風俗店内での盗撮録音事件で示談交渉
風俗店内での盗撮行為や録音行為の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
東京都昭島市在住のAさん(50代男性)は、風俗店内で盗撮行為や録音行為を継続的に行っていたとして、風俗店側から「賠償金を支払え。支払わなければ警察に被害届を出す」と言われている。
Aさんは、東京都昭島警察署に被害届を出されて、刑事事件化することを防ぎたい、前科を避けたいと考えて、刑事事件に強い弁護士に法律相談し、風俗店側との示談交渉を弁護士に依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~風俗店内での盗撮行為の刑事処罰とは~
盗撮事件では、一般的に、盗撮の犯行態様に応じて、各都道府県の制定する迷惑防止条例、軽犯罪法、刑法の住居侵入罪や建造物侵入罪などの規定により、刑事処罰を受けます。
迷惑防止条例では、各都道府県によって細かい条文内容は異なるものの、盗撮場所が「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」や「不特定又は多数の者が利用する公共の場所又は乗物」での盗撮行為が、迷惑防止条例違反に当たるとされていることが多いです。
東京都の迷惑防止条例も、このような規定となっています。
風俗店内での盗撮行為が、迷惑防止条例違反に当たるかどうかを検討するには、まず、その都道府県の迷惑防止条例が「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」での盗撮行為を規制する条文内容かどうか、そして、実際に事件のあった風俗店内が「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たると言えるかどうかが、問題となります。
迷惑防止条例違反に当たらないと判断されるようなケースでは、風俗店内でのぞき行為があったとして軽犯罪法違反に問われたり、盗撮目的で風俗店内への不法侵入行為があったとして、刑法の建造物侵入罪に問われたりすることも考えられます。
迷惑防止条例違反は、各都道府県によって「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」や「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されることが多いです。
ただし、東京都の場合には、盗撮の非常習者は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習者になると「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
軽犯罪法違反の法定刑は「拘留又は科料」、刑法の建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とされています。
なお、「拘留」とは1日以上30日未満の身体拘束がされる刑罰であり、「科料」とは1000円以上1万円未満が没収される刑罰です。
~風俗店内での録音行為の刑事処罰とは~
風俗店内での会話などを、ボイスレコーダーやスマートフォンの録音機能を用いて、密かに録音する行為について、直接に刑事処罰を科す法律はありません。
ただし、録音目的で風俗店内に不法侵入行為があったとして、刑法の建造物侵入罪に問われる可能性は考えられます。
~示談で解決を目指す~
風俗店内での盗撮録音事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは、被害者女性や風俗店側との示談交渉を行うことで、警察に被害届が提出される前に事件を解決し、刑事事件化されないことを目指します。
示談交渉は、加害者側と被害者側の双方が合意することで成立するため、弁護士が風俗店側との示談交渉を仲介することで、賠償額や慰謝料などの示談金額につき、警察沙汰になる前の早い段階で合意することが重要となります。
他方で、既に警察に被害届を出されてしまった後で、警察から事情聴取の呼び出しを受けているケースであっても、弁護士が仲介して被害者女性や風俗店側と示談交渉することは重要となります。
特に、被害者や風俗店側との間で「加害者を許す意思を含む示談」が成立していれば、検察官が事件の起訴・不起訴を判断する際に、示談成立済みである事情が重視されて、刑事処罰が軽くなったり、不起訴処分が出て前科を回避できる可能性が高まることが期待されるからです。
風俗店側から何度も示談金の金銭請求を蒸し返されたり、あるいは、示談が成立しているのに警察に被害届を出されたり、といった悪質なケースを防ぐためにも、刑事事件に強い弁護士を仲介させて、示談交渉を行うことは、円満な事件解決のために重要となります。
風俗店内での盗撮録音事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。