男性同士で強制性交等罪に?
男性同士での行為が強制性交等罪(旧、強姦罪)にあたる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
東京都渋谷区渋谷在住のAは、渋谷区内の会社に勤める会社員です。
Aは男性に好意を抱いているところ、ある日、マッチングアプリで好みのタイプの男性Vと知り合いになり、デートをしました。
Aはその際、Vを路地裏に連れ込み、Vを抑え込んで無理やりズボンを脱がせ、アナルセックスと呼ばれる行為をしました。
Aはその場で我に返ってVに謝罪し、現金10万円を置いてその場を離れました。
後日、Aの家に渋谷区内を管轄する渋谷警察署の警察官が自宅に来て、Aを強制性交等罪で逮捕しました。
Aは、初回接見に来た刑事事件専門の弁護士に、男性同士で強姦にあたるのか、質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【男性同士で強姦に?】
世代によっては、未だ「強姦罪」という呼称の方が馴染みがあるかもしれませんが、2017年の刑法改正により「強制性交等」罪に代わりました。
改正前後での条文は以下のとおりです。
≪改正前≫
刑法177条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
≪改正後≫
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も同様とする。
上記を比較して頂ければわかるとおり、対象となる行為と、対象となる性別が大きな変更点です。
対象となる行為については、性行為だけでなく、フェラチオなどと呼ばれる口腔性交や、アナルセックスと呼ばれる肛門性交を含め、「性交等」と括って処罰対象としました。
また、改正前の刑法では被害者を女性に限定していましたが、改正後の刑法では性別の要件を設けていないことから、男性が被害者になる場合をも想定するようになったのです。
ケースのように、男性が男性に対してアナルセックスと呼ばれる行為をした場合に、暴行や脅迫があったと認められた場合、強制性交等罪に当たる可能性があります。
上記のとおり、強制性交等罪の罰条は「五年以上の有期懲役」と定められているため、略式起訴は望めず、正式裁判になります。
また、執行猶予という言葉を御存知の方も多いかと思いますが、懲役刑の言い渡しを受けた場合には執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになります。
執行猶予をつけるための要件はいくつかありますが、その一つに「三年以下の懲役…の言い渡した受けたとき」でなければつけられないと定められています(刑法25条1項)。
強制性交等罪の罰条は五年以上の有期懲役と定められているため、減軽事由が認められなければ5年以上20年以下の懲役刑を言い渡され、実刑になってしまうかもしれません。
【強制性交等罪で逮捕されたら弁護士へ】
強制性交等罪のような性犯罪は非常にセンシティブな情報と言えます。
とりわけケースのようなセクシャルマイノリティと呼ばれる方の場合、事件がカミングアウトの端緒になってしまう場合もございます。
しかし、刑事事件は時間との闘いである以上、迷うことなくすぐに弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制性交等罪のようなセンシティブな事件についても取り扱っています。
御家族が東京都渋谷区渋谷にて、男性に対する強制性交等事件を起こしてしまい弁護士への依頼を躊躇している方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件専門の弁護士が逮捕された御本人のもとに接見に行き、希望をしっかりと確認した上で、可能な弁護活動について御説明致します。