪)
刑法第180条「第176条から前条までの罪の未遂は、罰する」(未遂犯処罰規定)
本罪にいう「暴行」「脅迫」に該当するには、相手方の反抗を抑圧する程度のものであることを必要とせず、その反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足ります(最高裁昭和24年5月10日判決)。
そのため、13歳以上の女性と単に性交しただけで強制性交等罪が成立することはありません(ただし、性交の相手方が18歳未満であれば青少年健全育成条例違反の罪、18歳未満の相手方に対価を与えて性交すれば、児童買春の罪が成立します)。
なお、13歳未満の者と性交等した場合は、暴行、脅迫によらなくても、強制性交等罪を構成することになり、同意があった場合も強制性交等罪となります。
~Aさんは無理矢理やっていないが…~
Aさんはデリヘル嬢に暴行、脅迫を用いて性交等をしておりませんから、Aさんに強制性交等罪が成立することはありません。
Aさんは本番行為を持ちかけてはいますが、暴行に該当することはありませんし、「本番できないか?」と申し向けたことが「脅迫」と評価されることはおそらくないでしょう。
持ちかけた程度では性交等に向けた行為にも手をつけておらず、未遂にもなりません。
(ではなぜ風俗店は示談金を要求してきたのか)
デリヘル嬢の思い違いや、何らかの理由によりプレイ当時の話を脚色、誇張して風俗店に報告したということが考えられます。
悪質なケースでは、勘違いではなく、わざと存在しない強制性交等罪の被害を作り上げ、示談金を要求する場合も考えられます。
(示談金の要求にどう対応するか)
示談交渉を当事者自ら行うことは法律上禁止されていませんが、Aさんが自ら風俗店と交渉することはおすすめできません。
風俗店とのトラブルに巻き込まれた場合、しばしば高圧的、威圧的な示談金の要求が行われます。
要求に耐え切れなくなり、身に覚えのない被害に対して金銭を支払ってしまうおそれがあります。
また、要求される金額も多くの場合高額です。
さらに、金銭を支払うと、過剰な要求にも応える人間であると思わせしまい、さらに要求をエスカレートさせるおそれもあります。
本件の場合は、Aさんも身に覚えがないことであり、より交渉をどのように行えばよいのか難しいと感じるかもしれません。
一方で、弁護士が入ったとわかっただけで要求を撤回したり、金額を下げてくることもあります。
法律の専門家である弁護士に、Aさんと風俗店の間に立ってもらい、交渉の窓口とすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所であり、刑事事件に発展するおそれのある風俗トラブルについても対応可能です。
利用した風俗店から、身に覚えのない示談金を要求され刑事事件化が不安だという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(初回相談は無料です。相談のご予約は0120-631-881まで)
盗聴と風俗トラブル
盗聴と風俗トラブル
神戸市兵庫区に住む会社員のAさんは風俗が好きで、特定の女性Vさん目当てに、よく近くの個室ヘルス店に通っていました。
そして、AさんはVさんに対し好意を抱くようになり、Vさんの様子を盗聴したいと考えるようになりました。
そこで、Aさんは、いつもどおり個室ヘルス店へ入り、Vさんを指名し、Vさんが待つ個室へと入りました。
そして、Aさんは、Vさんが目を離した隙に盗聴器をしかけました。
Aさんはサービスを受けた後退店することができましが、後日、兵庫県兵庫警察署から建造物侵入罪で呼び出しを受けることになりました。
それと同時に、Aさんは風俗店側から50万円の罰金を支払うよう求められています。
(フィクションです。)
~ 盗聴自体を罰する法律はない ~
通常、風俗店では、本番行為、盗撮などと併せて盗聴も禁止していることが多いかと思われますが、盗聴自体を罰する法律はありません。
これは、盗聴器に使われる電波は、機材さえあれば誰でも聞くことができるため、たまたま盗聴内容を聞いてしまった人が罪に問われてしまう可能性があるため(冤罪の危険があるため)です。
しかし、「盗聴に至る過程での行為」や「盗聴に伴う(利用した)行為」については法律で罰せられる可能性がありますので注意が必要です。
~ 盗聴に関わる犯罪 ~
まず考えられるのが「建造物侵入罪」です。
建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されています。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪の「侵入」とは、その建造物の管理者の意思に反して侵入することをいいます。
判例では「管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れない」(最判昭58・4・8)とされています。
