1 軽犯罪法と風俗トラブル
軽犯罪法第1条は、「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」とした上で、第23号で、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」と規定しています。俗に言う「のぞき」を規制しているのです。
風俗店を利用した際に、風俗嬢の入浴や着替え、トイレで用を足すところをこっそりと覗き見るような行為が、軽犯罪法違反となる可能性があります。
また、よくあるケースとして、自分が風俗嬢からサービスを受けるところを隠しカメラで盗撮したり、他の人がサービスを受ける様子を、風俗嬢の許可なしにのぞき見したり、といったものが見受けられます。
いずれも、それが発覚すると、まずはお店との間で、厳しい追及を受けたり、罰金の支払いを要求されたりすることが多いです。
そして、お店との話し合いがうまく進まなかったり、お店や風俗嬢の怒りが強いような場合には、お店や風俗嬢が警察に通報し、捜査機関が介入して刑事事件となるのです。
2 軽犯罪法に違反する行為をしてしまったら…
捜査機関の知るところとなると、警察での事情聴取を受け、ときに厳しい言葉で追及を受けます。
そしてその後事件は検察官の下に送られ、刑事罰の検討が進められます。被害女性の被害感情がある程度あり、とくに何か酌むべき事情(今回覗き行為をしてしまうに至った深い理由、など)があるというわけでもない場合には、やはり何らかの刑罰が科される可能性が高くなります。
軽犯罪方が規定する刑罰は、「拘留又は科料」で、刑罰の中ではいずれも軽いものです。
しかし、これらが科されると前科が付くことには変わりありません。刑事罰を回避し、前科が付いてしまうことを防ぐには、検察官に不起訴処分としてもらう必要があります。
風俗店利用に際し軽犯罪法違反を犯してしまった場合、不起訴処分を得るには、何よりもまず被害女性との間での和解・示談が大事になってきます。
何度も同じような犯罪を繰り返しているというようなことでなければ、今回の件で被害女性との間で和解・示談が調えば、高い可能性で事件は不起訴処分となります。
一方で、被害女性との間で和解・示談が調わないとなると、逆に何らかの刑罰が科される可能性が高くなります。和解・示談の成否が結論を大きく左右するのです。
被害女性との間で和解・示談協議を行う場合には、やはり弁護士を付けてその弁護士が対応することをお勧めします。
そもそも、多くの被害女性が、加害者本人との直接協議を拒絶されます。その場合には当然弁護士が間に入って対応することとなります。また仮に当事者同士直接の協議ができたとしても、当事者本人同士では感情的になって冷静な議論ができなかったり、最終的な取り決めが曖昧で、後に紛争が蒸し返しになってしまったり、といったことが考えられます。
なるべく穏便・迅速に、そして確実な解決を望むのであれば、当初から弁護士が代理人として被害者対応を行うことが望ましいでしょう。
3 軽犯罪法に違反する行為なんてやっていないのに…
風俗嬢の方が盗撮・覗きの被害を訴えているが、こちらには何もやましいところも思い当たる節もない、といったケースもあるでしょう。
こうしたケースでは、風俗嬢の方が何か誤解をしているという場合や、金銭を支払わせる目的で事件をでっちあげているといった場合があります。
いずれにしても、こちらとしては、「やっていないものはやっていない」として、毅然な対応をするべきでしょう。しかし、当事者の方だけでは、風俗嬢のバックにいるお店の人たちを相手にどこまで毅然とした態度で臨めるか疑問です。
なんとなく勢いに負けて一度金銭を支払ってしまったりすると、それに付け込んで、支払い要求が続いたりエスカレートすることになりかねません。早い段階で弁護士に相談し、風俗嬢やお店への対応の仕方について適切な助言を受けることが重要です。場合によっては、風俗嬢やお店が日頃から客相手に金銭をふっかけるようなことを繰り返しているといった事実を、弁護士が前面に出て調査するといった活動が求められるかもしれません。
とにかく、まずは一度、一人で問題を抱えずに、弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまでにも多くの風俗トラブル案件を取り扱ってきました。刑事事件に特化することで、各々の刑事事件にスピーディーに対応し、豊富な刑事事件の経験を積むことが可能となっています。
風俗店を利用し、軽犯罪法に関するトラブルを起こしてしまった・そうしたトラブルに巻き込まれてしまった方は、ぜひ一度あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。