ケース別(利用客側)~男性同士での性行為~

街には数多くの風俗店が溢れています。各風俗店はそれぞれ様々なサービスを提供しています。

その中には、男性が男性に対して性的サービス行う内容のものもあります。そして、男女間で性的サービスを提供する風俗店同様、男性間で性的サービスを提供する風俗店でも、色々な法律的トラブルが少なからず発生しています。

一般的に誤解されがちなところですが、2017年(平成29年)の刑法改正までは強姦罪については女性のみが被害者になり得ていましたが、現在では、男性間でも、肛門性交・口腔性交等をめぐって、基本的には男女間での場合と同様のトラブルが起こり得ます。

1 不同意わいせつ(旧強制わいせつ)

刑法176条

第1項 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
第2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
第3項 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意わいせつ罪については、以前から、法律上も特に問題なく男性間に適用されました。

風俗店を利用した際に起こり得る不同意わいせつトラブルとしては、風俗店・ボーイが了承していない性的プレイを無理矢理やらせたといったものでしょう。

多くの風俗店では、あらかじめ各ボーイが対応可能なプレイをHP上等で明記しています。さらに、ボーイの体調等に応じて実際サービスを行う時点では対応できないプレイがある可能性についても記載されていたりします。ボーイからサービスを受ける際に、もともとサービス内容に含まれていないような行為や、そのボーイが拒んでいるプレイを客の側が強制するようなことがあると、その点については不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。

さらに、不同意わいせつ罪にあたる行為を行うに際し、ボーイに万が一怪我が発生するようなことがあれば、不同意わいせつ致傷罪という、これまた非常に重い犯罪が成立してしまう可能性もあります。

刑法181条1項

第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

 

2 不同意性交等罪(旧強制性交等罪、強姦罪)

刑法177条

第1項 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、こう門性交、口くう性交又はちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
第2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
第3項 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

以前、「強姦罪」「強制性交等罪」とされていた犯罪が、令和5年の刑法改正により、不同意性交等罪とされました。そこでは、一定の場合における肛門性交や口腔性交、肛門に身体の一部や物を挿入する行為であってわいせつなものについては、処罰の対象とされています。

これにより、男性間の性的行為についても、相手の意に反してアナルプレイやフェラチオを強いることがあれば、不同意性交等罪として処罰される可能性が出てきたのです。

風俗店によってはそもそもアナルプレイを禁止しているところもありますし、風俗店としては禁止していなくても各ボーイごとにアナルプレイの対応の可否が異なったりする場合もあります。

風俗店やボーイがアナルプレイを了承していないにもかかわらず、無理矢理ボーイの肛門に自身の男性器等を挿入するようなことをすれば、不同意性交等罪が成立する恐れがあります。

フェラチオについても、そもそもそれが風俗店・ボーイの了承するところなのか確認が必要ですし、コンドームを装着した上でのフェラチオはOKだが、直接的なフェラチオはNGなど、その方法に制限がある場合もあります。そうした場合も、風俗店やボーイの意向に反して客側が勝手に好みのプレイを行うと、やはり不同意性交等罪の成立の可能性が出てきます。

そして、不同意性交等罪についても、相手に怪我が生じてしまった場合には、さらに重く処罰される可能性があります。

刑法181条2項

第百177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

 

3 男性間で不同意わいせつ事件・不同意性交等事件を起こしてしまったら…

強制わいせつ罪にしても強制性交等罪にしても、他の犯罪と比較しても極めて重い刑罰が規定されている犯罪類型です。ひとたび捜査機関が捜査を開始すれば、早い段階で逮捕・勾留され、その後も身体拘束が長期化し、最終的にも重い刑罰が科される可能性があります。

不同意わいせつ罪も不同意性交等罪も、最近の刑法改正により、依然とは異なり、「親告罪」ではなくなりました。被害者らの告訴が無くても裁判にかけられる犯罪となったのです。しかし、被害者となる相手男性との間で示談・和解が成立することは、身体拘束の有無・長さや最終処分との関係で非常に大きな意味を持ちます。

示談・和解の成立は、身体拘束の回避や身体拘束からの解放に直結することも多く、最終処分との関係でも、示談・和解が調った結果裁判にならずに済むということも充分に考えられます。

風俗店を利用して男性間で不同意わいせつ・不同意性交等トラブルを起こしてしまたら、早急に弁護士に相談し、相手の男性への対応を始めることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に特化した活動を行っています。風俗トラブル事案についても、多くのご相談を受け付けています。男性間での性的トラブルについてのご相談も少なくありません。

風俗店を利用して男性間で性的トラブルが発生してしまったら、まずは一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー