風俗店経営者が、売春の周旋(あっせん)をして逮捕された事例につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
東京都新宿区で、風俗店を経営するAさん。
表向きには合法なデリバリーヘルスの店でした。
しかし実際は、働く女性に対し本番行為をするよう指示していました。
そしてお客さんから電話があった際も、裏メニューとして本番行為が可能になることを匂わせる発言をするなどして本番行為をしたいお客を集め、利益を得ていました。
ある日Aさんは、売春防止法違反の疑いで、警視庁新宿警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~売春防止法違反とは~
売春やその相手となる買春は売春防止法で禁止されています。
売春防止法
第3条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。
しかしこの法律では、売買春自体に対する処罰は定められていません。
その代わり、売買春を増加させるような行為については、罰則が定められています。
罰則の対象となる行為の1つとして、売春の周旋(=あっせん)があります。
第6条
売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
なお常日頃、本番行為がされているソープランドでは、女性とお客の自由意思により性交をしたのであり、店があっせんをしたわけではないという理論があり、摘発されることはあまりありませんでした。
しかし今後、この理論がどこまで通用するかわかりません。
特にAさんのように裏メニューとして店も本番行為を進めていれば、いつ摘発されてもおかしくないでしょう。
延期されましたが、東京オリンピック・パラリンピックに向けて街を浄化しようと、摘発が強化されているとのニュースもありました。
今後は2021年のオリンピック・パラリンピックに向けて、摘発が強化されていく可能性もあります。
~18歳未満の児童の場合~
Aさんが、18歳未満の者(児童)を働かせていた場合、本番行為のあっせんがあろうとなかろうと、児童買春禁止法違反に問われる可能性があります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第5条1項
児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第2項
児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
この法律でいう「児童買春」には、本番行為だけでなく、通常のデリヘルのサービスであるわいせつな行為も含まれています。
したがって、本番行為あっせんの有無にかかわらず、働かせた時点で児童買春禁止法違反になってしまう可能性があるのです。
しかも児童を守る必要性の高さから、18歳以上の者について売春のあっせんをした場合よりも重い刑罰が定められています。
特に業務として児童売春のあっせんをした場合には、5条2項により7年以下の懲役と1000万円以下の罰金の両方が課されうることになります。
~摘発された場合は弁護士にご相談を~
あなた自身やご家族、あるいは店の同僚が、違法な風俗営業で逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、どんな罪が成立するのか、いつ釈放される見込みなのか、処分・判決の内容はどうなりそうか、刑事手続きの流れはどうなるのかなど、わからない点が多いと思います。
事件に応じたご説明を致しますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。