風俗店での盗撮で示談
風俗店を利用した際に盗撮をしたが、示談をしたいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
兵庫県明石市に住むAさん。
ラブホテルでデリヘルを利用した際、その様子を小型カメラで盗撮していました。
ところが帰り際、女性にカメラを発見され、デリヘル店の男性スタッフを呼ばれてしまいました。
カメラを没収されたほか、慰謝料として300万円を要求されたAさん。
すぐに払うことは出来なかったので、運転免許証を写真に撮られ、持っていた名刺も渡し、その日は帰宅を許されました。
しかし帰り際に男性スタッフから、
「もし払わなかったら明石署に被害届を出すからな」
とも言われたことから、今後どうなってしまうのか不安を抱えています。
(事実をもとにしたフィクションです)
~盗撮で成立する犯罪~
風俗店のサービスの様子を盗撮したAさん。
成立する犯罪としては、各都道府県が制定する迷惑防止条例違反や、軽犯罪法違反などが考えられます。
兵庫県の条例を見てみましょう。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(略称:迷惑防止条例)
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
この条文には「浴場、更衣室、便所」と記載されており、ホテルの一室は明確に記載されていません。
しかし、これらは例示に過ぎないため、「その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たれば、この犯罪が成立することになります。
ホテルの一室も、この条文に該当する可能性が高いでしょう。
罰則は、別の条文に記載されています。
第15条第1項
第3条の2第1項から第3項まで、第5条第1項若しくは第2項又は第10条の2第1項の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第2項
常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
原則として、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
盗撮の前科があるなど、常習者として扱われると、倍の刑罰になる可能性があります。
また、都道府県によっては、公共交通機関や商業施設などでの盗撮しか処罰の対象としていない条例もあります。
その場合、より罰則が軽い軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
軽犯罪法
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
拘留とは、1日以上30日未満の身体拘束をされる刑罰をいいます。
科料とは1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑罰をいいます。
~示談で解決できないか~
店のスタッフは、Aさんに対し、300万円を要求しています。
高額な要求ですが、かといって払わずに本当に警察に被害届を出されてしまうと、逮捕されるのではないか、家族にバレるのではないか、職場にもバレて退職を余儀なくされるのではないかなど、不安なところだと思います。
交渉して金額を減らして示談を結び、解決を目指すのが一番でしょう。
ただし、示談交渉は相手が一般人であっても、何と言ってお願いしたらいいか、示談金はいくらが適切か、後になって問題が蒸し返らないような示談書の文言にするにはどうしたらいいかなど、難しい点が多くあります。
相手が風俗店であれば、怖い人が出てくるのではないかなど、なおさら心配なところでしょう。
そこでぜひ一度、弁護士にご相談下さい。
弊所は、刑事事件専門の弁護士事務所ですので、示談交渉の経験も豊富な弁護士が揃っています。
また、弁護士があいだに入ることによって、相手としても、あまりに無理な要求をして逆に恐喝罪に問われるといった展開にならないか、気にするようになるでしょう。
まずは無料法律相談のご利用をお待ちしております。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。