≪風俗嬢≫盗撮されたのに加害者に
いわゆる風俗嬢の方が、盗撮の被害に遭ったにも拘わらず加害者になってしまう場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
東京都立川市在住のAは、都内の学校に通い乍ら、ソープランドで仕事をする風俗嬢としてアルバイトをしていました。
ある日、Aは指名を受けて常連客Vと立川市内のソープランドでサービスを行っていたところ、Vの鞄からスマートフォンがはみ出ていることに気が付きました。
AはVに対し、スマートフォンを出してくださいと伝え動画機能が起動しているところを現認しました。
そこで、Aは「これ、店の人に見つかったらどうなるか分かる?私も知らないけどヤバい人がバックにいるんだよ。」「誠意を見せて欲しい。」とVに伝え、コンビニのキャッシュディスペンサーまで付いて行きVに現金100万円を引き出させてそれを受けとりました。
後日Aが所属するソープランドに立川市を管轄する立川警察署の警察官が来て、Aに任意同行を求めました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【盗撮の被害について】
まず、Aはいわゆる盗撮の被害に遭っています。
これについては、いわば被害者になり得ます。
ケースの場合、東京都立川市のソープランド個室内での盗撮を想定していますので、東京都が定める迷惑防止条例(正式名称は公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例)に違反する可能性があります。
適用される可能性がある条文は以下のとおりです。
東京都迷惑防止条例5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
【被害者がともすれば加害者に】
さて、確かにAは盗撮の被害者です。
しかし、ケースの場合、Aはともすれば加害者になりかねません。
それは、Vに対して(真偽を問わず)バックにヤバい人がいる・誠意を見せろと言った上で、お金を受け取っていることです。
このように、実際の事件では具体的な金額等を要求せずに抽象的な言葉を用い、相手が自発的に支払ったお金にしようとする場合があります。
しかし、Vの側に立ってみると、金を支払わなければバックにいる人から何かしらの危害を被る恐れがあると考え、自分の意思に反して金を支払う可能性があることも事実です。
この場合、恐喝罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。
刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
ここでいう「恐喝」とは「相手方に対して、その反抗を抑圧するに足らない程度の脅迫又は暴行を加え、財物交付を要求する行為」を指すとされています。(最判昭24・2・8)
よって、たとえ抽象的な要求であっても、恐喝行為と評価され恐喝罪に問われる可能性があるのです。
Aとしては、たとえばVから受け取った示談金だと主張するかもしれませんが、示談金は両者がある程度時間をかけて検討した上で合意に至り、示談書類を締結のうえ示談金を支払うことが一般的ですので、その主張は通らない可能性が高いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を起こしてしまった加害者側を専門とする弁護士事務所です。
東京都立川市にて、盗撮などの被害に遭ったものの逆に恐喝罪などの加害者になってしまったという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
在宅事件の場合、初回の御相談は無料です。