京都市左京区で性病をうつした風俗トラブル
京都市左京区在住の会社員であるAさんは,頻繁に近所の風俗店に通っていた。
ある日,Aさんが人間ドックを受診した際,性行為感染症(いわゆる性病)に感染していることが判明した。
その際に,Aさんは医者から完治するまで風俗店には行かないように指示されていた。
しかしAさんは,いつものように風俗店に通い,サービスを受けた風俗嬢Vに自身の性行為感染症を感染させてしまった。
Vおよび店長は京都府川端警察署に被害届を提出し,後日Aさんは京都府川端警察署から呼び出しを受けた。
(フィクションです)
~病気をうつす行為~
今回のAさんのように他人に病気をうつす行為は何罪になるのでしょうか。
一般的に,他人にわざと病気をうつす行為は傷害罪となります。
傷害罪というと,他人を殴って怪我をさせた場合などに成立すると思われるかもしれません。
しかし,傷害罪のいう傷害とは人の生理機能や健康状態を害することをいうとされています。
当然,怪我をさせることは人の生理機能や健康状態を害することになります。
今回のように,他人に病気をうつすということは他人の健康状態を害することになりますので傷害といえます。
以下は最高裁昭和27年6月6日判決からの引用です。
傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問はないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立するのである。
(中略)
性病を感染させる懸念あることを認識して本件所為に及び他人に病毒を感染させた以上、当然傷害罪は成立するのである・・(略)
裁判所はこのように判示していますので,今回のAさんにも傷害罪が成立する余地があります。
また,犯罪の成立には故意が必要です(刑法38条)。
Aさんには傷害罪の故意があったといえるのでしょうか。
故意とは簡単にいうと特定の犯罪構成要件に該当する具体的事実の認識,認容をいいます。
傷害罪の場合であれば,自分の行為が人の生理機能や健康状態を害する行為であるという認識があれば故意があるといえます。
Aさんは医者から風俗店に行かないように指示されていたのであり,自身の性行為感染症が他人にうつる可能性を自覚していたといえます。
そのため,Aさんが風俗店でサービスを受けたことは傷害罪の故意があったといえます。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
一概に傷害罪といってもその犯行態様や傷害の程度,被害者との示談状況などによって刑罰が軽い場合もあれば重い刑罰が科される可能性もあります。
今回のAさんの場合はどうなるのでしょうか。
傷害罪の場合,被害者に治療費や慰謝料などをまったく支払っていない,すなわち示談がまったく成立していないような場合には起訴される可能性が高くなります。
起訴されてしまった場合は刑事裁判を受けることになり,有罪となった場合,前科がついてしまいます。
前科がついてしまうと,何らかの資格が取れなくなってしまったり,会社を解雇されてしまうなど様々な不利益を被ることになります。
その為,弁護士はまず事件が起訴されないように活動することが考えられます。
傷害罪の場合は先程申し上げたように被害者の方との示談が成立しているかどうかが大きなポイントとなります。
今回のケースでは被害者の方を性行為感染症に罹らせてしまっていますので,治療費や慰謝料の他,治療の期間仕事ができなくなった損害賠償などを請求されることが考えられます。
物を壊してしまい弁償するといった,明確な金額がわかるものであれば個人でも対応しやすいと思われますが,慰謝料や休業による損害賠償などは算定が難しく個人で対応するのは困難です。
弁護士であれば適切な金額の算定や,宥恕条項付示談書の作成を行い示談交渉を進めるなど個人では難しい事も対応可能です。
また,ご本人様の謝罪文やご家族の方などの上申書なども示談書と一緒に検察官に提出し,事件が起訴されないように弁護活動をしていくことになるでしょう。
万が一,起訴されてしまった場合には,執行猶予付きの判決や罰金刑,略式手続きとなるように引続き弁護活動をしていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
風俗店で性行為感染症をうつしてしまった,それによって刑事事件化しそうだ,刑事事件化してしまった,とお困り場合にはお気軽にご相談ください。
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(京都府川端警察署までの初回接見費用:34,900円)