風俗店が本番行為を禁止する理由
Aさんは,埼玉県加須市にある風俗店へ行きました。
Aさんは,店頭でVさん(19歳)を指名し,Vさんのサービスを受けました。
そうしたところ,Aさんは気持ちが高揚してきて,Vさんに「本番お願いできないかな?」と言ったところ,Vさんから「本番禁止だから」といったんは断られました。
そこで,Aさんは,「3万円上げるから」と言ったところ,Vさんから「ゴムありで1回だけならいいよ」と言われたため,Aさんに3万円を渡し性交をはじめました。
ところが,AさんはVさんとの約束を反故にし,コンドームを着用せずに陰茎をVさんの膣内に挿入しました。
これに激怒したVさんは部屋から出て店長を呼びました。
Aさんは,店長から和解金として200万円を請求されました。
(フィクションです)
~ 風俗店が本番行為を禁止する理由 ~
多くの風俗店では風俗嬢との本番行為,すなわち,客と風俗嬢が性交することを禁止しています。
では,なぜ,そもそも風俗店は本番行為を禁止しているのでしょうか?それには次に掲げる理由は大きいと思われます。
= 売春防止法で処罰されるおそれがある =
売春防止法では「売春」行為を援助・助長する行為を禁じています。
例えば,売春防止法11条では売春の場所を提供する行為を禁止しています。
売春防止法11条
1項 情を知って,売春を行う場所を提供した者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2項 売春を行う場所を提供することを業とした者は,7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。
店側が,風俗嬢の本番行為を容認して店で本番行為をさせていた場合,店あるいはその代表者等が「売春を行う場所を提供した者」あるいは「売春を行う場所を提供することを業とした者」に当たることになって処罰されるおそれがあるのです。
* 「売春」とは *
売春防止法2条で「売春」とは,対償(現金等)を受け,又は受ける約束で,不特定の相手方と性交をすること,と定義されています。
なお,売春防止法は「売春」行為を援助・助長する行為を禁じる法律です。
したがって,売春防止法では,売春をした当事者が処罰されることはありません。
= 風営法による営業停止を命ぜられるおそれがある =
風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)31条1項では,店舗型性風俗特殊営業店の営業停止に関する規定を設けています。
すなわち,
店舗型性風俗特殊営業を営む者又はその代理人が,風営法に規定する罪や風営法4条1項2号ロからへなどに掲げる罪に当たる違法な行為をしたときなどは,公安委員会は,当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し,8月を超えない範囲で期間を定めて当該店舗型性風俗特殊営業の全部又は一部の停止を命じることができる
とされています。「風営法4条1項2号ロからへ」に含まれる「二」には,先ほどご紹介した
売春防止法11条の罪(場所の提供の罪)
も含まれています。
営業停止となれば,店側とすれば大きな経済的損失を被ることになります。
* 店舗型性風俗特殊営業とは *
ソープランド,ファッションヘルスなど
= 風俗店に対する悪評が広まる =
以上は法律上の効果・影響ですが,それだけにとどまりません。
店側が何らかの法律に当たる行為をしたとなれば,警察の捜査を受けることになります。
お店には警察の捜索が入り,代表者はもちろん,風俗嬢らにも捜査の手が及ぶことになるでしょう。
そうなれば,ネット等を通じて客からの悪評はいっきに広まり,お店で働こうとする風俗嬢も減っていくでしょう。
そうなれば,店としては大きな経済的損失を被ることになります。
~ 風俗トラブルに遭わないために ~
風俗トラブルに遭わないためには,まずは,こうしたお店側の事情をしっかりと理解した上で風俗店を利用すべきでしょう。
仮に,風俗トラブルに遭った場合は,弁護士に相談されることをお勧めします。
本番行為の絡む風俗トラブルでは,事案によっては強制性交等罪などで被害届を出されたり,告訴され,刑事事件化することもあります。
反対に,不当な要求,態度については毅然とした態度をとることが必要です。
こうした店側,被害者との駆け引きについては,交渉になれた弁護士の力が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,風俗トラブルをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
風俗トラブルに関連する刑事事件でお困りの方は,まずは,お気軽にフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
(埼玉県加須警察署までの初回接見費用:4万円)