客引き行為で逮捕
客引き行為での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、埼玉県鶴ヶ島市のキャバクラの男性事務員として勤務していた。
Aさんは、キャバクラでの主たる業務として、店の外に出て通行人等に対して呼び込みをするいわゆる客引き行為を行っていた。
普段のAさんの客引き行為は、店の周辺で不特定多数の通行人に対し呼び込みをするにとどまっていたが、店から課された月のノルマの達成が厳しい時には、特定の通行人に対しつきまとった上で執拗に店に来るよう説得するような行為もしていた。
ある日、Aさんが、特定の通行人につきまとい執拗な客引き行為を行っていたところ、その様子をパトロール中の埼玉県西入間警察署の警察官が発見し、風営法違反の被疑事実でAさんを現行犯逮捕した。
(上記の事例はフィクションです)
~風営法違反~
客引き行為を規制する法律として、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、風営法とします)が挙げられます。
風営法22条1項は、風俗営業を営む者が、当該営業に関し客引き行為を行うこと(同項1号)や、当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人に身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと(同項2号)を禁止しており、これに違反した者は、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が科されることになります(風営法52条1号)。
キャバクラについては、「…その他の施設を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」(風営法2条1号)として「風俗営業」にあたります。
そのため、Aさんはキャバクラの男性事務員であり「風俗営業を営む者」にあたるといえます。
~客引き行為とは~
風営法22条1項1号は、「客引きをすること」を禁止しているにとどまるため、客引き行為の内容は風営法上明らかではありません。
そこで、警視庁生活安全局の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」という通達において、客引き行為とは、「相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することをいう」とされています。
そのため、Aさんが普段行っていたような不特定多数の通行人に対し呼び込みをするような行為や、店名を告げずに声をかけるだけといった行為は風営法上の客引き行為にはあたりません。
もっとも、上記の事例では、Aさんは特定の通行人に対し、店に来るように説得していることから、「相手方を特定して営業所の客になる世に勧誘」したといえ客引き行為を行ったといえます。
また、Aさんは客引きに際して、店の周辺で特定の通行人につきまとう行為を行っています。
そのため、「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人に…つきまとう」行為を行ったといえ、風営法22条1項2号にも違反することになります。
したがって、Aさんは、風営法52条1号より、6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処せられる可能性があるといえます。
なお、大阪府のように「大阪市客引き行為等の適正化に関する条例」のような条例で、風営法の対象である風俗営業等だけでなく、業種を問わずに指定された地域における客引き行為を禁止している都道府県もあり、そうでなくとも客引きの態様によっては都道府県の迷惑防止条例違反となる可能性もあることにも注意が必要です。
このように、一般に客引きといってもその態様によって処罰されるケースとそうでないケースとがあることから、キャバクラ等の風俗営業等を行う店舗では、そうした法律に違反する客引き行為をしないように気を付けると同時に、もしも刑事事件となってしまった場合には刑事事件専門の弁護士にアドバイスをもらいつつ対応することがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士がご相談・ご依頼を受け付けています。
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