この点、Aさんは盗聴器を所持して風俗店に立ち入ったと考えられますから、風俗店へ立入りは盗聴目的での立入りであると認められます。そして、盗聴目的での立入りは管理者の意思に反するといえます。
したがって、Aさんは建造物侵入罪で処罰される可能性が高いでしょう。
その他、盗聴器を仕掛けるため建物内の物を壊すなどした場合は「器物損壊罪」で処罰される可能性があります。
また、盗聴で得た情報を利用してストーカー行為をした場合はストーカー規制法により処罰される可能性があるの注意しましょう。
~ 本件での弁護活動 ~
本件の直接の被害者は風俗店の管理者(店長)であり、管理者からの被害届によって警察が捜査を開始したものと思われます。
したがって、風俗店の管理者である店長との示談交渉を進めていくことが重要であるかと考えます。
示談を成立させることができれば、風俗店側への賠償が済むと同時に、刑事処分としても不起訴となる可能性は高まります。
しかし、風俗トラブルにおける示談交渉は簡単にはいかないと思います。
当事者同士で交渉を進めていると、どうしても悪いことをしたという負い目があるため、不利な立場に立たされてしまいます。
そして、相手からその弱みに付け込まれて、高額な罰金額の支払を求められたり、場合によっては暴力、脅迫を受けるなどの痛い目、怖い目に遭わされる場合も想定し得ます。
しかし、弁護士であれば依頼者の立場にたって、毅然とした態度で交渉に臨むことができ、事案にもよりますが、最終的に適切な内容・形式で示談を締結してくれます。
お困りの方は弊所の弁護士へご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,風俗トラブルをはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
(兵庫県兵庫警察署までの初回接見費用:35,100円)
盗撮における条例と軽犯罪法
盗撮における条例と軽犯罪法
大阪市東成区に住む会社員のAさん(40歳)は,性的サービスを受けるために自宅マンションにデリヘル嬢を呼びました。
そしてAさんは,自宅マンションの風呂場に隠しカメラを設置し,風呂場を利用したデリヘル嬢の裸の姿などを盗撮していたのですが,デリヘル嬢に隠しカメラを発見されてしまいました。
その後,Aさんはデリヘル店の店長から罰金50万円の請求を受け,デリヘル嬢からは大阪府東成警察署に被害届を出すなどと言われています。
(フィクションです)
~ 盗撮に当たる罪とは? ~
今回のような盗撮が何の罪に当たるのかは,次の条例,法律を順に検討していくとよいと思います。
1 迷惑行為防止条例(以下,条例)
2 軽犯罪法(窃視の罪)
まず,条例から検討してみましょう。
~ 条例における盗撮規定 ~
いわゆる迷惑行為防止条例は,全国各都道府県単位で定められています。
各都道府県によって規定の内容が異なりますから,詳しくはインターネットなどで条例を検索して確認していただきたいのですが,盗撮行為が禁じられる「場所」は,概ね共通して
1 公共の場所,公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所
2 公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所
とされていることが多いかと思います。
公衆の目に触れるような場所としては,「学校の教室」「会社事務室」「更衣室」「貸切バス」などが挙げられます。
また,公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所としては「シッピングセンターなどの授乳室」などが挙げらます。
次に,盗撮行為の「内容」ですが,これも概ね共通して,
1の場所では
①通常衣服で隠されている他人の「身体」又は他人が着用している「下着」を写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下,写真機等)を用いて撮影すること
②①の行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
2の場所では
①衣服の全部又は一部を着けないでいる状態の人の姿態を写真機等で撮影すること
②①の行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
とされていることが多いです。
1②,2②からわかるように,写真機等を設置するだけでも処罰の対象となり得ることが分かります。
* 罰則 *
罰則についても,概ね,通常の場合であれば「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」又は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」,常習として盗撮した場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」又は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いと思われます。
