マッサージ店で胸を触わり通報されたら
マッサージ店等における女性施術士に対するわいせつ行為等で刑事事件化しるうケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
会社員のAさんは男性機能の低下に悩み、東京都江戸川区のマッサージ店に行きました。
Aさんが、男性更年期の勃起障害に効用がある前立腺等のマッサージを受けていると、女性施術士VがAさんの顔に胸や腹を押し付けてきたため、手で押し返しました。
Vは突然施術を止め、「警察に通報します」と声を荒げました。
後日、Aは警視庁小松川警察署から連絡を受け、Vの被害相談に対する任意の事情聴取を求められました。
小松川警察署は、Vの被害相談に基づき、暴行罪または強制わいせつ罪の疑いで捜査を進めています。
(フィクションです。)
【わいせつの故意はなかったと主張したい】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、上記マッサージ店や風俗店に類するサービス店から発生した風俗トラブルによって刑事事件化してしまった相談が多く寄せられます。
そして、風俗トラブルのご相談者に多く共通するのは、「~~するつもりはなかった」「両者で合意があった」など、わいせつ行為等の故意を否認するケースです。
刑法176条の強制わいせつ罪は、「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」に対し、6月以上10年以下の懲役を科します。
そして、判例によれば、強制わいせつ罪における「暴行」とは、被害者女性の許可なく胸を触るなど、その行為自体が暴行と解される場合を含むとされますが、他方で、犯罪の成立には「故意」が必要とされていることから(刑法38条)、強制わいせつ罪の成立には、わいせつの故意が必要であり、Aの主張によればこの点は争うことができるでしょう。
ただし、故意を否認するということは、犯罪の成立を否認するということであり、捜査機関が犯罪の故意を含めた犯罪の立証ができる証拠を揃えた場合には、起訴されて公開の裁判で無罪を訴えることになるでしょう。
これは、公開の刑事裁判を通じて無罪の主張を立証する機会が与えられると肯定的に捉えられる反面、公開の刑事裁判になる(起訴される)前に事件を終了できないという否定的な側面もあると言えます。
他方、風俗トラブルのような被害者が存在する性犯罪の刑事事件では、被害者または被害店舗との示談が刑事処分に大きな影響を持ちます。
一般的に、被疑事実を認めたうえで、被害者に謝罪や被害弁償を行い、示談が成立した場合には、検察官は事件を不起訴処分とすることが実務上多く見受けられます。
実際、弊所で受任した上記刑事事件に類似のケースで、警察は軽い暴行罪の線で慎重に捜査を進めている中で、被害者との早急な示談に成功し、刑事責任の追及を許す旨の合意(宥恕条項を含む示談書)を取り付け、事件を検察官に送致することなく終了させた事例があります。
マッサージ店等の風俗トラブルにより刑事事件化し、早期の解決をお望みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。