風俗トラブルで警察に出頭は有効??

風俗トラブルで警察に出頭は有効??

福岡県豊前市に住むAさんは、ソープ店Xを利用した際、風俗嬢V(20歳)からサービスを受け終わった後、Vから「オプション3万円で本番できるよ」と言われたことから、Vに3万円を支払ってVと性交しました。
ところが、その後、AさんはX店の店長から電話を受け「お前、この前うちの嬢(風俗嬢V)と性交しただろ。」「うちが本番禁止なのはわかっているよな?」「罰金100万円払え。」「でなければ福岡県豊前警察署に被害届を提出するからな。」などと言われてしまいました。Aさんとしては、Vさんと性交したことは認め、お金も払うつもりではいますが、風俗嬢と性交したことでどうして被害届を提出すると言われなければならないのか納得がいかなかったものの、先手を打って警察に出頭することも検討しています。
そこで、Aさんは、まず、風俗トラブルに詳しい弁護士への無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

この記事をご覧の方の中には、まず、はじめに「罰金を支払う必要はあるのか?」などと思われている方もおられるかもしれません。
この点、風俗店を利用した場合、お客は、通常、お店と風俗利用の「契約」をしていると考えられます。
そして、その契約違反があった場合(今回でいえば、お客が禁止事項を破った場合)にお店はお客に対し損害額を請求することができます。多くの風俗店では、「本場行為が発覚したら罰金○○円をいただきます」などとの注意書きがなされ、利用客もこれを認識してサービスを受けているものと思われます。
このように、利用客はお店はから予め「~~したら●●円払え」と予告されているのですから、これは賠償額の予定、つまり違約金(民法420条3項)と解されています(お店側からの「罰金」請求=「違約金」の請求=損害額の予定)。
そして、「違約金」は損害額についての証明がなくても請求することができると考えられており、金額の妥当性は別として、契約違反として金銭を支払う義務は生じるでのはないかと思われます。

~ どんな罪に当たりうるか? ~

それでは、Aさんは、お店側から「被害届を出す」と言われているのですから、Aさんの刑事責任についてはどうなのでしょうか?
この点、AさんはVと性交しているのですから、Aさんは「強制性交等罪」の疑いをかけられる可能性はあります。
刑法177条に規定されている強制性交等罪の条文を確認しましょう。

刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

~ 出頭することは有効? ~

では、Aさんが先手を打って警察に出頭することは有効なのでしょうか?
この点、Aさんが警察に出頭する意図は、警察に「自首」として扱ってもらうことによって、「逮捕や厳罰(実刑)を避けるため」だと考えられます。
しかし、出頭したからといって、必ず「自首」扱いになるわけではないことに注意する必要があります。
というのも、自首とは「捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告してその処分に委ねる意思表示」をいいます。
つまり、ここで「犯罪事実」とでてきましたが、自首が成立するには、前提として犯罪事実が成立している必要があるのです。

そして、上でご紹介した強制性交等罪の場合、たとえ、AさんがVと性交したとしてもその前提として「暴行・脅迫」がない限り、強制性交等罪は成立せず、「犯罪事実」とは認められないのです。
事例とAさんの主張だけ見れば、AさんがVに「暴行・脅迫」を加えて事実は認められませんから、Aさんが強制性交等罪に問われることはありません。
よって、Aさんが警察に出頭しても、「自首」としては認めてもらえない可能性があります。

~ それでも不安は残る ~

出頭したAさんから事情を聴いた警察は、Vからも事情を聴くでしょう。
このとき、Vが本当のこと(Aさんから暴行、脅迫を加えられた事実はないこと)を話せば問題はありませんが、たとえば、先の罰金の支払いなどで店側ともめていると、Vが意図的に「Aから暴行を加えられた」などと虚偽の話をしてしまう可能性もなくはありません。
そして、仮に嘘をつかれたとしても、警察はその話が本当なのかどうか確かめる術がありません。
しかも、警察は基本的には被害者の味方ですから、Vの話を鵜呑みにしてしまうおそれもなくはないでのす。
そうすると、Aさんには、依然として、逮捕され、強制性交等罪で処罰されるという不安(冤罪の危険性)は残るということになります。

こうしたことがありますから、風俗トラブルに関連して刑事事件化しそうだという際には、まずは弁護士に見通しやこれからどうするべきかといったことを相談することが望ましいといえるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されてしまった、これから捜査されてしまうかもしれない、とお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
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