* 検討 *
では,Aさんの盗撮行為が条例に当たるのかについて考えてみましょう。
Aさんが盗撮のためのカメラを設置した場所は自宅マンションの風呂場ということでしたが,自宅マンションの風呂場は条例が禁じる盗撮行為の「場所」に当たらないことは明らかです。
なお,公衆とは「不特定又は多数の者」のことをいいますから,基本的にはAさんのみが利用しているAさんの自宅マンションの風呂場が「公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所」に当たらないことも明らかです。
よって,Aさんの盗撮行為は条例違反とはならなそうです。
~ 軽犯罪法(窃視の罪)における盗撮規定 ~
軽犯罪法における窃視の罪は,軽犯罪法1条23号に規定されています。
軽犯罪法1条23号
正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
* 場所に関する注意点 *
いわゆる迷惑行為防止条例では「盗撮行為を行う」場所を規定していたのに対し,軽犯罪法では「のぞき見る対象」としての場所を規定しており,さらに多くの条例が「公共の~,公衆~」と規定していたのに対し,軽犯罪法は「人の」と限定的に規定しています。
* のぞき見るの意義 *
軽犯罪法の窃視の罪における「のぞき見」るとは,物陰や隙間などからこっそり見ることをいうとされており,方法は問いません。
望遠鏡で見ることはもちろん,カメラやデジタルカメラ,ビデオカメラ,それらの機能を備えた携帯電話,スマートフォンによって写真や動画を撮ることも軽犯罪法の「のぞき見」るに当たると解されています。
では,カメラやビデオカメラを浴室内に隠して設置し,行為者が直接視認しないまま隠し撮りや遠隔操作の方法などで撮影し,その後,記録媒体を回収してから再生するような場合は「のぞき見た」と言えるのでしょうか?
この点,直接視認することによりのぞき見られた場合でもカメラ等で撮影された場合でも,被害者のプライバシーが侵害されたことには変わりがなく,むしろ,カメラ等で撮影された場合の方が,繰り返し何度も見られたり,第三者にデータが渡ったりする危険があり,プライバシー侵害の程度が高いのであるから,人の個人的秘密を侵害するような行為を禁止するという本号の趣旨からは,カメラ等による撮影自体が「見た」に当たり,撮影の時点で既遂となると解すべきとされています(福岡高裁平成27年4月15日判決など)。
盗撮した時点で既遂となるということは,後で写真や動画を見なくても軽犯罪法の「のぞき見た」に当たるということになります。
* 検討、罰則 *
Aさんの自宅マンションの風呂場は,「人が通常衣服をつけないでいるような場所」に当たります。
また,上で説明した「のぞき見る」の意義に照らすと,Aさんが撮影できる状態の小型カメラを設置し,撮影できていれば「のぞき見た」に当たる可能性が出てくるのです。
軽犯罪法違反の罰則は,拘留又は科料です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮などの刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
お店への「罰金」は支払う必要がある?
お店への「罰金」は支払う必要がある?
会社員のAさんはさいたま市浦和区のソープランドに行き,撮影のオプションがないVさんを指名しました。
そして,AさんはVさんからサービスを受けている最中,Vさんやお店の許可なく,サービス中のVさんを撮影しました(盗撮)。
そのとき,Vさんは洋服,下着を全て脱いだ状態でした。
ところが,サービス途中,Vさんが個室の片隅に小型カメラが設置してあるのを発見しました。
AさんはVさんから中身を見せるよう問いただされ,やむなくVさんに見せると,Vさんの裸やAさんにサービスをしているVさんの姿が映っていました。
Aさんは,Vさんから「お店に報告する」と言われました。
そして後日,Aさんはお店の店長から100万円の罰金を請求されてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
いわゆるソープやデリヘルのような風俗では,本番行為,盗撮,薬物使用,暴力行為,スカウト行為などが禁止事項とされていることが多いようです。
そして,禁止事項を破り,そのことが店側に露見したら,店から「罰金」の支払いを求められるというケースはよく目にしたり,耳にしたりすることがあるかと思います。
ところで,この「罰金」とは法的にはどんな性質のものなのでしょうか?
そして,支払う必要があるのでしょうか?「罰金」の支払を求められた方からすれば,「悪いことをした」などという負い目から,ただなんとなく「支払わないといけない」という気持ちに陥ってはいませんか?
