キャバクラのキャストにストーカー
今回は、キャバクラの客がキャストにストーカーをしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
埼玉県朝霞市に住むAさんは、キャバクラのキャストVに恋愛感情を抱き、拒まれているにも関わらずメールでラブレターを執拗に送信したり、頻繁にプライベートでの面会を要求するなどしていました。
Vさんが勤務するお店からは「Vさんに接触するのはやめてほしい。Vさんも嫌がっているんだ。いい加減にしてもらえないと、警察に相談するぞ」と言われていましたが、Vさんが嫌がっているのは好意の裏返しであると誤解し、なおも執拗にメールを送るなどしていました。
ある日、Vさんからも直接「警察に相談する」と言われました。
埼玉県朝霞警察署が動き出すのではないかと焦ったAさんは、弁護士に相談することにしました。(フィクションです)
~Aさんの行為はどんな罪になるか?~
Aさんの行為は、「ストーカー行為」として、ストーカー規制法違反となる可能性があります。
「ストーカー行為」とは、①同一の者に対し、②つきまとい等(※)を、③反復してすることをいいます。
「つきまとい等」とは、①特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、②当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、つきまといをする等のストーカー規制法2条1項各号に掲げる行為をすることをいいます。
この中でも今回のケースでは、
3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
という規定などに該当してしまうことになるでしょう。
すなわち、AさんはVさんに対する恋愛感情を充足する目的で、Vさんに対し、執拗にメールを送信したり、プライベートにおける面会の要求を行っているので、警察に相談された場合、ストーカー規制法違反事件の被疑者として捜査されてしまう可能性があります。
捜査が開始されると、①いきなり逮捕されて裁判となり罰則を受けるといった可能性もありますが、②最初に警察や公安委員会から警告や禁止命令を受け、それでも改善しない場合に罰則を受ける流れになる可能性もあります。
ストーカー行為に対する刑罰は、上記①のパターンの場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
一方、②のうち禁止命令を受けていたにもかかわらず、ストーカー行為を継続した場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。
いきなりは逮捕されずに猶予が与えられたのにストーカーを続けると、より重く罰せられる可能性があるということになります。
~刑事事件化を回避するためには?~
刑事事件化を防ぐ方法としては、ストーカー行為をやめることに他、謝罪や相当な慰謝料などを支払うことによって、Vさんと示談することが必要となる可能性があります。
Aさん自身でも示談交渉をすることはできますが、頻繁に面会を要求しているのに会ってもらえていない、という事情から、交渉は困難を極めることが予想されます。
また、不当に高額な示談金を支払ってしまう可能性もありますし、後で蒸し返すことができるような、示談として法律的に無意味な合意を行ってしまうリスクもあります。
最悪の場合は、Vさんを怒らせてしまい、警察に相談されてしまう時期を早めてしまうかもしれません。
上記のリスクを回避するために、AさんとVの間に弁護士を入れ、交渉することがベターです。
Aさんとは会ってもらえないが、弁護士となら会ってもらえるかもしれませんし、不当な要求を受け入れてしまうリスクも無くなります。
また、法律の専門家が入ることにより、法律的に適切な内容での示談を行うことができます。
Vに慰謝料を支払う必要があることはもちろんですが、今後Vさんの勤務する店を利用しないこと、Vさんに二度と接近しないことを約束することも重要です。
条件の良い示談が成立すれば、Vさんも警察に相談することはやめる可能性が高まります。
警察が介入しなければ、逮捕されたり、裁判を受けて前科が付くといったことにならずに済むことになります。
警察が介入する前の段階で弁護士を入れるメリットは大いにあります。
まずは弁護士に相談し、示談交渉についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ストーカー行為をしてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。