部下の客引きで刑事事件に

部下の客引きで刑事事件に

いわゆるソープランド客引きで問題となる罪と、実際に客引きをしているわけではないオーナーの責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
福岡県福岡市博多区在住のAは、博多区中洲の性風俗営業店(いわゆるソープランド)のオーナーです。
AはXを店長として雇い、運営を任せていました。
しかし、間日が続き経営が悪化していたため、AはXに「中洲川端の駅付近で客引きをやってくれ」と指示しました。
それから、Xは客が少ない日には駅付近に立って、通行人に声をかけて自分の店を利用しないかと客引き行為をしていました。
ある日、Aが店にいたところ博多区内を管轄する博多警察署員が店に来て、Xを強引な客引きで逮捕したことと、Aについても事情を聴く必要があるので任意同行願いたいと説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【ソープランドの客引き行為】

・ソープランドの客引きで問題となる罪
博多区中洲だけでなく、我が国の歓楽街付近では、夜になると居酒屋やキャバクラ、性風俗店など様々な店が客引き行為をしています。
客引きはケースのXのように自分の店に客を連れ込むという場合もありますが、大学生などのアルバイトを雇い、引き連れた客や客が支払った金額による歩合制などになっているようです。

しかし、中には路上で立ちふさがるなどといった悪質な客引きをする者がいたり、一般的な飲食費よりもかなり割高な請求をする悪質な店に案内されるなどのトラブルが発生していることから、客引きは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称、風俗営業法、風営法又は風適法)や各都道府県が定める迷惑行為防止条例などで禁止されています。

ケースの場合はソープランドに勧誘するための客引きですので、風俗営業法が問題となります。
ソープランドは、正式には店舗型性風俗特殊営業として、同じく風俗営業法で規制されているキャバクラやバーなどとは区別しています。
問題となる条文は以下のとおりです。

風俗営業法28条12項 店舗型性風俗特殊営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 当該営業に関し客引きをすること。
2号 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

違反した場合の罰条は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金で、その両方が科される場合もあります。(風俗営業法52条1号)

・ソープランドの客引きは刑事事件化される?
とはいえ、各地で毎日のように客引き行為が行われていることは事実です。
それ故安易に客引き行為に加担してしまう方も少なくないようですが、違法である事実は変わりありません。
客引きの検挙は容易ではないものの、捜査機関によるおとり捜査や一斉摘発により検挙される場合のほか、しつこい客引き行為により通報されて検挙に至るという事案もあります。

【客引きを指示した者も罪に問われる】

前章では、ケースのXの客引き行為で問題となる罪について説明しました。
他方で、Aについては直接客引き行為をしていたわけではありません。
しかし、Aには罪がないのかというと、そうではありません。
Aの行為は、客引き行為の教唆に当たります。

教唆については、刑法で以下のような条文が設けられています。
刑法61条1項 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

教唆」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、唆す(そそのかす)という意味があります。
対等な関係同士が「これをしないか」と唆す場合や、上下関係にある場合に上司が部下に命じた場合にも、教唆犯は成立します。
「犯罪を実行させた」という点については、既に客引き行為が犯罪であることを説明しているため、十分かと思います。
「正犯の刑を科す」ということは、要するに、実際に犯行に及んだ者と同じ刑を科すという意味です。
つまり、ソープランド客引き教唆したAについても。実際に客引き行為を行ったXと同様の刑に処されることになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
福岡県福岡市博多区中州にて、ソープランド客引きをした、あるいはそれを教唆したことにより捜査対象になっている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

 

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