そこで,今回は,この罰金の法的性質や刑事事件における「罰金」との違いなどについて解説いたします。
~ お店から求められる「罰金」の性質 ~
風俗店を利用した場合,お客は,通常,お店と風俗利用の「契約」をしていると考えられます。
そして,その契約違反があった場合(今回でいえば,お客が禁止事項を破った場合)にお店はお客に対し損害額を請求することができます。
お店は予め「~~したら●●円払え」と予告しているのですから,これは賠償額の予定,つまり違約金(民法420条3項)と解されています(お店側からの「罰金」請求=「違約金」の請求=損害額の予定)。
そして,「違約金」は損害額についての証明がなくても請求することができると考えられています。
* 風俗嬢に対する慰謝料 *
盗撮が風俗嬢に対する不法行為ということになれば,風俗嬢に対して慰謝料を支払う必要が出てきます。
その場合の根拠は,民法710条によります。
* 高額な金額は無効 *
以上から,お店に対しても賠償額(いわゆる罰金)を支払う必要はありそうですが,あまりに高額な請求は公序良俗に反し「無効」とされる場合もありますから,相手の要求を鵜呑みにする必要もありません。
~ 刑事事件における「罰金」 ~
こういった風俗店の「罰金」に対して,刑事事件における「罰金」は,あくまで犯罪を犯した人に対する制裁的意味合いを持つものです。
また,刑事事件における「罰金」はお店に支払うものではなく,あくまで国の機関,つまり検察庁に納付し,最終的には国庫に帰属します。
先ほど挙げた風俗店でよく定められている禁止事項の中にも,刑事事件となれば罰金や科料が規定されているものもあります。
たとえば,盗撮行為やスカウト行為であれば,各都道府県が定める「迷惑行為防止条例」に罰金(及び懲役),軽犯罪法に科料の規定が設けられています。
また,暴力行為であれば,刑法の暴行罪,傷害罪などに罰金(及び懲役)の規定が設けられています。
さらには,刑事事件となって有罪となった場合には罰金や科料では済まないものもあります。
本番行為であれば,刑法の強制性交等罪(5年以上の有期懲役)などに,薬物使用であれば,覚せい剤取締法の使用の罪(10年以下の懲役)などに当てはまることが考えられます。
ここまでくると,刑務所に服役する必要も出てきますから,やはり,風俗店の禁止事項に当たる行為はしないことに越したことはありません。
万が一,禁止事項に当たる行為をしてしまって風俗トラブルに巻き込まれ,刑事事件化が心配な場合には,すぐに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,風俗トラブルをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
(埼玉県浦和警察署までの初回接見費用:35,900円)
風俗嬢の財布から現金を窃盗で示談
風俗嬢の財布から現金を窃盗で示談
Aさんは、ある夜、神奈川県川崎市にあるラブホテルにデリヘルを呼びました。
そして女の子が到着し、Aさんは女の子にお金を支払ってプレーを開始しました。
しかしAさんから見て、女の子は全くやる気が感じられず、サービス内容はとても雑なものでした。
プレー終了後に女の子に文句を言いましたが、Aさんからは女の子が反省しているようには見えませんでした。
腹が立ったAさんは、女の子がシャワーを浴びている隙に、女の子の財布から最初に支払った金額の半分の金額の現金を盗み、そのままホテルを出て逃げてしまいました。
直後、そのデリヘルお店から何度も着信が入りましたが、Aさんは無視し続けました。
その時は「これくらいしないと割に合わない!」などと考えていたAさんでしたが、翌日になって冷静になり、これはマズいことをしてしまったのでは、神奈川県中原警察署に通報されてしまうかもしれない、と怖くなり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~窃盗罪~
今回、Aさんは女の子のサービスがよくないと感じましたが、それはAさんの主観にすぎません。
また、風俗嬢というのはとても大変な仕事で、完璧を求めるのもどうかと思います。
ましてや、勝手に財布からお金を盗んではいけません。
Aさんの行為には当然ながら窃盗罪が成立します。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
お店や女の子が警察に被害届を出し、警察がAさんの携帯電話の番号からAさんを割り出せば、Aさんは窃盗罪で逮捕されてしまうかもしれません。
なお、Aさんのようにお金をこっそり盗るのではなく、暴行や脅迫を用いて奪った場合には、より重い恐喝罪や強盗罪が成立するのでご注意ください。
~逮捕されないようにするためには~
逮捕されれば仕事に行けなくなり、懲戒解雇等の処分を受ける可能性があります。
また、家族などの周囲の人にも風俗を利用した上に窃盗まで働いたことが知られてしまうでしょう。
Aさんのやったことは悪いことですのでしっかり反省しなければなりませんが、逮捕を免れ、穏便に済ませたいという場合には、どういった活動が考えられるでしょうか。
まず、お店や女の子が警察に被害届を出さなければ、窃盗事件として刑事事件化することもなくなると考えられますから、逮捕される可能性はなくなるでしょう。
