風俗店にウソの派遣依頼で取調べ
風俗店に偽の派遣依頼の電話をし、偽計業務妨害罪で取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
福岡県福岡市に住むAさん。
あるデリヘル店を利用したところ、女の子の態度が悪いと感じました。
後日、その態度を思い出してはイライラするという状態が続いていたAさん。
腹いせにそのデリヘル店に電話をして、実際には利用していないホテルの名前と部屋番号を告げ、女の子を派遣させるというイタズラ電話を繰り返しました。
店側からの折り返しの電話も無視し続けていたAさん。
ある日、福岡県南警察署から連絡が入り、この件で事情を聞きたいとして警察署に来るよう言われました。
急に心配になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~偽計業務妨害罪に~
デリヘル店に対しウソの派遣依頼の電話をしたAさん。
偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
今回は赤く色付けした部分が問題となります。
「偽計を用い」とは、人をあざむく行為などが該当します。
Aさんのイタズラ電話をした行為は、お金を払ってデリヘルを利用するかのようにあざむいているので、「偽計を用い」たといえます。
このような電話をすると、女の子を派遣した店は、本来得られるはずであった料金が取れない、ホテルまでのガソリン代が無駄になる、他のお客さんに派遣できない、といった支障が出ることにつながります。
したがって「業務を妨害した」ことにもなります。
以上により、偽計業務妨害罪が成立することになるでしょう。
~刑事手続きは?~
今回のように、被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。
在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べなどの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~早急な示談が重要~
出来るだけ軽い結果を目指すには、出来るだけ早く、店に謝罪・賠償して示談を締結することが重要です。
示談が出来れば不起訴処分に終わったり、場合によっては警察が捜査を打ち切り、書類送検もしないで事件が終了する場合もありえます。
とはいえ、風俗店相手に何と言って示談をお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのか、あるいは警察の取調べへの対応の仕方など、わからないことが多く不安が強いと思います。
ぜひお早めに弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。