本番行為の黙認で売春周旋

本番行為の黙認で売春周旋

風俗店の本番行為の黙認による売春周旋事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

福岡市中央区に住むAさんは、同市所在のデリヘル店Xにおいて、指名を受けた従業員を客の下へ送迎する運転手として働いていました。
Xは、デリヘル嬢と客がいわゆる本番行為していることを黙認していましたが、Aさんはそのことを知らずに仕事をしていました。
ある日、Xを福岡県中央警察署の警察官が訪れ、捜索・差押えを行ったうえでAさんと店長のBさんを売春防止法違反(周旋)の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんが本番行為に関する事実を知らなかったと聞き、故意を争う弁護活動を行うことにしました。
(フィクションです。)

【風俗店による売春のあっせん】

デリバリーヘルス(通称:デリヘル)とは、従業員を利用客のもとに派遣して性的なサービスを提供する風俗の形態を指します。
デリヘルを含むファッションヘルスにおいては、性器の挿入を行う通常の性交(本番行為)が許されていません。
というのも、店のサービスとしてそうした行為を行った場合、対価を受けて不特定の相手方と性交するものとして、売春禁止法が禁止している「売春」に当たるからだと考えられます。

売春防止法は、売春の禁止を明記している一方、売春行為自体の罰則を定めていません。
そのため、たとえ売春を行ったとしても、それが児童買春に当たらない限り売春の当事者が刑事責任を問われることはないと言えます。
ですが、売春を助長する一定の行為については、売春防止法をはじめとする各種の法令が刑罰を定めています。
上記事例では、Xの従業員が本番行為を行っているにとどまらず、Xとしてそれを黙認しています。
このような行為は、売春の当事者を仲介する「周旋」に当たり、売春防止法が定める売春周旋の罪が成立すると考えられます。
そうすると、少なくともXの経営者に関しては、売春周旋の罪により2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれがあると言えます。

また、売春をさせた従業員が18歳未満の者であった場合、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)や児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春周旋)として更に重い処罰が科される余地が出てきます。
昨今は児童の性的搾取に対して厳しい目が向けられているので、従業員が18歳未満かどうかも重大な事実と言えるでしょう。

【本番行為の事実を知らなかった従業員の責任】

上記事例のAさんは、単に運転手として従業員の送迎を行っていたに過ぎず、積極的に売春の周旋に加担していたわけではありません。
ですが、そのことから直ちに売春周旋の罪の責任を逃れられるわけではない点に注意が必要です。
刑事事件においては、複数名が相互に協力して犯罪を実行した場合に、関与者全員に犯罪の責任を負わせることが認められているからです。
また、その犯罪行為をすることを容易にする手助けをした場合にも、犯罪の責任を問われることになっています。
Aさんについても、送迎というかたちで売春の仲介に関与している以上、売春周旋の責任を問われる可能性はあります。

もっとも、上記のような連帯責任を肯定する前提として、各人が犯行計画などを通して犯罪事実を認識していることは必要となります。
上記事例を見てみると、AさんはXが本番行為を黙認していることを知りません。
そうすると、Aさんとしては「売春」に加担している事実を認識していないことから、売春周旋の罪の責任は問われないことが期待できます。

そこで、弁護士としては、Aさんに売春周旋の故意がなかったと主張して不起訴や無罪を目指すことが考えられます。
こうした取組みに当たっては、捜査の初期段階から取調べについてアドバイスをしたり、入念に証拠を収集して主張を組み立てたりすることが重要となります。
ですので、もし故意を争って不起訴や無罪を目指すなら、可能な限り早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、風俗トラブルに強い弁護士が、不起訴や無罪に向けて周到な弁護活動を行います。
ご家族などが売春周旋の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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