【報道解説】児童を風俗店で働かせて児童福祉法違反で逮捕

【報道解説】児童を風俗店で働かせて児童福祉法違反で逮捕

女子中学生風俗店で働かせたことにより児童福祉法違反逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「採用面接の際に年齢確認をせずに女子中学生を風俗店で働かせたとして、東京都内を中心に営業する無店舗型デリヘル店「ラストJK」の経営者の男(44)と従業員の男(29)を、児童福祉法違反淫行させる行為など)の疑いで逮捕し、31日発表した。
2人とも『自分が面接をしたかは覚えていない』と話しているという。
少年育成課によると、ラストJKは池袋、秋葉原の両地区を中心に女性従業員をホテルに派遣するデリヘル店
2人は昨年12月17日、当時中学3年生の女子生徒(15)=東京都=が18歳未満なのに年齢を確認せずにホテルに派遣し、40代の会社員男性とわいせつな行為をさせた疑いがある。
女子生徒は8カ月前の採用面接時に19歳と自称していたが、男らはそれを厳格に確認せず、週3回のペースで働かせ続けていたという。
店には約40人の女性従業員が在籍しており、同課はほかにも18歳未満の女性が働いていなかったかを調べている。
(5月31日に朝日新聞DIGITALより配信されたニュースより引用)

【淫行させる行為とは】

報道で取り上げられている「淫行させる行為」とは、児童福祉法34条1項6号に規定されている行為です。
児童福祉法34条1項6号では、18歳未満児童淫行をさせる行為を禁止しています。
淫行をさせる行為」のうち、「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為のことを意味します。
児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為については、「淫行」に含まれます。
そして、「淫行をさせる行為」のうち、「させる行為」とは、直接・間接的に児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童淫行を行うことを助長し促進する行為を意味します。

デリヘルで女性を性的なサービスを提供させる目的で働かせるにあたっては、業務委託契約等の契約を結んでいることが多いです。
そして、そのような契約に基づいて児童デリヘルで働かせるという行為は、児童を性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準じるような性交類似行為児童が行うことを促進、助長させる行為に当たると考えられますから、「淫行をさせる行為」に当たることになるでしょう。

【児童に淫行をさせる行為させるとどのような刑罰が科されるのか】

児童福祉法34条1項6号に違反して、児童に淫行をさせる行為をしてしまうと、児童福祉法60条1項によって、10年以下の懲役刑、若しくは300万円以下の罰金刑、又はこの懲役刑と罰金刑が併わせて科されることになります。

【18歳未満であることを知らなかった場合はどうなるのか】

児童福祉法60条4項では、児童を使用する者は、児童の年齢を知らないという理由では、同法60条1項の処罰を免れることができないとしています。
ただし、児童の年齢を知らないことについて過失がない場合は、処罰を免れることができます。

デリヘルでこれから人を働かせようとする場合は、当然年齢確認を行うことが求められます。
そのため、年齢確認を行わなかった場合や、年齢確認をいいかげんに行った場合によって、18歳未満であると知らなかった場合は、18歳未満であることを知らなかったことについて過失がないとはいえないと判断されることになるでしょうから、この場合、仮にデリヘルで働かせた人が18歳未満であることについて知らなかったとしても、児童福祉法60条1項による処罰の対象になる可能性が高いと言えます。

【児童福祉法違反の疑いで逮捕されたら】

児童福祉法34条1項6号違反に科される刑罰は、児童福祉法の中で最も重いものとなっています。
そのため、「児童に淫行をさせる行為」をしたとして、警察に逮捕された場合、いち早く弁護士に依頼して初回接見にいってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、取調べのアドバイスを受けることができますし、また、事件の見通しや今後の手続きの流れを知ることもできるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の中で、児童福祉法違反の疑いで逮捕された方がいてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務まで一度ご相談下さい。

 

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