【報道解説】職業安定法違反の疑いで逮捕されたケース

【報道解説】風俗店の紹介で職業安定法違反で逮捕

女性に対して風俗店で働くことを紹介したとして、職業安定法違反の疑いで逮捕されたケースを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

風俗店で働くようSNS上でスカウトしたとして、警視庁は、不動産仲介会社役員の男(37)を職業安定法違反有害業務の紹介)の疑いで逮捕し、17日発表した。
25個のツイッターアカウントを使いこなし、昨年だけで50人の女性を風俗店につないでいたという。
容疑を認め、『ツイッターなら警察に捕まらないと思った』と供述しているという。
生活安全特別捜査隊によると、男は2020年10月、ツイッターで勧誘した20代女性に東京都台東区の吉原地区にあるソープランドを紹介して働かせた疑いがある。
男はツイッターで、『今よりもっと稼ぎたい』『スカウトに話を聞いて欲しい』『お金持ちのパパと知り合いたい』などの項目を挙げ、『当てはまった方はご連絡ください』と呼びかけて女性を募っていた。
男は約15年前からスカウト業をしており、以前は新宿・歌舞伎町などの路上でスカウト行為をしていたが、警察に摘発されるリスクが高いと考え、約5年前からツイッターを使うようになったという。
紹介した女性の売り上げに応じて風俗店から報酬を受け取り、正業の不動産仲介会社の収入とは別に月60万円程度を得ていたとみられるという。
同隊幹部は『近年、路上スカウトの摘発逃れの目的で、ネット上での勧誘が目に付く。積極的に取り締まっていく』と話している。」
(5月17日朝日新聞DIGITALで配信された報道より引用)

【職業安定法違反とは】

報道では、SNSで勧誘した女性に風俗店(ソープランド)を紹介したことにより、職業安定法違反の疑いで逮捕されたとあります。
ここで適用されている職業安定法とは、職業の紹介、労働者の募集、労働者の供給に関するルールを定めている法律です。

この職業安定法の中には、違反すると刑事罰が科されることになる規定があります。
そのひとつが、今回、報道において男性が逮捕される理由となった有害業務の紹介を禁止する職業安定法63条2号です。

職業安定法63条2号では、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者に、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金を科すとしています。

少し複雑ですので整理しますと、職業安定法63条2号の処罰の対象になるのは、
①ー1公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った者かこれに従事した者
①ー2公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った者かこれに従事した者
①ー3公衆衛生上有害な業務に就かせる目的で労働者の供給を行った者かこれに従事した者
②ー1公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った者かこれに従事した者
②ー2公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った者かこれに従事した者
②ー3公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の供給を行った者かこれに従事した者
となります。

性風俗店などの性的なサービスを提供する職業を紹介した場合には、上記②ー1の「公衆道徳上有害な業務」に就かせる目的で「職業紹介」を行った者として、職業安定法63条2号違反となる可能性が高いです。
ここで、「公衆道徳上有害な業務」とは、「社会共同生活において守らなければならない道徳に著しく反し、社会の善良な風俗を害するおそれのある業務」のことを意味します。

「公衆道徳上有害な業務」に当たるかの判断については具体的な事案に応じて判断されることになりますが、金銭を受け取って性行為を提供する売春行為は「公衆道徳上有害な業務」にあたる典型的なものと考えられています。
そのため、金銭を支払って、いわゆる本番行為の提供を行うソープランドでの業務は売春行為に準じるものとして「公衆道徳上有害な業務」に当たることになるでしょう。

職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることを言います(職業安定法4条1項)。

今回逮捕された男性が具体的にどのような紹介を行ったかについては報道から明らかではありませんが、男性は、ソープランドから求人の申し込みを受けるとともに、SNS上で応募してきた女性から求職の申し込みを受け、この両者の間を取りもつことで、ソープランドと女性との間に雇用関係を成立を円滑にさせたことを理由に、「職業紹介」を行った者と判断されたのでしょう。

【ご家族の中に職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいる場合は】

ご家族の中で有害な業務を紹介したことを理由に職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいる場合は、いちはやく弁護士に相談して、弁護士に初回接見に向かってもらうことをお勧めします。
初回接見とは、弁護士逮捕されている方が留置されている警察署などを訪れて、逮捕されている方と面会する、その1回目の面会のことをいいます。

原則として逮捕後72時間は、ご家族の方であっても面会することはできませんが、弁護士であれば、逮捕後72時間以内であっても、逮捕された方と立会人なしに自由に面会することができます。
この初回接見により、事件の見通しや手続きの流れについて知ることができるというメリットや、今後の取調べに対するアドバイスを受けることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、職業安定法違反に関する刑事弁護活動の経験がある弁護士が在籍しております。
ご家族の中で、有害な業務を紹介した職業安定法違反の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度御相談下さい。

 

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