【事例解説】売春の客待ちを指示して売春防止法違反で逮捕
売春の客待ちを行うように指示した売春防止法違反の刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「水商売をしているAさんは、自分のお客さんであるBさんが代金を支払えないことから、Bさんに売春をさせてお金を稼いでもらうことを考えました。
Bさんは、元々は売春をする意思はありませんでしたが、AさんがBさんに話をして説得したことで、Bさんは売春目的の人たちが集まる公園の前に立ち、売春の相手から声をかけられるの待つようになりました。
ある日、Bさんが、いつもと同じように公園で売春の相手を探すために立っていると、声をかけられたので、声をかけてきた人と売春の条件について話をしたところ、Bさんに声をかけてきたのは私服姿の警察官で、Bさんはそのまま売春防止法違反の疑いで現行犯逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)
【売春相手を探すために公園で立っていると?】
売春防止法5条柱書では、「売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。」と規定し、その3号において、「公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。」と規定しています。
事例のBさんは、いわゆる「立ちんぼ」として、売春の相手を探すために公園の前に立って、声をかけられるのを待っていますので、「売春をする目的で」「公衆の目にふれるような方法で客待ち」をしていると判断されて、売春防止法5条3号に違反する可能性が高いです。
ちなみに、売春防止法5条柱書では、「6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。」と規定していますが、罰金の金額については、罰金等臨時措置法2条1項によって「2万円以下の罰金」に修正されていますので、Bさんが売春防止法5条3号に違反したとして起訴されて有罪となると、6カ月以下の懲役刑又は2万円以下の罰金刑が科される可能性があるということになります。
【売春の客待ちをするようにそそのかすと?】
事例のAさんは、Bさんに話をして、Bさんに売春相手を探すために公園で立ちんぼをさせています。
Aさんのように、もともと売春の客待ちを使用と思っていなかったBさんにに働きかけをして、Bさんに売春の客待ちを決意させて、実際に客待ちをさせた場合は、売春防止法5条3号違反の教唆犯(刑法61条1項)として刑事罰の対象になる可能性があります。
そのため、AさんにはBさんと同じく、6カ月以下の懲役刑又は2万円以下の罰金刑が科されてしまう可能性があるということになります。
【売春の客待ちをそそのかした相手が警察に逮捕されたら?】
事例のAさんのように、売春の客待ちをそそのかした相手(事例ではBさん)が売春防止法違反の疑いで逮捕された場合は、弁護士に相談されることをお勧めします。
というのも、逮捕された人が、売春の客待ちをした理由について警察に正直に話すと、売春の客待ちを指示した側にも警察の捜査が及ぶ可能性があり、場合によっては、警察に逮捕されるという可能性もあり得るからです。
そのため、いち早く、弁護士に相談して今後の対応等についてアドバイスを貰うことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
売春の客待ちを指示した相手が警察に逮捕されてしまい、今後についてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。