知り合いの風俗嬢を脅して強制性交等罪

知り合いの風俗嬢を脅して強制性交等罪

福岡県朝倉市に住むAさんは、ある日、デリヘルを呼ぼうと思い、福岡県朝倉市にあるデリヘル店に電話しました。
女の子が到着して顔を見たところ、なんと同じ職場で働くVさんでした。
驚いたAさんでしたが、内心これ幸いと思い部屋に招き入れました。
最初は、「なんでこんなとこで働いているの?」といった普通の会話をしていたAさんでしたが、徐々に、「こんなこと会社にバレたら大変だよな~」「誰にも言わないからさ、本番させてよ」などと言い始めました。
「それはちょっと…」と本番行為を拒否するVさんに対し、Aさんはさらに、「いいのか、そんな態度で」「断るなら上司に言いつけてやるからな」などと脅しました。
デリヘルで働いていることを会社にバレることだけは避けたかったVさんは、これ以上拒否することは難しいと思い、性交に応じました。
その後、他のルートから会社にデリヘルで働く事実を知られることになり退職を余儀なくされたVさんは、Aさんの行為について福岡県朝倉警察署に相談。
Aさんは福岡県朝倉警察署の警察官によって強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

~脅迫による強制性交等罪~

デリヘルにおいて、本番行為はサービスに含まれていません。
そこで、女の子の同意なしに本番行為をすると、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立する可能性があります。

刑法第177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

この条文における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があります。
ただ、会社に内緒でデリヘルで働いている人からすると、会社にその事実をバラすと脅されれば、抵抗は著しく困難だったと判断されてもおかしくありません。
したがってAさんは「脅迫を用いて性交をした者」に該当し、5年以上の有期懲役に処せられる可能性が出てきてしまいます(余罪がなければ上限は20年)。。

似たような事案が起きた場合、被害者側が実際に被害届を出すかはわかりませんし、密室の中での出来事なので犯行の立証が難しいところもあります。
しかし、かなりリスクの高い行為であることは間違いありませんので、相手の弱みに付け込んでこのような行為をすることはやめるべきでしょう。

~強制性交等事件では示談締結が重要~

前述のように強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役です
しかし、執行猶予は懲役3年以下の場合に付けられますので(刑法25条1項参照)、そのままでは実刑判決となってしまいます。

しかし、情状で酌量すべき点(刑を軽くしてもいいと言える事情)があれば、法定刑の半分まで刑が減刑される可能性が出てきます。

刑法第66条
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

刑法第68条
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
3号 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。

したがって、もしも2年半以上10年以下の懲役ということになり、下限が3年を下回ったので、執行猶予を付ける余地が出てきます。

情状酌量が認められる理由としては、初犯であること、被害者に賠償して示談を結んでいること、犯行を認め反省していること、などが上げられます。
これらの事情があれば、情状酌量による刑罰の減軽により執行猶予となる可能性も出てくるでしょう。
前科の有無は変えられませんが、示談を締結することはできるので、執行猶予を得るためには示談交渉が極めて重要となります。

~強制性交等事件はお早めのご相談を~

しかし、示談交渉をしようにも、金額や示談書の内容をどうすべきかわからない場合も多いと思います。
また、性犯罪の被害者の方にとって加害者と関わることは心理的負担が大きく、弁護士を間に入れないと応じてくれない場合も多いです。
そこでぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
逮捕されると刑事事件は一気に手続が進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。

 

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