風俗店からの示談金の要求への対処法
今回は、風俗トラブルを起こしてしまい、示談金を要求されている場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、大阪市此花区内のラブホテルにデリヘルを呼び、サービスを受けている様子を盗撮してしまいました。
デリヘル嬢がカメラに気付いたので、サービスは中断され、男性店員がラブホテルまでやってきました。
男性店員は示談金として150万円を提示していますが、Aさんとしては高額すぎるのではないかと考えています。
どうすればよいのでしょうか。
(フィクションです)
~Aさんに何か犯罪は成立するか?~
デリヘル嬢のサービスを盗撮すると、どんな罪に問われるのでしょうか。
いわゆる盗撮行為を行った場合に適用が検討される法令として、「各都道府県が制定する迷惑防止条例」と「軽犯罪法」があります。
迷惑防止条例の方が重い刑罰が定められています。
しかし公共の場所での盗撮しか処罰の対象としていない都道府県もあり、今回のようなプライベート空間での盗撮は軽犯罪法で処罰でしか処罰されないことになります。
大阪府の場合もプライベート空間での盗撮は処罰の対象とされておらず、Aさんも軽犯罪法違反での処罰が予想されます。
軽犯罪法の条文を見てみましょう。
軽犯罪法
第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
罰則である拘留とは、1日以上30日未満の身体拘束です。
科料は1000円以上1万円未満の金銭徴収です。
迷惑防止条例違反だと1年以下の懲役や100万円以下の罰金などが定められるケースが多いので、それに比べると軽い罰則となります。
ただし、大阪府でも条例改正が検討されているので、いずれ条例違反で処罰される可能性もあります。
~店舗側の要求への対処~
風俗トラブルが起きた場合、しばしば苛烈な態様で示談金を要求されます。
店員の態度に恐怖を感じたり、家族や職場にバレてしまうかもしれないなどと考え、要求をそのまま受け入れてしてしまうケースもあるかと思います。
しかし、一旦冷静になり、弁護士と相談することをおすすめします。
ケースの男性店員はAさんに対し150万円を提示しています。
Aさんが考えている通り、ケースの事件において、150万円という額はかなり高額に思われます。
同種事案に照らして不当に高額な示談金を支払ってしまうと、Aさんの経済的な損失にもつながりますし、また、「ゆすると」お金を出す人物と思わせてしまうことにより、要求がエスカレートすることも考えられます。
交渉を通じて、適切な額で示談するのが良いでしょう。
また、男性店員と示談をすること自体についても問題があります。
今回の被害者はあくまでもデリヘル嬢です。
男性店員に150万円を支払うことにより、デリヘル嬢「も」納得する保証はありません。
それどころか、150万円を男性店員に支払った上に、デリヘル嬢に被害届を出されてしまう、という可能性も否定できません。
デリヘル嬢に生じさせた損害を賠償するためには、デリヘル嬢本人や、本人を適法に代理する者(弁護士など)と交渉する必要があります。
法律的に有効で、Aさんにとってより有利に示談を行うためには、弁護士を間に入れて交渉を進めていくことをおすすめします。
場合によっては、Aさんが弁護士を立てたことにより、先方から要求額を減額することも考えられます。
このように、弁護士を間に立てて交渉することには多くのメリットがありますので、まずは一度、弁護士にご相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
デリヘル嬢を盗撮する事件を起こし、お困りの方はぜひご相談ください。