時間オーバーしてプレイさせ強制わいせつ罪

時間オーバーしてプレイさせ強制わいせつ罪

時間オーバーしてプレイさせ強制わいせつ罪に問われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

大阪市城東区に出張で来ていたAさんは、ある夜、大阪市城東区のホテルにデリヘル嬢を呼びました。
プレイ終了時間になりましたが、満足できていないAさんは、「もうちょっとうまくやれ、もう少しサービスしろ」などと強く要求し、「追加料金が発生する」と言ったデリヘル嬢に対して、「お前のせいで延長になっている。追加料金は払わない。評判を下げるぞ」などとすごんで、無理やりプレイを続けさせました。
デリヘル嬢は部屋を出た後、店の経営者に報告。
経営者は大阪府城東警察署の警察官を呼び、警察官とともにAさんがいる部屋に向かいました。
ノック音がしてドアを開いたところ、いきなり警察官らがいたことでびっくりしたAさん。
近くの交番に任意で連れていかれ、一通り事情を聞かれたところで、その日はホテルに返されました。
Aさんは今後どうなってしまうのか、とても心配しています。
(事実をもとにしたフィクションです)

~強制わいせつ罪が成立する可能性がある~

今回、定められた時間を過ぎても、追加料金も払わずにプレイを続けさせたAさんですが、合法的にわいせつ行為をすることが予定されている風俗嬢に対する行為であっても、このような場合には強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

まずは強制わいせつ罪の条文を見てみましょう。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

この条文からすると、被害者が13歳以上の場合に強制わいせつ罪が成立するためには、

①暴行または脅迫を用いて
②わいせつな行為をしたこと

が必要となります(なお被害者が13歳未満の場合には②の条件さえ満たせば成立します)。

~強制わいせつ罪の成立条件を満たすか?~

今回、デリヘルのプレイを続けさせているわけですから、「②わいせつな行為をしたこと」に該当することは明らかです。

そこで、「①暴行または脅迫を用いて」に当てはまるかどうかを検討します。

犯罪の成立条件として暴行・脅迫が必要とされる犯罪としては、強制わいせつ罪の他に強盗罪もありますが、強盗罪の場合には被害者が反抗できないくらいの強い暴行・脅迫が必要とされています(弱い暴行・脅迫の場合には強盗罪よりも刑罰が軽い恐喝罪が成立するにとどまることが考えられます)。

しかし、強制わいせつ罪の暴行・脅迫については、強盗罪で言われるまでの強度は必要なく、被害者の意思に反してわいせつ行為をするに足りる程度の暴行・脅迫があればよいとされています。
たとえば、被害者のスキをついて体に触ればそれ自体が暴行に当たると判断されることもありますし、被害者が反抗できなくもないけれどちょっと怖いなと感じた程度の脅しでも脅迫があったと判断される可能性も十分考えられます。
ただし、そもそも相手方が同意していれば、被害者の意思に反してわいせつ行為をするに足りる暴行・脅迫はあったといえません。

今回のAさんは、女の子にプレイを続けるようすごんでいるので脅迫があったと判断される可能性も十分あります。
また、女の子の体に触っていれば、それ自体暴行と判断される可能性もあるでしょう。

そして今回の場合、時間内のプレイについては同意がありましたし、その後も延長料金を払ってくれるなら同意していたといえるでしょう。
しかし延長料金を払わなかったので、時間オーバーした後は同意がなかったと判断されてしまうおそれがあります。

したがって「①暴行または脅迫を用いて」という要件も満たし、強制わいせつ罪が成立する可能性が考えられるのです。

~強制わいせつ事件の手続きと流れ~

一般的に、逮捕されるか否かは、犯行の悪質さ、前科の有無、犯行を認めているか、などの事情から逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかが判断され決められます。
この日Aさんは逮捕されずに帰宅を許されていることを考えると、このまま逮捕されずに在宅事件として扱われる可能性も高いでしょう。
在宅事件として進んでいく場合、後日警察等に取調べのために呼び出され、そこで話を聞かれて検察官が起訴・不起訴を決めることになるでしょう。

この間に、被害者に賠償して示談が締結できれば、不起訴処分となり前科も付かずに事件が終了する確率を上げることができます。

ご自身のケースで逮捕されるリスクがどれくらいあるか、示談交渉はどのように行えばいいかなど、不安が大きいと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などから初回接見サービスのご依頼をお受けしております

強制わいせつ罪などで捜査を受けている場合には、ぜひお早めにご相談ください。

 

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