ケース別(利用客側)~女の子が怪我をしたと言われている…~

1 風俗利用と風俗嬢の怪我

風俗店を利用して風俗嬢に怪我をさせてしまった場合、刑事事件との関係では、次のような犯罪が成立する可能性があります。

 

(1)傷害罪

刑法第204条

「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

 

(2)過失傷害罪

刑法第209条第1項

過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

 

(3)不同意わいせつ致傷罪(旧強制わいせつ致傷罪)

刑法第181条第1項

第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

刑法第176条

第1項

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

第2項

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
第3項

十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

(4)不同意性交等罪(旧強制性交等致傷罪、旧 強姦致傷罪)

刑法第181条2項

第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

刑法第177条

第1項

前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

第2項

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
第3項

十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

 

(5)監禁致傷罪

刑法第220条

不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

刑法第221条

前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

2 風俗店と傷害罪

風俗店を利用した際に傷害罪に問われるケースとしては、風俗嬢と何らかのトラブルになり、暴力を奮って風俗嬢に怪我をさせてしまうことがまず考えられます。

また、SMプレイを行ったところ、風俗嬢の承諾の範囲を超えた行為に及んでしまい、その結果風俗嬢に怪我をさせてしまったというケースも見られます。結果的に怪我を負ってしまった場合には、もともと約束の範囲内のプレイだったとしても、風俗嬢からは「ここまでやって良いなんて言っていない。過剰なプレイをさせられ怪我を負わされた。」と被害の声を上げられることが少なくありません。

いずれの場合も、怪我をした風俗嬢が警察に被害を届け出るとともに、その怪我について医療機関で診断書をとるなどすると、傷害事件として刑事事件化していくことになります。

 

3 風俗店と過失傷害罪

風俗店を利用中に、意図的ではなく不注意によって風俗嬢に怪我をさせてしまった場合、過失傷害罪に問われる可能性があります。

プレイの内容にはとくに問題が無かったものの、風俗嬢の扱い方に過失があったり、配慮が欠けていたりした結果、意図せず風俗嬢に怪我をさせてしまうケースです。

怪我の程度が重かったりする場合には、風俗嬢が被害の声を上げ、刑事事件化していくことがあります。怪我の程度や部位によっては、風俗嬢が一定期間仕事ができなくなってしまう関係で、思いのほか風俗嬢の被害感情が大きくなってしまうことがあります。

 

4 風俗店と不同意わいせつ致傷(旧強制わいせつ致傷)

風俗店を利用中に、本来のサービスの範囲内とはいえないようなプレイを要求したり、許された以上のエッチな行為をし、その結果風俗嬢に怪我をさせてしまった場合には、強制わいせつ致傷罪に問われる可能性があります。

強制わいせつ罪は、刑法に定められている罪の中でも、とくに重い刑罰が科される罪です。不同意わいせつ致傷罪で起訴された場合、裁判員裁判の対象ともなります。不同意わいせつ致傷罪で被害届を出されそう、不同意わいせつ致傷罪で捜査されている様子、といった場合は、とくに早急の対応が必要です。

 

5 風俗店と不同意性交等(旧強制性交等致傷)

風俗店を利用した際に、風俗嬢がOKしていないのに無理やり本番行為に及び、その際に風俗嬢に怪我をさせてしまった場合、不同意性交等致傷罪に問われる可能性があります。

不同意性交等致傷罪も、不同意わいせつ致傷罪同様、刑法に規定されている犯罪の中でも、とくに重い刑罰を科される可能性のあるものです。不同意わいせつ致傷罪も不同意交等致傷罪も、これらの罪名で起訴された場合、裁判員裁判となり、手続きは長期化し、マスコミ等の注目を集めることもあります。

 

6 風俗店と監禁致傷罪

風俗店を利用した際、風俗嬢を個室やホテル部屋に閉じ込めたり、風俗嬢の承諾の範囲を超えた監禁プレイを行ったりし、その際に風俗嬢に怪我を負わせてしまった場合、監禁致傷罪に問われる可能性があります。

はなから監禁するつもりはなかったとしても、途中で何らかのトラブルになったり、プレイの延長について揉めたりし、風俗嬢の方が「帰らせてもらえなかった。部屋から出してもらえなかった。」などと被害の声を上げると、監禁罪として刑事事件化していく可能性があります。

 

7 風俗嬢に怪我をさせてしまったら…

風俗店を利用して風俗嬢に怪我をさせてしまった場合、とにかく早期の対応が重要です。

多くの場合、風俗店や風俗嬢の側は、いきなり警察に届け出るというより、まず当事者同士で話をしようとすることが多いです。こちらに落ち度がある場合、そこでの対応が悪いと、警察に被害届を出され、本格的に刑事事件になるリスクがあります。

しかし、警察介入前に当事者間での解決が図れるのであれば、大事にならず、スピーディーに事が沈静化します。

一方、風俗店や風俗嬢の側の話が単なる言いがかりである場合も、大丈夫だろうとたかをくくっているのも危険です。第三者の目撃者もいない密室内でのことなので、風俗嬢の話をもとに警察の捜査が開始される可能性はあります。いずれにせよ、初期の対応が重要になってきます。

ただ、被害の声を上げた風俗店や風俗嬢を相手に、一個人で立ち向かうのはそう簡単ではありません。

また、一度話がまとまったように思えても、再び蒸し返しをされたり、いつまでも脅迫まがいのことをされ続けたり、ということもあります。法律のプロである弁護士を間に入れて、不当な要求には毅然とした態度で臨み、一方こちらに落ち度がある部分については、相手側の被害感情の沈静化に向けて冷静な対応をとることが重要です。

弁護士が間に入った場合には、最終的にしっかりした書面を取り交わして問題解決に至るので、後々不当な蒸し返しに合うこともありません。

 

8 風俗嬢に怪我をさせてしまい、警察が介入したら…

当事者間での協議がととのわない場合、あるいは、当初から風俗店や風俗嬢が警察に被害申告を行った場合には、警察の捜査が開始される可能性があります。

この場合は、相手は捜査機関という組織になります。すぐに弁護士を立てて対応することが求められます。相手の怪我の程度などによっては、後日急に警察が来て逮捕される可能性もあります。

早期に弁護士を依頼することで、逮捕の回避につながったり、早いタイミングで風俗店や風俗嬢対応ができ、円満に事件が解決したりといったことが望めます。

また、風俗店や風俗嬢の側の言い分がすべて正しいとは限りません。こちら側が主張すべき点は、弁護士が間に入ってきっちりと主張していく必要があります。性的トラブルに怪我が伴うと、警察の対応もかなり厳しくなります。

不同意わいせつ致傷罪や不同意性交等致傷罪などにいたっては、とくに重い犯罪とされ、裁判ともなれば裁判員裁判の形で行われることになります。「時間がたてば収まるだろう、時が解決してくれるだろう」ではなく、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件を専門に取り扱い、日々多くの刑事事件を受任しています。風俗店利用に際してのトラブル事案も数多くお引き受けしています。豊富な経験をもとに、迅速・的確な対応を行います。

風俗トラブルに巻き込まれてしまったら、まずはお気軽にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー