盗撮動画を販売して逮捕
デリヘル嬢を盗撮し、その動画をネットで販売して逮捕された場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
東京都国立市に住むAさん。
デリヘル嬢を呼び、サービスを受けている様子を盗撮。
その動画をインターネットで販売し、利益を得ていました。
その後、デリヘル店の関係者が動画を発見。
警視庁立川警察署に被害届が出され、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~迷惑行為防止条例違反~
今回のAさんがした行為には、様々な犯罪が成立する可能性があります。
まず、盗撮をしたこと自体は、東京都の迷惑行為防止条例に違反する可能性があります。
第5条
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
罰則は、非常習者が1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
盗撮の前科があるなど常習者として扱われると、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
~わいせつ電磁的記録陳列罪~
次に、盗撮動画をインターネットに公開したことには、わいせつ電磁的記録頒布罪という犯罪が成立する可能性があります。
刑法175条1項
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
Aさんの行為は、この条文の2文目に該当する可能性があります。
つまり、盗撮動画は「わいせつな電磁的記録」に、インターネットへの公開は「電気通信の送信により…頒布した」に該当する可能性があるわけです。
罰則は①2年以下の懲役、②250万円以下の罰金、③科料、④懲役と罰金の両方、のいずれかになります。
なお、③科料は罰金とほぼ同じ刑罰ですが、金額が1000円以上1万円未満のものを言います。
罰金は最低でも1万円以上です。
~児童ポルノ禁止法違反~
デリヘル嬢に18歳未満の人はいないはず…ではあります。
しかし万が一18歳未満の人がいて、18歳未満であることを知りながら撮影や公開をすると、児童ポルノ禁止法違反となってしまいます。
第7条2項
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線(筆者注・インターネット)を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態(筆者注・簡単に言うとひわいな格好)を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(筆者注・動画・画像データ)その他の記録を提供した者も、同様とする。
第5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
~リベンジポルノ防止法違反~
リベンジポルノ防止法は、主に交際していた相手の裸の画像などをインターネットに公開することを防ぐ目的で制定された法律です。
デリヘル嬢を盗撮した動画を公開した場合に、この法律で摘発される可能性は低いかもしれません。
しかし、出会い系サイトで知り合った女性との性行為を盗撮して公開したケースで、この法律に違反したとして有罪判決を受けたケースがあります。
通常のデリヘル嬢と客との関係以上に親密な関係になっていた場合には、リベンジポルノ防止法で摘発される可能性も否定できません。
また、上記各法律・条例違反に問えない事情がある場合、たとえば性器が写っておらず、わいせつ電磁的記録陳列罪に問えなかったり、迷惑行為防止条例で住居内の盗撮を規制していない県での撮影の場合には、リベンジポルノ防止法での摘発もありうるかもしれません。
第3条1項
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~弁護士にご相談を~
このようにデリヘル嬢を盗撮し、インターネットに公開すると、様々な法律に違反する可能性があります。
もしやってしまった場合には、すみやかに被害者に謝罪・賠償して示談を締結することが、被害者の損害回復と、加害者の早期釈放や軽い処分・判決を目指す上で重要です。
あなたやご家族が風俗トラブルで逮捕されたり、警察の取調べを受けてお困りの方は、お早めに弁護士にご相談ください。
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