品川区の無許可営業風営法違反事件
(1)事例
東京都品川区を中心に店舗型ファッションヘルスや麻雀店,ナイトクラブ等の経営を行っていたAは,自己が経営する店舗の内複数を風営法に規定されている許可を得ることなく営業を継続していた。
ある日,警視庁荏原警察署がAの店舗を訪問し,営業許可を取らないままでは風営法違反となる旨伝えにきた。
しかし,Aは許可を出すのが面倒で,その後も許可を得ることなく放置していた。
すると,後日Aは風俗営業法違反の容疑で逮捕され,荏原警察署にて取調べを受けることとなった。
Aの妻は,夫が逮捕されたことに驚き,どうすればよいか分からず,刑事事件に強い弁護士に相談することにした。
(フィクションです。)
(2)風俗営業法とは
風俗営業法(通称:風営法)の正式名称は,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。
以前は風俗営業取締法という名称でしたが,名称が変更されて現在の名前になりました。
風営法の対象となるのは,大別すると,①風俗営業,②性風俗関連特殊営業,③特定遊興飲食店営業です。
「風俗」というと性風俗をイメージする方が多いかもしれませんが,風営法における風俗営業と一般的なイメージの「風俗」は意義が異なります。
(3)風俗営業
風営法にいう風俗営業とは,風営法第2条1項各号に定められており,以下の1から5号に当たる営業を指します。
1 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
2 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの
3 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
4 まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
5 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業
上の事例におけるAの経営していた麻雀店は,風俗営業にあたります。
(4)性風俗関連特殊営業
風営法2条5項によれば,「性風俗関連特殊営業」とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業を指します。
この性風俗関連特殊営業には,ソープランドやラブホテル,ファッションヘルス(店舗型,派遣型)などを含みます。
上の事例についてみると,Aが経営していた店舗型ファッションヘルスはこの性風俗関連特殊営業に該当します。
(5)特定遊興飲食店営業
風営法2条11項によれば,「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいうとされています。
これには,ナイトクラブ,ディスコ等の設備を設け,深夜に客を遊興させ酒類を提供する営業のうち,先に述べた風俗営業に当たらないものを指します。
つまり,上の事例でAが経営していたナイトクラブは,特定遊興飲食店営業に該当します。
(6)風営法違反
そして,風営法3条1項によれば,「風俗営業を営もうとする者は,風俗営業の種別…に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会…の許可を受けなければならない。」とされています。
また,特定遊興飲食営業を営もうとする者も,同様に許可を受けなければなりません(風営法31条の22)。
つまり,Aは麻雀店やナイトクラブを営もうとする場合,風営法2条1項4号・31条の22に応じて,当該麻雀店の位置する品川区を管轄する東京都公安委員会による許可を受ける必要があります。
風営法では,無許可営業に対する刑事上の罰則は,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、またはその両方となっています。
なお,店舗型ファッションヘルスなどの性風俗関連特殊営業については許可は必要ありませんが,届出が必要とされています(店舗型性風俗関連特殊営業:27条1項,無店舗型性風俗特殊営業:31条の2第1項,映像送信型性風俗特殊営業:31条の7第1項,店舗型電話異性紹介営業:31条の12第1項)。届出なく営業した場合6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処され,又はこれを併科されます(風営法52条4号)。
風営法違反として摘発された場合,経営者はもちろん,従業員も逮捕される可能性があります。
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(警視庁荏原警察署までの初回接見費用:36,800円)