【店舗側】示談交渉が恐喝に?
風俗店の経営者や従業員が規約違反した利用客と示談交渉をした場合に於て、恐喝などの事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
京都府京都市中京区在住のAは、京都市中京区内に事務所を構える非店舗型性風俗営業店の経営者をしています。
ある日、Aのもとに所属する風俗嬢から連絡が入り、京都市中京区内のホテルにてサービスを行う際、利用者Vによる盗撮の被害に遭ったため、どうすれば良いかという相談を受けました。
Aはすぐに現場である京都市中京区内のホテルに駆け付けたうえで、Vに対して「規約違反ですし法律違反ですよ。」「示談金100万円払うか、中京警察署に行くことになりますわ。」と言い、Vが示談したいと言ったため、Vと一緒に近くのATMに行って現金100万円を引き出したところを確認し、それを受け取りました。
示談書の作成や、受領書の交付はしませんでした。
後日、京都市中京区を管轄する中京警察署の警察官がAらの事務所に来て、Vから恐喝罪の被害届が出ていると説明を受け、Aは任意同行することになりました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【盗撮行為について】
ケースの場合、先ずはVが風俗嬢の盗撮行為を行っています。
この点で、Vは京都府迷惑行為等防止条例3条3項各号に違反しており、風俗嬢は盗撮の被害者です。
盗撮をした場合の罰条については、下記1号の違反は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(同条例10条1項)、2号の場合は「1年以下の懲役又は100万円」(同2項)です。
京都府迷惑行為等防止条例3条3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
【示談交渉で加害者に?】
≪恐喝罪≫
ケースについて見ると、前章のとおり盗撮事件の被害を受けた風俗嬢には、警察署に被害届を提出する権利があります。
しかし、それを逆手にとって示談金と称して金を支払わせる行為は、恐喝罪に当たります。
条文は以下の通りです。
刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
ここでは、Aの言動が「人を恐喝」したと言えるか、という点が問題となります。
恐喝とは、相手の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加えて財物交付を要求することとされています。
Aは暴行を用いたわけではないため、犯行を抑圧するに至らない程度の脅迫があったかどうかが問題となります。
警察署に被害届を出すという正当な行為であっても、それを逆手に取って示談を強いることは脅迫になります。
≪強要罪≫
なお、性風俗営業をしている経営者の中には、示談金に代えて店を○○回利用すること、という念書を書かせる等の場合もあるようですが、これは強要罪に当たる行為です。
強要罪の条文は以下のとおりです。
刑法223条1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
【恐喝罪の加害者になったら弁護士へ】
ケースのような場合、その後に風俗嬢が盗撮事件での被害届を提出したとして、盗撮事件と恐喝事件は別個に扱われます。
Aについては恐喝事件の加害者として、取調べを受けることになります。
京都府京都市中京区にて、風俗嬢が盗撮の被害を受けたことにより、その件で示談交渉を迫って示談金と称した金を受け取った方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。