場所を提供して売春防止法違反
Aさんは、東京都葛飾区で風俗店「X」を経営する経営者です。
Aさんは風俗店の経営がうまくいっていなかったことから、インターネットで他人になりすまして売春の相手方を募集し、これに応じた男性と女性従業員を風俗店で引き合わせていたところ、売春防止法違反(場所の提供の罪)の疑いで警視庁葛飾警察署の捜索を受け、逮捕されてしまいました。
Aさんは、「従業員が売春をしているとは知らなかった。」「従業員が勝手にやったことだ。」などと供述していますが、捜査の結果、Aさんがインターネット上で売春を相手を募集していたこと、従業員に売春をするよう指示していたこと、従業員から売春で得たお金の7割を搾取していたことなどが判明しています。
(フィクションです。)
~ 売春防止法 ~
売春防止法(以下、法といいます)は、売春を助長する行為等を処罰に関する規定、性行又は環境に照らして売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置に関する規定を定めた法律です。
具体的には、売春防止法において、以下の行為が禁止されています。
・勧誘等(法5条)
・周旋等(法6条)
・困惑等による売春(法7条)
・対償の収受等(法8条)
・前貸等(法9条)
・売春をさせる契約(法10条)
・場所の提供(法11条)
・売春をさせる業(法12条)
・資金等の提供(法13条)
* 「売春」行為それ自体は法では処罰されない *
「売春」とは、法2条で、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」をいいます。
法では「売春」の定義については規定されていますが、「売春」行為そのものを処罰する規定は設けられていません。
法は、あくまで、売春を助長する行為を禁止する法律だからです。
ただし、場合によってはその他の法律(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律など)で処罰される可能性はあります。
~ 場所の提供の罪 ~
今回、Aさんは場所の提供の罪で逮捕されたようです。
法11条
1項 情を知って、売春を行う場所を提供した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2項 売春を行う場所を提供することを業とした者は、7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。
「情を知って」とは、その場所で売春が行われることを少なくとも未必的に認識し、予見してという意味です。
単に売春が行われるかもしれないという程度の一般的、抽象的認識では不十分とされています。
今回、Aさんは、「従業員が売春をしているとは知らなかった。」「従業員が勝手にやったことだ。」などと供述しており、この「情を知って」の部分を否認しています。
しかし、今回の捜査では、
・インターネット上で売春を相手を募集していたこと
・従業員に売春をするよう指示していたこと
・従業員から売春で得たお金の7割を搾取していたこと
などと、Aさんが売春の場所の提供について積極的に関与したことを示す事実関係が明らかになっているようです。
このような状況下では、Aさんの弁解は通りにくいのではないかと考えられます。
「売春を行う場所」とは、建物又はその一部である部屋であることが通常ですが、売春行為に利用される場所であれば、どのような場所でもよいとされています(例えば、庭、自動車内など。)
ただし、提供者がその場所につき事実上の支配力を有する場所でなければならないとされています。
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