デリヘル嬢による美人局事件
デリヘル嬢による美人局事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
福岡県北九州市に住むAさんは、自宅近くの繁華街にある風俗店に勤務するデリヘル嬢です。
Aさんは知人であるBさんと共謀し、配偶者を装ったA2をして、利用客から現金を脅し取らせることにしました。
利用客のVさんが現れたので、AさんはVの待つラブホテルに行き、Aさんの合図でBさんを部屋に入れ、恐喝を始めることにしました。
プレイが始まった後、AさんはBさんを呼びました。
Bさんは「俺の嫁に何してるんだ。慰謝料は高いぞ。勤務先や家庭にバレたくなかったらとりあえず50万円、借りてくるなどして支払え」などと告げました。
Vさんは突然のことに驚き、家庭内でトラブルになることを避けるために、50万円支払ってしまいました。
しかし、その後、Vさんはさらに要求が続くことを恐れ、福岡県小倉北警察署に相談しました。
AさんとBさんは後日、福岡県小倉北警察署から呼び出しを受け、取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
~AさんとBさんにはどのような犯罪が成立するか?~
今回、AさんBさんには恐喝罪(刑法第249条1項)が成立する可能性が極めて高いと思われます。
恐喝罪とは、人を恐喝して財物を交付させる犯罪です。
(恐喝罪)
相手方に対して、財物交付を要求することを求めて、その反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加え、相手を畏怖させることをいいます。
脅迫とは、相手を畏怖させるに足る害悪の告知をいいます。
反抗を抑圧するほどの脅迫、暴行を行った場合は、恐喝罪ではなく、強盗罪の成否が検討されることになります。
(交付させた)
恐喝罪の「交付させた」とは、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の財産的処分行為に基づいて、行為者又はそれと一定の関係にある第三者が財物の占有を取得したことをいいます。
AさんとBさんは共謀し、Vさんに対し、勤務先や家庭にバレたくなかったら50万円を支払えと告げています。
Vさんの置かれた状況から、VさんがAさんと性交したことを指しているのは明らかであり、Vさんが配偶者のある者と性交したということなどが勤務先や家庭に知られれば、Vさんは勤務先にいられなくなってしまったり、家庭が崩壊してしまったりするおそれがあります。
したがって、この行為はVさんを畏怖させるに足る害悪の告知といえ、「恐喝」に該当する可能性が高いと思われます。
上記恐喝行為によりVさんは畏怖し、とりあえずの慰謝料として現金50万円を支払っているので、AさんとBさんが行った行為が恐喝罪を構成する可能性は高いでしょう。
恐喝罪につき、有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役に処せられます。
~今後の弁護活動~
現在、AさんとBさんは任意で取調べを受けている状況です。
取調べ後、帰宅を許される場合もありますし、そのまま逮捕されてしまう場合もあります。
いずれにしても、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
(逮捕されてしまった場合)
早期の身柄解放の実現が重要です。
逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
ケースの場合、Vさんから脅し取った現金が50万円と、やや高額である点、共犯者(Bさん)がいることを考慮すると、逮捕されてしまう可能性が十分考えられます。
逮捕されてしまった場合は、Aさんらに「逃亡のおそれ」、「罪証隠滅のおそれ」がないことを捜査機関や裁判官に納得させる必要があります。
①Aさんらに定まった職場や住居がある、②AさんとBさん、Vさんの住所が十分離れており、事件解決までむやみに会わないよう監督する身元引受人を用意できる、などといった事情があれば、Aさんらに有利といえます。
弁護士は、なるべくAさんらに有利な事情を主張し、身体拘束の長期化の回避を目指していくことになります。
(Vさんと示談をする)
Vさんと示談をすることは、Aさんらが逮捕された場合においても、また、在宅で手続が進行する場合においても重要です。
示談をする場合、Vさんに対し、脅し取ってしまった50万円、および、恐喝行為の慰謝料などを賠償し、謝罪をすることになるでしょう。
示談が円滑に成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
不起訴処分を獲得できれば、前科がつくこともありません。
弁護士のアドバイスを受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
美人局・恐喝事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。