売春で家宅捜索
売春をしてしまった場合に問題となる勧誘の罪と、その際に行われる家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
大阪府枚方市在住のAは、枚方市内でアルバイトをしている成人男性です。
Aは金を稼ぐ目的で、売春行為を行っていました。
その手口は、SNS上にて不特定多数の者が見られる状態で「#ママ活募集#大阪」などと投稿し、ダイレクトメッセージが届いた者と連絡を取り合い指定された場所に向かい、そこで現金を受取り枚方市内のラブホテルに行って性行為をするという流れでした。
ある日、Aの自宅に大阪府警察署の警察官が自宅に来て、売春防止法違反にあたるので家宅捜索を行いますと説明し、Aが持つスマートフォンとタブレット、自宅に設置していたWi-Fi機などを押収していきました。
Aは、売春防止法違反とはどのようなものか、家宅捜索とは何か、刑事事件専門の弁護士に無料相談で質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【売春自体には罰則規定がない】
まず、売春という言葉は、売春防止法に「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。」と規定されています。
買春については、その相手方、つまり売春の逆を意味します。
すなわち、お金を渡して性行為をする側が買春、お金を貰う側が売春となります。
売春、買春について、売春防止法では「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」と規定されています。(同法3条)
もっとも、売春行為や買春行為自体には罰則規定がないことから、売春が摘発された場合でも刑事罰を受けることはありません。
【売春の勧誘は罰則規定がある】
とはいえ、売春をするためには、ケースのようにSNS上で相手を募ったり、立ちんぼをしたりする、勧誘行為をする場合が一般的です。
この勧誘行為については、売春防止法上に罰則規定があるため、違反した場合には刑事罰を受けることがあります。
条文は以下のとおりです。
売春防止法5条 売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
1号 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
2号 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
ケースのようなSNS上での勧誘については売春防止法5条1号を根拠に、立ちんぼについては同2号に、それぞれあたる行為になります。
売春の勧誘で刑事事件化するというケースはそう多くはありませんが、立ちんぼについては先日大阪市の梅田駅地下街にある「泉の広場」で一斉摘発が行われて61人が検挙されたという報道がありました。
また、SNS上での売春勧誘については、サイバーパトロールによる摘発での検挙があります。
買春相手になりすましての捜査という場合のほか、書き込みをもとにIPアドレスを調べるなどして後日検挙、という場合があります。
【家宅捜索について】
家宅捜索は、被疑者とされている者の証拠品の有無などを確認するために行われるものです。
基本的な流れとしては、警察官等が自宅などに来て、裁判所が発付する「捜索差押許可状」という書類を提示したうえで家などに入り、証拠品を探し出します。
証拠品が出てきた場合、それらを一時的に警察署等に持っていく(押収する)ことができますが、その際には「押収品目録」に何を押収したのかを記載した上で交付する必要があります。
家宅捜索は逮捕等とは別の問題ですが、通常逮捕の場合には、捜索差押許可状による家宅捜索・証拠品の押収を行った上で、別途裁判所から交付を受けた逮捕状により被疑者を逮捕するという場合が多いです。
在宅事件でも家宅捜索は行われますが、例えば痴漢事件の現行犯逮捕事案のように押収する証拠品が自宅等にあることは考えにくい場合には、家宅捜索は行われません。
根拠条文は以下のとおりです。
刑事訴訟法218条1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
大阪府枚方市にて、売春勧誘などの罪で家宅捜索を受け、今後の手続きについて知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
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