1 売春防止法
第2条
この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
第3条
何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。
売春防止法では、売春行為の禁止を明記しています。しかし、上記第3条については、売春をした者についても、その相手方となった者についても、刑罰規定は置かれていません。この法律で処罰の対象となるのは、売春の勧誘や周旋といった、売春行為を助長する行為等を行なった者です。
2 風俗店利用と売春防止法
風俗店を利用するにあたり、利用客の方が直接売春防止法で罰せられたりすることは考えにくいです。
風俗嬢に売春行為をさせたり、売春の紹介・斡旋・場所提供等を行なったりした風俗店側が規制・処罰の対象となり得ます。もちろん、サービス利用中にたまたま警察が踏み込んできて、ちょうどその時そこにいた利用客も一時捜査対象になったり捜査協力を余儀なくされたりすることはあり得ます。
そもそも売春とは、「性交」を伴うものです。
性交とは、女性器への男性器の挿入を意味します。俗に“本番行為”などと言われるものです。
本番行為は、多くの風俗店でその禁止が明示的に掲げられていますし、風俗嬢としても好んでそれを行う人は多くないでしょう。しかし中には、プラスアルファの対価を支払うなどして、実際に本番行為が行われることもそこまで珍しくはなく、その本番行為を巡ってままトラブルが発生していることも事実です。
客の方が風俗嬢に対して本番行為を無理強いしたというような場合は、当然に、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧 強姦罪)といった犯罪が成立する可能性があります。ただ、もともとは客と風俗嬢との間で本番行為についての合意が形成されたにも関わらず、金銭支払いを巡る問題などからトラブルになり、風俗嬢の方が「無理矢理やられた」などと声を上げるケースもあります。
こうした際に、風俗店や風俗嬢の側は、「売春防止法違反だ」などと言って、客側に高額の金銭支払いを要求し、それに応じなければ警察に被害届を出すなどと言ってくることがあります。
3 風俗店を利用して売春防止法トラブルに巻き込まれたら
本番行為等を巡って風俗店や風俗嬢から売春防止法違反で訴えるなどと言われた場合、まずは弁護士に一度相談されてみてはいかがでしょうか。上記の通り、売春防止法が規制・処罰の対象としている範囲については、一般の方が思われているところとズレがあるかもしれません。
風俗店・風俗嬢が言っている話が果たして本当なのか、あるいは意図的に嘘をついて不当な要求をされているのか、まずは第三者に冷静に相談することが有効でしょう。本番行為をやってしまったという後ろめたさから容易に相手の言いなりになってしまうのは危険です。
一方、売春防止法の問題ではないとしても、本番行為を巡る問題となれば、強制わいせつ罪・強制性交等罪(旧 強姦罪)といった極めて重い犯罪を巡るトラブルに発展する可能性もあります。弁護士に相談の上、適切な対応を早めにとる必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱っています。刑事事件・少年事件に特化しているからこそ、日々多くの刑事事件・少年事件に関するご相談を受け、実際に受任し解決へと導いています。
売春防止法についても、実際に売春防止法違反で立件されている事件はもちろん、実際は同法違反が成立しない状況にも関わらず風俗店側から同法違反で訴えるなどと言われているようなケースへの対応も行なっています。
風俗店を利用されて売春防止法を巡るトラブルに巻き込まれてしまった方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。迅速に対応いたします。