そこで、Aさんの側からお店に連絡を取り、謝罪の上で盗ったお金を返還するなどして、被害届を提出しないことを約束する内容を含んだ示談を締結することが考えられます。
ただし、当事者同士の交渉では、お互いの主張の食い違いや被害感情の大きさなどから話が余計にこじれてしまうことも珍しくありません。
風俗店を相手にした示談交渉の際には、高額な示談金や罰金を請求されてしまうというケースもあるようです。
自らお店に連絡し、示談交渉を行うというのは負担が大きいでしょう。
そこで弁護士に依頼をして示談交渉をしてもらうという方法があります。
~スピード勝負の示談交渉~
今回の事例では、お店や女の子の側が被害届を提出する前に示談を済ませるのがベストです。
仮に被害届が提出された後であっても示談を行って被害届を取り下げてもらうという方法も残されていますが、事件を穏便に済ませるにはいずれにしろすぐに謝罪や賠償に取り掛かる必要がありますから、スピード勝負ということになります。
そこでぜひお早めに弁護士に相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事弁護を専門としており、被害者との示談交渉も数多く行っています。
法律相談は初回無料となっておりますので、一度ご相談されてから、依頼するか否かを検討することもできます。
風俗トラブルに関連した刑事事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
お問い合わせには24時間365日対応しております。
性交だけで罪になるのか?(東京都立川市の相談)
性交だけで罪になるのか?(東京都立川市の相談)
東京都立川市在住のAさんは,自宅にデリヘル嬢(21歳)を呼びました。
当初は正規のサービスを受けるつもりでしたが,デリヘル嬢から「プラス3万で本番いいよ」と言われたため,その日が給料日だったAさんはデリヘル嬢に3万円渡し,性交しました。
その後,Aさんはお店に関する掲示板を見たところ,「本番した客が逮捕された」との書き込みを見つけました。
Aさんは「自分も警視庁立川警察署に逮捕されるのではないか」と不安になって弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
風俗トラブルに発展する前段階として,Aさんのような悩みを持たれる方も多いかと思われます。
そして,あやふやな知識なまま,いざ相手方から「犯罪だ」「示談金を払え」などと言われると,その要求に従ってしまうというケースも少なくはありません。
そこで今回は,風俗トラブルでよくある性交,すなわち本番行為だけで罪となるかという点にスポットを当てて解説したいと思います。
~ 「性交」が規定されている犯罪(刑法編) ~
刑法上,「性交」という言葉が規定されている罪は「強制性交等罪」,「準強制性交等罪」,「監護者性交等罪」(それぞれ未遂罪も規定されている)の3つです。
このうち,風俗トラブルで関係する罪は「強制性交等罪」,「準強制性交等罪」ではないでしょうか。
そこで,この2つの罪について解説します。
= 強制性交等罪 =
強制性交等罪は,刑法177条に規定されています。
条文を確認しましょう。
刑法177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
これからすると,13歳以上の者に対しては「暴行又は脅迫」を用いて性交等をした場合にはじめて強制性交等罪で処罰されるということになります。
= 準強制性交等罪 =
準強制性交等罪は,刑法178条2項に規定されています。
刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
「心神喪失」とは,精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。
例えば,熟睡状態,泥酔状態,麻酔状態などがこれに当たります。
「心身を喪失させ」とは,故意に心身喪失状態にすることをいい,手段に制限はありません。
飲み物に睡眠薬を入れる,お酒を無理矢理飲ませる,麻酔の注射を打つなど様々考えられます。
= 結論 =
以上から,13歳以上の者に対しては,「暴行又は脅迫」あるいは「心神喪失,抗拒不能にさせる」手段がなければ犯罪は成立しないことが分かります。
また,13歳未満の者に対しては性交等のみで強制性交等罪が成立しますが,13歳未満の者が風俗店で働いていることはまず考えられないでしょう。
~ 「性交」が規定されている犯罪(特別法編) ~
「性交」を禁止している(規定している)法律は刑法以外ににもあります。
まず,各都道府県が定めている青少年の健全育成に関する条例(名称は各都道府県によって異なる)です。
しかし,条例の保護の対象としているのは青少年,すなわち18歳未満の者です。
次に,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律です。
しかし,この法律の場合も,保護の対象としているのは児童,すなわち18歳未満の者です。
その他,売春防止法がありますが,同法は,売春をした当事者を処罰法律ではありません。
~ おわりに ~
以上からすれば,
・暴行又は脅迫などの手段を用いた
・相手方が18歳未満であった
