風俗嬢に対するデマ拡散で名誉棄損罪

風俗嬢に対するデマ拡散で名誉棄損罪

風俗嬢に対するデマ拡散で名誉毀損罪となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、神戸市須磨区にある個室ヘルス店の常連客でした。
Aさんは、長年指名し続けていた風俗嬢Vさんと仲良くなり、Vさんから個人名などの個人情報を教えてもらったほか、店外で食事するなどしていました。
ところが、後日、AさんはVさんから、「一身上の都合でヘルス店で働けなくなったこと」、「Aさんと今後デートすることはお断りすること」を告げられました。
Aさんははじめ、何度も何度もVさんに今までどおり交際(デート)を続けてくれないか懇願しましたが、Vさんの態度は頑なでした。
そこで、Aさんは、SNS上で、「Vさんは神戸市須磨区の風俗店で働いていた。」「性病持ちで働けなくなったらしい。」などという書き込みをしました。
すると、その書き込みはまたたくまにネット上に拡散しました。
そうしたところ、Aさんは、Vさんの代理人弁護士から、「書き込みを削除すること」「慰謝料として50万円支払うこと」を言われ、これができなければ「兵庫県須磨警察署に名誉棄損罪で告訴する」と告げられました。
そこで、Aさんは風俗トラブル刑事事件に詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ ネット上におけるデマ拡散 ~

茨城県の常磐自動車でのあおり運転は皆さんもご存じかと思います。
このあおり運転に関連し、複数名の人が、SNS上で、事件とまったく関係のない会社員女性に対し、現在報道で話題になっている「あおり運転事件の被疑者の自動車に同乗していた女」、「この犯罪者、早く逮捕されないかな」「この女が早く逮捕されるよう拡散希望します」などというデマ攻撃を行ったことが話題となりました。
被害女性の代理人弁護士によると、これまでに被害女性に対してSNS上でデマ投稿を行った7名を特定し、その者らとの間で和解を成立させたとのことです。
なお、弁護士は、今後も発信者が特定できれば、損害賠償請求を提訴する方針と述べています。

~ 投稿者も特定される ~

このように、顔の見えないネットの世界でも発信者が特定され、民事上あるいは刑事上の責任を問われるおそれがあります。
発信者の特定は、プロバイダー責任法という法律に基づく発進者情報開示請求によってプロバイダーに対し「IPアドレス」などの開示を求めることができるとともに、開示があった場合は今度はさらに、IPアドレスなどから特定した携帯キャリア会社に対して発信者の住所、氏名などの開示を求めていく、という方法で行われていきます。

顔の見えない世界だからといって、不確かな情報に基づき、不確かな情報を発信することは避けた方がいいでしょう。

~ デマ拡散と刑事上の責任 ~

あおり運転の事例では民事上の責任を追及されていますが、デマ拡散行為の刑事上の責任としては名誉棄損罪に問われるおそれがあります。
名誉棄損罪は刑法230条に規定されています。

刑法230条(名誉毀損罪)
1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘時することによってした場合でなければ、罰しない。

刑法232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

名誉毀損罪の「名誉」とは、社会の人に対する評価又は価値と解されています。
また、「公然」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態と解されています。
そして、不特定又は多数人が認識し得る状態は、不特定又は多数人の視聴に達し得べき状態であれば足り、現実に、人々が覚知したことを要しないとされています。
さらに、「事実を摘示する」とは、社会の人に対する評価を低下させるおそれのある具体的事実を指摘、表示することをいいます。

これを本件についてみると、Aさんが「Vさんは神戸市須磨区の風俗店で働いていた。」「性病持ちで働けなくなったらしい。」などと書き込む行為は名誉毀損罪のいう「事実を摘示する」に当たります。
また、ご存知のように、SNSに掲示された内容は、インターネットを通じて誰でもいつでも閲覧することが可能ですから、AさんがSNSに書き込んだ行為は「公然」と「事実を摘示した」ことに当たるでしょう。
そして、風俗嬢として働いている方は、一般に、自己の職業を知られたくないと考えられているでしょうから、Aさんのこうした行為は、Vさんの「名誉」を毀損する行為にも繋がりかねません。

ちなみに、侮辱罪(刑法231条)との違いは、「事実を摘示したかどうか」にあります。
「●●の風俗嬢は馬鹿だ」などと意見、憶測を摘示したに過ぎない場合は侮辱罪です。

刑法231条(侮辱罪)
事実を摘示なくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

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