帰ろうとする風俗嬢に傷害を負わせてしまった…

帰ろうとする風俗嬢に傷害を負わせてしまった…

京都府宇治市に住むAさんが、ある夜、京都府宇治市の繁華街を歩いていたところ、風俗店のキャッチに声をかけられました。
Aさんは、キャッチに近くのホテルに案内され、待っていたところ女の子が到着しました。
お金を払いプレイを開始しようとしたところ、女の子は突然、「帰る」と言い出して、部屋を出て行こうとしました。
だまされたことに気付いたAさんは、出て行こうとする女の子の腕をつかむなどしてもみ合いになりました。
すると女の子が転倒し、女の子は怪我をしてしまいました。
その後Aさんは、駆けつけた京都府宇治警察署の警察官から事情聴取を受けました。
(フィクションです)

~成立しうる犯罪~

今回のAさんの行為には、傷害罪が成立する可能性があります。
Aさんが女の子ともみあいとなり、女の子に暴行=有形力の行使をした結果として女の子が怪我をしているからです。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、ある程度の時間、女の子が部屋から出られないように押さえ付けたり、出口を塞ぐといった行為があった場合、逮捕監禁罪や逮捕監禁致傷罪が成立する可能性もゼロではありません。

刑法第220条(逮捕監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第221条(逮捕監禁致傷罪)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

逮捕監禁致傷罪(刑法221条)の懲役期間の下限と上限は、逮捕監禁罪(220条)と傷害罪(204条)の「良いとこ取り」ならぬ「重いとこ取り」をして、3カ月以上15年以下の懲役となります。

以上のような犯罪の成立が考えられるものの、今回のAさんはだまされたことによる被害を防ぐために、女の子が出ていくのを防ごうとしました。
そこで、正当防衛などに当たるとして違法性がなくならないか、ということが考えられます。

刑法第35条(正当行為)
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

刑法第36条1項(正当防衛)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

同法同条2項
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

たとえば、現行犯逮捕は一般市民も行うことが出来るので、Aさんの行為が、女の子を詐欺罪の現行犯逮捕をする行為であったと認められれば、35条の「法令…による行為」として犯罪が成立しない可能性はあります。
ただし、今回の場合、女の子が行った行為が本当に詐欺なのかはわかりづらく、必ずしも現行犯逮捕が可能な条件が揃っていない場合もあるので、正当行為とはいえない可能性もあります。

また、女の子にだまされ、お金を支払ってしまっていることによりAの財産的権利が侵害されていることから、女の子の腕をつかんだことやもみ合いになったことが権利を守るためにやむを得なかったといえれば、正当防衛が成立する可能性もあります。
しかし、もみ合いになるような物理的な方法によるのではなく、すみやかに警察を呼ぶなど別の方法があった場合は、36条1項の「やむを得ずにした行為」といえず、正当防衛は成立しない可能性もあります。

どちらにせよ、これらが成立するのかしないのかは、個々の事件の細かな事情によりますから、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

~軽い処分を目指す~

仮に正当防衛や正当行為とならなくても、傷害行為に至った経緯が考慮され、軽い処分となる可能性もあるでしょう。
たとえば、被疑者を刑事裁判にかけるか否か(起訴するか不起訴にするか)を判断するのは検察官ですが、不起訴処分となり前科も付かずに終わるという可能性もあります。
起訴されるとしても、傷害罪のみで起訴され罰金刑で終わったり、執行猶予が付くという展開も考えられます。

これらの軽い処分を目指すためには、被害者と示談するというのも一つの有力な手段です。
なぜなら、被害者に謝罪や賠償をしているのであれば、被害者の処罰感情のおさまりが考えられることから、さらに刑罰を科さなくてもいいと検察官が考え、不起訴処分などの軽い処分をしてくれる可能性が高まるからです。

~示談交渉を弁護士に依頼~

ただし、示談交渉をどのように進めたらいいか、示談書の内容をどのようにしたらよいかなど、わからないことも多いと思います。
特に、風俗トラブルとなってしまった相手方と、ご自身で示談交渉するのは、さらに関係がこじれてしまうことも考えられます。
そこで、示談交渉などを含めた刑事弁護を弁護士に依頼するのも、良い手段だと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
万が一逮捕されているケースでは、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。

接見や法律相談では、今回どういった罪が成立するのか、今後の刑事手続きの流れなどの説明や、取調べにどう受け答えしたらよいかといったアドバイスをさせていただきます。
その後、正式にご依頼いただければ、示談交渉を含めた刑事弁護活動を行います。
風俗トラブルから傷害罪や逮捕監禁罪などで捜査を受けた場合には、ぜひ一度ご相談ください。

 

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