事例:Aは、ラブホテルにおいてデリバリーヘルスを利用したところ、Vに無断でサービス中の様子をあらかじめ設置したスマートフォンで盗撮していた。
その後、盗撮に気付いたVは、●●警察署へ被害届を提出する準備を進めている。
Aは、風俗トラブルに強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~無店舗型性風俗特殊営業におけるトラブル~
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(俗にいう風営法)は、同法2条において、同法下の規制対象となる各種風俗営業についての定めを置いています。
そして同2条は7項において、「無店舗型性風俗特殊営業」に関する定義規定を定めています。
第2条(略)
7 この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
この1号において規定されているのが、いわゆるデリバリーヘルスと呼ばれる営業形態をとる風俗店です。
このような営業形態をとる風俗店も、同法の届出等といった手続を踏むことで適法に営業することができます(本稿ではこの点についての詳細は割愛します)。
デリバリーヘルスを利用する場合、店舗や店員といった物理的制約から離れてサービス提供者と利用者が密室で1対1となるため、刑事事件に発展するようなトラブルが起こりやすいという特質があります。
では、本件のようなトラブル(盗撮行為)はいかなる法律に反し、刑事事件となりうるのでしょうか。
この点、東京都の制定するいわゆる「東京都迷惑防止条例」においては、盗撮行為を広く本条例の禁止行為として規定するに至っています。
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し
向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
同条例の5条1項2号ロは、「その他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所」における盗撮行為を禁止しており、ラブホテルはこれに該当すると考えることができます(あるいはイにも該当すると考えることもできます)。
そして、同条例8条2項1号は上記場所における盗撮行為を「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」として処罰する旨定めています。
また、同7項において常習として盗撮行為をした者の刑罰を加重する規定があることにも注意が必要です。
したがって、本件のようなAの盗撮行為は(東京都)迷惑防止条例違反として、刑事事件になり得る行為だということが分かります。
なお、盗撮行為がいわゆる「迷惑防止条例」違反になるかどうかは、各都道府県が制定する条例ごとによって異なるため、まず専門家たる弁護士に相談することが重要です。
~風俗トラブルにおける弁護活動~
本件行為が刑事事件になり得る行為だとして、刑事事件化を避けたい加害者側は何をすべきでしょうか。
この場合、やはり何よりも示談を締結し、被害者の方に被害届を提出することをやめてもらうこと等が重要です。
もっとも、事件当事者の加害者と被害者(やその関係者)のみで示談を締結することは、加害者側・被害者側双方にとって新たなトラブルのもとになることも少なくありません。
示談の締結にあたっては、示談金の額が最大の関心事になることは否めませんが、被害者感情への配慮等も欠かすことができない事項です。
そこで、刑事事件のプロである刑事弁護士がトラブルを仲介することによって、当事者双方にとってメリットのある解決策を提示することが可能となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な態様の刑事事件に関する風俗トラブルを多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
風俗トラブル事件でお困りの方は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。