場合でない限り,性交しただけでは罪に問われないことがお分かりいただけたかと思います。
したがって,相手方から「被害届を出す」などと言われても,まずは落ち着いて対処することが必要です。
それでも態度が執拗な場合には,一度,弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
また,暴行や脅迫などの手段を用いた性交等でなかったとしても,疑いをかけられて刑事事件の被疑者となってしまうこともありえないことではありませんから,刑事事件化が不安である場合にも,まずは弁護士に話を聞いてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,風俗トラブルをはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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東京都墨田区の風俗店でキャッチ(客引き)
東京都墨田区の風俗店でキャッチ(客引き)
東京都墨田区にある風俗店の従業員に採用されたAさんは、店長から「キャッチして来い」と言われ、店の近くの路上でキャッチ(客引き)を始めようとしました。
しかし、ちょうど警視庁本所警察署の警察官が通りがかり、「何をしているんだ」と声をかけられました。
まだ客引きをしていないAさんですが、どうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです。)
~風営法による客引き行為の規制~
繁華街において居酒屋や風俗店のキャッチ(客引き)に声をかけられたことのある方は多いと思います。
以前から客引きについては風営法で規制されていました。
風営法22条1項 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 当該営業に関し客引きをすること。
2号 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
風営法52条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1号 第22条第1項第1号若しくは第2号…の規定に違反した者
しかしこの風営法の条文では、具体的なお店の名前を出して客引きをした場合や、立ちふさがったり付きまとったりして客引きをしなければ罰則を科すことができないと考えられており、効果的な対策ができていませんでした。
そこで各自治体では、より処罰範囲を広くした条例を定めるようになりました。
~条例による客引き行為の規制~
たとえば東京都墨田区では「墨田区客引き行為等の防止に関する条例」というものを制定し、客引き行為の規制を行っています。
墨田区客引き行為等の防止に関する条例
6条1項 何人も、公共の場所において執ような客引き行為をしてはならない。
8条1項 区長は、公共の場所における客引き行為等を防止するため特に必要があると認める区域を、客引き行為等防止重点地区(以下「重点地区」という。)として指定することができる。
9条1項 何人も、重点地区において、飲食店等の営業に関する客引き行為又は客待ち行為及び勧誘行為又は勧誘待ち行為をしてはならない。
(墨田区作成の解説チラシ↓http://www.city.sumida.lg.jp/anzen_anshin/kurasinoanzen_ansin/bouhantaisaku/kyakuhikikaisei.files/kyakuhikitirasi.pdf)
上記チラシを見ていただくとわかりやすいと思いますが、たとえば9条1項では、区が指定した重点地区において、客引きする相手を待つ目的で、うろつき、たたずみ、たむろする「客待ち行為」も規制の対象とされています。
~罰則は?~
風営法に違反した場合は6か月以下の懲役か100万円以下の罰金の片方または両方が科される可能性があります(同法52条1号)。
墨田区の条例に違反した場合、違反者に対し指導や警告を行い、従わないときにはその事実を公表することができると定められています(11条~13条参照)。
客引きの方法として、人の身体に触れ、通行を妨げ、身辺につきまとうような執拗な客引き(6条1項)を行い、警告にも従わなかった場合には、公表の他、過料5万円が科される可能性があります(17条)。
なお、客引き行為をさせた店の経営者にも過料5万円が適用される可能性があります(18条)。
~不安があれば弁護士に相談を~
上記のことから、Aさんも客待ち行為をしたとして、指導・警告・公表の対象となりえます。
さらに強い態様の客引きを行った場合は風営法により刑事事件となり、重い罰則が適用されることも考えられます。
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、法律相談が初回無料となっております。
東京都墨田区の事件に限らず、お近くの事務所で他の自治体の条例の内容についてもお聞きいただけます。
キャッチ(客引き)によって刑事事件となり、今後罰則が適用されてしまうのか不安だという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
(警視庁本所警察署までの初回接見費用:37,300円)