風俗嬢の個人情報書き込みで逮捕
大阪市生野区に住むAさんは、ある日、区内にあるデリヘルを利用しましたが、女の子Vさんのサービスが大変良くないと感じました。
不機嫌になったAさんは、Vさんがシャワーを浴びている隙にVさんのバッグの中にあった財布を物色し、保険証から実名を確認しました。
Aさんは、Vさんが帰った後に風俗関連のインターネット掲示板にVさんの実名を書き込み、サービスが悪い、容姿も悪い、といった悪口を書き込みました。
後日、Vさんから告訴状の提出を受けた大阪府生野警察署の捜査により、書き込みしたのはAさんと判明。
Aさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~名誉棄損罪~
Aさんの行為には名誉棄損罪が成立する可能性があります。
刑法第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
風俗関連の掲示板に実名を記載した場合、その女の子が風俗店で働いているという事実を誰でも見れる場所に書き込んだことになるので、「公然と事実を摘示」したことになるでしょう。
また、風俗店で働いているという事実自体が、人の社会的評価を害しうるのが現状なので、実名を風俗関連の掲示板に投稿したことは「人の名誉を毀損した」ことになると思われます。
よって、今回のAさんの行為には名誉棄損罪が成立するでしょう。
~今後の刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されることが考えられます。
そして、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑務所へ行って刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、あるいは最初から逮捕されずに在宅のまま捜査を受ける場合には、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになるでしょう。
~示談して告訴取下げを目指す~
名誉棄損罪は、被害者の告訴がなければ、被疑者を刑事裁判にかけることができません。
このような犯罪を「親告罪」(しんこくざい)といいます。
刑法第232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
告訴とは、犯罪の被害者が警察などの捜査機関に対し、犯罪被害に遭ったこと及び犯人の処罰を求める旨の申し出をすることをいいます。
告訴は一度行っても取下げることが可能で、検察官が起訴する時までに取り下げられると、検察官は起訴ができず、手続はそこで終了し、前科も付かずに終わることになります。
そこで、すみやかに被害者に損害賠償をし、示談を締結して、告訴を取下げてもらうことが重要です。
被害者としても、刑事裁判に付き合わされ、場合によっては法廷で供述しなければならないのは心理的負担が大きいです。
そこで、賠償を受け入れ、これで事件を終わらせるという選択をする場合も考えられるのです。
しかし、示談交渉をしようにも、被害者が加害者本人と直接会うことも心理的負担が大きく、会ってくれないことも多いでしょう。
ご家族が交渉するにしても、示談金額や示談書の内容をどうしたらよいのか、なんと言ってお願いすればよいのか、わからないことが多いと思います。
そこで、示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼することも、有力な選択肢の一つと言えます。
~弁護士にご相談を~
逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談はどう行えばよいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
名誉棄損罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。