ケース別~スカウト・女の子のあっせん行為が発覚した

(職業安定法違 反・迷惑防止条例違反・児童福祉法違反等)

1 風俗店スカウトと職業安定法

職業安定法

第1条

この法律は、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

第44条

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

第63条

の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

第64条

次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

九 第四十四条の規定に違反した者

風俗店のスカウト行為は、職業安定法で禁止される労働力供給事業や有害業務の紹介行為として犯罪となります。売春・風俗・AV出演へのスカウトは、「公衆道徳上有害な業務」への紹介として、厳しく処罰されるおそれがあります。

 

2 風俗店スカウトと迷惑防止条例

東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

第1条

この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする。

第7条

何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

五 次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。

イ 人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む。以下同じ。)

ロ 専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務(イに該当するものを除く。)

六 性交若しくは性交類似行為又は自己若しくは他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせる行為に係る人の姿態であつて性欲を興奮させ、又は刺激するものをビデオカメラその他の機器を用いて撮影するための被写体となるように勧誘すること。

七 前二号に掲げるもののほか、人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執ように役務に従事するように勧誘すること。

第8条

四 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

五 第七条第一項の規定に違反した者

風俗店のスカウト行為は、各都道府県が制定する迷惑防止条例と呼ばれる条例に違反することにもなります。

 

3 風俗店スカウトと児童福祉法

児童福祉法

第4条

この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。

  1. 乳児 満一歳に満たない者
  2. 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
  3. 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

第34条

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為

四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為

五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

六 児童に淫(いん)行をさせる行為

第60条

第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

風俗店のスカウトは、18未満の児童に対してなされる場合には、児童福祉法に違反する可能性もあります。

 

4 スカウト行為を行ってしまったら…

風俗店のスカウト行為は、「簡単に稼げる」「継続して稼げる」などと謳われて、若い男性の中を中心に、“割の良いバイト”感覚で行われているようです。

スカウトした女の子が風俗店で働くことになると、その後その女の子の売上金の数パーセントが、継続的にスカウトマンに支払われる約束等がなされるようです。

しかし、風俗店のスカウト行為は、決して軽くない犯罪行為になります。今日、捜査機関の取り締まりも厳しく、現行犯で逮捕される事案も後を絶ちません。先輩等から紹介されて安易に始めてみたら、ある日突然逮捕…なんてことにもなりかねません。

実際に風俗店のスカウト行為を行ってしまった場合、ひとまず弁護士に相談してみましょう。逮捕を回避し、最終処分についても可能な限り穏やかな形にできるよう、早い段階で相談・協議してみると良いでしょう。

いざ逮捕されてしまってからでは、弁護士とのスムーズな連絡もできません。一度逮捕された後の身体解放活動については、逮捕前の逮捕回避活動よりもハードルが上がることが予想されます。

風俗店のスカウトをやってしまい、「まずいかな」と少しでも思った際には、早めに弁護士にアクセスしてみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、365日24時間体制で法律相談の予約受付を行っています。刑事事件・少年事件に特化した事務所だからこそ、迅速・的確な弁護活動をいたします。

風俗店のスカウト業務に従事してしまい、後悔している、足を洗って別の仕事を始めたい、なんとか逮捕は免れたい、などといったお考えをお持ちの方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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