お客の名前をツイートして名誉毀損罪

お客の名前をツイートして名誉毀損罪

お客の名前をツイートして名誉毀損罪の容疑をかけられたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

埼玉県新座市で営業するデリヘル店で働く女性Aさん。
ある日、呼ばれたホテルの一室に入ったところ、そのお客さんは地元のプロ野球チームの選手Vさんでした。
プレイ終了後、Aさんは自身のツイッターで、「V選手がうちのデリヘル利用してたw」などとツイートしました。
すると、そのツイートは数多くリツイートされてしまいました。
その後、事態を把握したV選手は、デリヘル店に連絡してツイートを削除させるよう要求するとともに、埼玉県新座警察署にも相談しました。
後日、埼玉県新座警察署からAさんの下に連絡が入り、事情を聞きたいから警察署に来るように言われました。
Aさんは今後どうなってしまうのか強く心配しています。
(フィクションです)

~名誉毀損罪とは~

以前、レストランの店員が、スポーツ選手とその交際相手が来店したことをSNSに書き込み、大きな問題となったことがありました。
強い守秘義務が課されている弁護士や医師の場合はもちろんですが、一般のお店の店員であっても、不用意にお客さんの情報を拡散すると大ごとになり、場合によっては犯罪が成立してしまうこともあり得ます。

今回のAさんのような事例では、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
名誉毀損罪は、刑法230条に規定されている犯罪です。

刑法第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

この条文から考えると名誉毀損罪が成立するためには、

①公然と
②事実を摘示し
③人の名誉を毀損した

ことが必要となりますので、1つずつ見ていきましょう。

①公然と
名誉毀損罪のいう「公然」とは、不特定または多数人が認識できる状態をいいます。
ツイッターへの投稿などのネットへの書き込みは、その内容を不特定または多数人が認識できますから、「公然」という要件を満たします。

なお、特定かつ少数の相手に対してだけ伝えた場合であっても、その相手から不特定または多数人に情報が広まってしまうおそれがあれば、名誉毀損罪の「公然」に該当する可能性があります。
たとえば、フォロワー数が少なく、特定の人しか見ることのできないいわゆる鍵垢であったとしても、フォロワーの誰かがスクリーンショットをして投稿されれば同じことですから、「公然」という要件を満たすと判断される可能性もありますので注意が必要です。

②事実を摘示し
この要件は、単なる人の評価などではなく、ある程度具体的な事実を書かなければならないということです。
たとえば、「バカ」などの悪口を書いた場合はこの要件をみたさず、名誉毀損罪より軽い侮辱罪が成立しうるにとどまります。

今回は、デリヘルを利用したというある程度具体的な事実を投稿していますから、②事実を摘示したといえるでしょう。

③人の名誉を毀損した
名誉毀損罪の条文では、毀損「した」とありますが、人の社会的評価を害するような行為があれば満たされ、実際に害されたということまでは不要です。
なぜなら、実際に害されたかどうかは判断が困難ですし、その判断を裁判所でしようとすると、かえって被害者の名誉を傷つけるような事態になりかねないからです。

では、デリヘルを利用したという指摘は、人の社会的評価を害するようなものといえるでしょうか。
考えようによっては、男性が風俗店を利用することは珍しいことではなく、それだけで社会的評価が落ちるものではないと言うこともできなくはありません。
しかし、一般的にはあまり大っぴらにする事実ではありませんし、特に既婚者の場合などには、社会的評価が下がる危険が高いとも言えます。
したがって、③人の名誉を毀損したと判断されてしまう可能性も十分あり得ます。

~名誉棄損事件は弁護士にご相談を~

具体的なツイート内容などにもよりますが、上記のように名誉毀損罪が成立する可能性は十分に考えられます。

ただ、名誉毀損罪は被害者の告訴がなければ、被疑者を刑事裁判にかけることができません。

第232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

被害者と示談ができれば、告訴を防いだり、既にした告訴を取り下げてもらう余地もあります。
起訴前にそうした示談をすることができれば、前科が付くこともなく、事件を終結させることができます。

しかし、何と言って示談交渉したらよいのか、金額はいくらにしたらよいのかなど、わからない点が多いでしょう。
自分で示談交渉をしようと思っても、余計に被害者との溝を深めてしまう可能性もあります。
そこで、弁護士に相談することをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験が豊富な弁護士による法律相談を初回無料でお受けいただけます。
名誉毀損罪などで捜査を受けている場合には、ぜひご連絡ください。

 

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