SMプレイと刑事事件

SMプレイと刑事事件

いわゆるSMプレイと呼ばれる行為と刑事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
千葉県千葉市中央区在住のAは、千葉市中央区内にある性風俗営業店でいわゆる風俗嬢をしていました。
ある日、常連客Vが店に来て、Aをお見立てしました。
プレイの最中、VはAに対し、「最近SMプレイにはまっているため、首を絞めて窒息してくれないか」と言いました。
Aはそのような経験がなかったためいやだと言いましたが、Aがやってくれなければ他所の店に行くと言われ、仕方なくAの首を絞めるプレイを行いました。
しかし、Aが加減を間違えてしまい、Vは窒息状態に陥り、動かなくなってしまいました。
Aは慌てて消防局に通報しましたが、Vは搬送先の病院で死亡しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【SMプレイと刑事事件】
いわゆるSMプレイとは、サディズムとマゾヒズム、加虐性欲と被虐性欲のイニシャルをとった俗語です。
恋愛関係の上で行われる場合のほか、このような特殊な志向に合わせた性風俗営業店もあるようです。
ここで行われるプレイは、ムチで叩いたり、熱したロウソクをたらしたり、首を絞めたりする、といった行為が行われているようです。

これらの行為は、一見すると暴行罪や傷害罪などの罪に当たる行為です。
更に、結果としてVが死亡してしまった以上、殺人罪などの重い罪に当たる可能性も否定できません。

しかし、どのような罪名にあたるか、という判断をするには、以下のような点を検討する必要があります。

・相手の同意の有無
SMプレイは、通常、SMプレイが行われることが前提の性風俗営業店に行く場合や、被虐者の側が依頼してSMプレイが行われることが一般的です。
SMプレイで被害を受けると考えられる側は被虐者ですので、被虐者側の同意を得たうえで行われたSMプレイであるかどうかは判断のポイントとして重要です。
逆に言うと、加虐者側が、一方的に相手を縛り付けてムチで叩いたり、首を絞めたりした場合、相手の同意がないものとして判断されます。

・故意の問題
ケースの場合、被虐者は結果として死亡してしまいました。
A(=風俗嬢=加虐者)の故意による行為でV(=風俗利用者=被虐者)が死亡していることから、殺人罪の適用が検討されます。
しかし、AにはVを殺害するという意思は存在しないため、殺人罪の適用は考えられません。

【刑事事件で問題となる行為とは】
刑事事件では、罪に当たるかどうかという判断をするうえで
・構成要件に該当する
・違法性阻却事由がない
・責任能力がある
という3つの要件が揃った場合にのみ、処罰されることとなっています。

構成要件該当性とは、刑法上罪に当たる行為が規定されていて、それに該当しなければ、たとえ倫理・道徳に違反した行為であっても、刑事責任は負わないこととされています。

違法性阻却事由は、構成要件に該当する行為ではあるものの、正当な行為である、あるいは正当防衛が認められる場合などを指し、違法性阻却事由がある場合には刑事責任は負わないとされています。

責任能力は、構成要件該当性が認められ、違法性阻却事由がない場合に、被疑者・被告人に刑事責任を問う能力が存在するかどうかの判断がなされます。
精神障碍がある場合など、責任能力が認められない場合には、刑事責任を問うことができません。

【ケースの場合の検討】
Aが故意にVの首を絞めた結果、Vは死亡しました。
この場合に問題となる罪として、殺人罪/傷害致死罪/業務上過失致死罪(又は過失致死罪)が挙げられます。
殺人罪については、殺意が認められないことから、構成要件に該当せず、罪が成立しないと考えられます。
そうなると、傷害の故意があり、その結果相手が予想だにせず死亡してしまったという場合に成立する傷害致死罪か、不注意により招いた死亡事故としての業務上過失致死罪(又は過失致死罪)の適用が考えられます。

これについては、実際の状況などを具体的に検討する必要があります。
ただ、ポイントとしては、相手の同意について認められた場合、正当行為であり違法性阻却事由にあたるため、傷害致死罪が成立せず業務上過失致死罪のみが認められることになるでしょう。
他方で、いくら同意があったとはいえ「社会通念上許された限度」を超えていると評価された場合には、違法性阻却事由には当たらず、傷害致死罪が成立すると考えられます。

千葉県千葉市中央区にて、SMプレイ中の風俗嬢が相手を死亡させてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

 

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