18歳未満の雇用~風営法違反・児童福祉法違反~

18歳未満の者を雇用した店側の刑事責任(風営法違反・児童福祉法違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇性風俗店で18歳未満を雇用した事件◇

兵庫県県神戸市にある派遣型性風俗店において、15~17歳の少女らを雇用し、男性客に性的サービスを提供していたとして、兵庫県葺合警察署は、この店の店長Aさんを逮捕しました。
Aさんがなかなか帰宅しないため心配したAさんの妻が警察署に相談したところ、Aさんが逮捕されていることが分かりました。
Aさんの妻は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)

18歳未満の者をデリヘル嬢として雇用し、客に性的サービスを提供させた場合、風営法違反および児童福祉法違反に問われる可能性があります。

◇風営法違反◇

「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、「風営法」といいます。)は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」を目的とする法律です。
風営法で規制の対象となる「風俗営業」は、キャバクラやホストクラブだけでなく、麻雀やパチンコ店、ゲームセンターも含みます。
上の事例では、デリヘル店について取り扱われていますが、デリヘルは、風営法における「性風俗関連特殊営業」の「無店舗型性風俗特殊営業」に当たります。

風営法の目的に「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」とあるように、風営法は、18歳未満の者と風俗営業等との関わりについて厳しく規制しています。
風営法は、風俗営業を営む者が、営業所で18歳未満の者に客の接待をさせることを禁止しています。(風営法第22条第1項第3号)
ここでいう「接待」というのは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいいます。(風営法第2条第3項)
例えば、キャバクラやホストクラブで18歳未満の者が従業員として客の横につき酒を注いだり、話をしたりすることはできません。
これに違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。(風営法第50条第1項第4号)
18歳未満の者の雇用に関する規制は、風俗営業だけでなく性風俗特殊営業についても同様です。
風営法第31条の3第3項第1号は、無店舗型性風俗特殊営業を営む者は、その営業に関し、18歳未満の者を客に接する業務に従事させることを禁止しています。
当該規定に違反した者は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することが定められています。(風営法第57条第1項第6号)

◇児童福祉法違反◇

児童福祉法は、児童の福祉を保障するための法律です。

風営法違反に加えて、18歳未満の者をデリヘル嬢して働かせた場合、児童福祉法違反にも問われる可能性があります。
児童福祉法は、児童に淫行をさせる行為を禁止しています。
児童福祉法における「児童」とは、18歳未満の者です。
「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交または性交類似行為であって、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として取り扱っているとしか認められないような者を相手とする性交または性交類似行為を含み、デリヘル嬢が行う性的サービスもこれに該当します。
淫行を「させる」行為については、直接・間接を問わず、児童に対して事実上の影響力を及ぼして、児童が淫行をすることを助長し促進する行為であると理解されています。
強制や直接的な勧誘等がなくとも、雇用関係等があり、児童に対して影響力を及ぼしやすい場合には消極的な関与でも足り、特別な関係がない場合であっても、児童の淫行を容易にさせ、助長、促進する事実上の影響力がある行為があれば足ります。(※要チェック)
そのため、18歳未満の者が自らの意思でデリヘル嬢として勤務していたとしても、店側は、児童に淫行をさせたとして児童福祉法違反(児童淫行罪)に問われることになるのです。
これに対する罰則は、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科と、風営法違反よりも重くなっています。

18歳未満の者を雇用していたことで罪に問われる場合、よく「18歳未満だとは知らなかった。」と言って容疑を否認するケースが多いようです。
しかし、単に「知らなかった。」と主張するだけでは足りず、18歳未満であることについて知らなかったことについて過失がないことを立証しなければなりません。

◇性風俗店における刑事事件に強い弁護士◇

ご家族が逮捕された場合、逮捕から勾留までの間は、逮捕された方のご家族であっても、原則として、逮捕された方と面会することはできません。
しかし、弁護士であれば、いつでも接見することができます。
ご家族が逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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