1 風俗嬢から「やめてって言ったのに」「なんであんなことしたの」と言われている…
風俗店を利用した後、風俗嬢から、「ルール違反」だとか、「サービスの範囲外の行為をさせられた」等と被害の声を上げられるケースがあります。
利用客男性の方としても、正当なサービスの範囲を超えていることを分かりつつ、過度なサービスを要求したり、犯罪になるわいせつ行為に及んだりすることがあります。
一方で、利用客男性の方としては、正当なサービスの範囲内だと真に思っており、全く悪気があることはしていないのに、風俗嬢の勘違いや二人の間の認識のズレから、風俗嬢側が被害の声を上げるということも少なくありません。
いずれにせよ、一度風俗嬢の方が被害の声を上げると、強制わいせつ事件や強要事件として警察が介入し、捜査が開始される可能性が小さくありません。
そして、一度警察が介入すると、事の性質上目撃者がいなかったり、男性客側に不利な状況であることが多かったりするので、捜査が長期化したり、男性客側に身体拘束や刑事処罰のリスクが発生したりするということになります。
2 風俗店と不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)
男性客が、一定の行為や事由により、風俗嬢の意思に反して無理やりわいせつな行為を行うと、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。もちろん、正当なサービスの範囲内であれば、お互いの合意による行為として、法律的にも咎められるいわれはありません。
しかし、利用中に気持ちが高ぶってきたりした結果、つい通常のサービスの範囲を超えた過度なプレイを要求するようなことがあると、風俗嬢の意思に反して無理やりわいせつ行為に及んだとして、法律に触れるおそれがあるのです。
風俗店における不同意わいせつ事件では、男性客の方としては、初めから過剰な行為を要求するつもりで風俗店を利用する場合もありますが、もともとはそのようなつもりは一切なかったのに、ついエスカレートして、あるいは、風俗嬢との意思疎通に微妙なずれがあって、予想に反して風俗嬢の方が嫌がる行為をしてしまったというケースが多いです。
3 風俗店と強要罪
刑法第223条
- 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
- 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
風俗嬢が嫌がる行為の内容として、わいせつ・性的なことでないとしても、本来その風俗嬢がする必要・義務のないことを無理強いすると、刑法上の強要罪に当たる可能性があります。
たとえば、男性客の趣味嗜好の一環として、風俗嬢に対し特定の言葉やポーズを無理に要求したりするケースが考えられます。
この場合も、男性客の側としても犯罪に当たることを分かりつつ行うケースと、意識のずれ等から特に罪の意識もなく強要行為に及んでしまうというケースがあります。
女性客の方から被害の声が上がったとき、「不当な言いがかりだ」などと一蹴してしまうのではなく、一度自身の行為をじっくり振り返ってみる必要があるかもしれません。一度突っぱねて、後になって「あ、あの行為が相手にとって嫌なものだったんだ」と気づいても、その時にはすでに相手方との間で話がこじれにこじれているかもしれません。
4 風俗嬢から被害の声が上がったら弁護士に相談を
風俗嬢や、その話を聞いた風俗店から強制わいせつや強要事件として被害の声があがった場合、一度すぐに弁護士に相談することをお勧めします。
風俗店における事件の場合、風俗店利用申し込みの際に風俗店側は男性客の連絡先を聞いていることがほとんどなので、何か事が起こると、まずは男性客に直接連絡が来ることが多いです。
そして、その連絡の中で、直接対面で話し合いを行う約束や、さらには金銭支払い等の約束までされることがあります。
しかし、当事者間だけで話を進めることにはリスクがあります。なんとなく怖くなって相手の要求通りに応じると、その要求がいつまでも繰り返されたり、一度済んだと思った話が後になって蒸し返されたりということが往々にして起こります。
法律の専門家である弁護士に相談し、法的にどのような対応をするべきで、そのためには相手方とどのように話を運べばよいのか、さらには、当事者本人だけではなく弁護士を間に立てて対応するべき状態なのか、まず最初に確認することが必要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、365日刑事事件のご相談を受け付けています。
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