【報道解説】デリヘルでの性的暴行で不同意性交等罪で逮捕

【報道解説】デリヘルでの性的暴行で不同意性交等罪で逮捕

デリバリーヘルス(デリヘル)で従業員に性的暴行を加えたとして不同意性交等罪の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「神戸市内のホテルで風俗店従業員の女性に性的暴行を加えたとして、兵庫県警葺合署は、不同意性交等罪の疑いで、鳥取県倉吉市上井の精肉加工販売会社社長、A容疑者を逮捕した。
逮捕容疑は2日午前1時55分~同2時35分ごろまでの間、神戸市中央区のビジネスホテルで、デリヘル従業員の女性(24)の両手首を押さえつけ、性的暴行を加えたとしている。
同署によると、容疑を大筋で認めているが、『(女性の)両手首を押さえたのでなく手をつないでいたという認識』とも話しているという。
女性が風俗店に電話し、『助けてください』と訴えたため、風俗店の男性経営者が110番して発覚した。」

(令和4年12月2日に産経新聞で配信された報道より、一部匿名に変更し、事実を一日改変して引用したフィクションです。)

【デリヘルで本番行為のリスク】

今回取り上げた報道では、デリヘルの従業員に対して性的暴行を加えたとして不同意性交等罪の疑いで逮捕されたケースです。

上記実際の事例が発生したのは令和4年のことで、当時は刑法177条「強制性交罪」として立件されていました。
強制性交等罪は、被害者が13歳以上である場合、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行又は脅迫を用いて性交したときに成立します。

ホテルの一室で男性が風俗嬢の方が動いで拒否しないように両手首を掴んだり手をつないだりした上で性交をした場合には、男女の体格の違いや場所がホテルの一室で二人きりであったなどの状況も相まって、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行を用いて性交をしたとして強制性交等罪が成立する可能性があります。

なお、強制性交「等」罪という犯罪名ですから、性交をした場合以外にも、肛門性交口腔性交をした場合にも強制性交等罪が成立することになります。

強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

令和5年7月13日、強制性交等罪は「不同意性交等罪」へと改定されました。

【不同意性交等罪】

現在の第177条(不同意性交等罪)は、次に掲げる行為・事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。

次の行為・事由とは、簡潔に要約すると、「暴行脅迫」、「心身の障害、その恐れ」、「アルコール・薬物等の影響」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応、そのおそれ」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8要件が列挙されています。

改定以前の「暴行脅迫」による被害者の望まぬ性交も、引き続き不同意性交等罪で処罰されることになります。

不同意性交等罪は、婚姻関係の有無にかかわらず成立する可能性があり、法定刑は五年以上の有期拘禁刑となっています。

【風俗トラブルで警察沙汰にしたくないとお考えの方は】

今回取り上げた報道では、性的暴行を受けたデリヘル従業員の女性が店に連絡したことをきっかけに現場に駆け付けた警察官が署まで任意同行をした上で逮捕されたケースです。
このようなケースとは違って、無理やり本番行為をした日からしばらく経ってから、警察に逮捕されるという場合も考えられます。

そのため、風俗嬢の方が本番行為について嫌がる様子を見せていたがその場では直接何も言われなかった場合や、最初は風俗嬢の方から慰謝料などを求められて連絡を取っていたが次第に連絡がつかなくなった場合に、「事件にならなかった」「これで事件が終わった」などど安易に判断することなく、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。

ある日突然、自宅に警察が来て逮捕されるということを避けるためには、弁護士を付けてお相手の風俗嬢の方と示談をすることが重要になります。
不同意性交等罪は数ある性犯罪の中でも非常に刑が重い犯罪ではありますが、被害者の風俗嬢の方が警察に被害について申告する前に示談を結ぶことができれば、警察が介入して刑事事件へと発展する前に風俗トラブルを解決することも不可能ではないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
風俗トラブルで警察沙汰になることを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。

 

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